ゴーン被告、映画のような逃亡劇前にハリウッドのプロデューサーと面会。自身の物語の映画化を打診?

「ヴィラン(悪役)」は日本の司法制度。ニューヨークタイムズ紙は「逃亡前のゴーン氏の思考を知る手がかりになる」と指摘している。
カルロス・ゴーン被告(2019年5月)
カルロス・ゴーン被告(2019年5月)
Reuters

世界の耳目を集めている日産自動車の元会長、カルロス・ゴーン被告のレバノン逃亡劇。

ニューヨークタイムズによると、ゴーン被告は逃亡劇の少し前、東京都内でハリウッドの映画プロデューサーと面会していたという。日本の司法制度を「ヴィラン(悪役)」に、自身の物語を映画にしてはどうかと提案したようだ。

同紙は「逃亡前のゴーン氏の思考を知る手がかりになる」としている。

「ヴィラン(悪役)」は日本の司法制度

ゴーン被告が面会したのは、米アカデミー賞作品賞などを受賞した「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」(2014年)のプロデューサーを務めたジョン・レッシャー氏。

東京近郊の借家で12月のある日、ゴーン被告は自身が受けた「不当な投獄」と「無実を証明するための闘い」について記したプロットを示し、レッシャー氏に自分の物語を映画にできないか打診したという。同紙は「事情を知る人の話」として報じている。

映画のテーマは「救済」で、「悪」である日本の司法制度からの自身の名誉の回復を描きたかったようだ。

同紙は、「ゴーン氏がいつ逃亡を計画し始めたかは定かではない」としたうえで、ゴーン被告が日本の経済事件の裁判に詳しいアメリカのジャーナリストや、過去にライブドア事件で有罪判決を受けた起業家の堀江貴文氏にもコンタクトを取っていたことを挙げ、レッシャー氏との面会は「彼が日本の司法制度との闘いを終わらせるために企てた試みの一つ」だと指摘している。

レッシャー氏との話し合いの中で、ゴーン被告は「映画を作れば、世間がより同情的になってくれるだろうか」と気にしていたというが、映画化の話は具体化しなかったようだ。

ゴーン被告の東京の住居(2020年1月2日)
ゴーン被告の東京の住居(2020年1月2日)
Reuters

スパイ映画のような逃亡劇。8日に記者会見との情報も

とはいえ、ゴーン被告の逃亡劇は、映画さながら。

金融商品取引法違反などの罪で起訴され、保釈中だったゴーン被告は、12月31日に「私はレバノンにいる。不公正と政治的迫害から逃れた」と声明を発表。海外への渡航を禁止した保釈条件を破って海外逃亡していたことが明らかになった。

「民間警備会社が協力していた」(時事通信)、「楽器ケースに隠れて出国した」(毎日新聞)、「フランスのパスポートを2通所有していた」(NHK)など、手段や協力者についても諸説飛び交っている。

日本政府は国際刑事警察機構(ICPO)を通じてレバノン政府にゴーン被告の身柄拘束を要請するように求めているが、レバノン側は引き渡しを拒否している。

1月8日には、ゴーン被告がレバノンの首都ベイルートで記者会見を開くとの情報もある

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