搭乗したければ妊娠検査を... 乗客に強要した香港の航空会社が謝罪

検査結果は陰性。背景にはサイパンで蔓延する「出産旅行」がありました。
香港エクスプレス
香港エクスプレス
NurPhoto via Getty Images

香港の格安航空会社「香港エクスプレス」が、乗客の女性に妊娠検査を強制していたことが明らかになった。この対応に批判が殺到し、 航空会社側が1月15日に謝罪した。

Wall Street Journalなどの海外メディアが報じている。

妊娠検査を受けさせられたのは日本人の女性。

Wall Street Journalによると、女性は11月、香港エクスプレスの香港発サイパン行きの飛行機に搭乗しようと香港国際空港でチェックインした際、航空会社の職員から思いもよらない要求をされた。

搭乗したければ、妊娠検査を受けるよう言われたのだ。女性はトイレで妊娠検査薬を渡され、尿をするよう求められたという。

BBCによると、結果は陰性だったため、女性は搭乗を許されたという。女性は搭乗前に記入したアンケートで「妊娠していない」と回答していた。

サイパンは、生まれてくる子どもにアメリカ国籍を取得させる目的で、妊娠した外国人女性が出産場所として選ぶ人気の場所となっている。

この女性は現在は日本に住んでいるが、サイパン育ちで、現地に住む家族に会う目的だったという。

香港エクスプレスの対応に、ネット上では「憤りを感じる。差別や人権侵害だ」と批判の声が上がった。

これを受けて、香港エクスプレスを買収したキャセイパシフィック航空は、「私たちが起こしたことで影響を受けた方々に謝罪いたします」という声明をNBCなどに寄せた。

声明は「アメリカの入管法を尊重するために2019年2月からサイパンへのフライトについて対応を講じていました」と背景を説明した上で、「この対応をただちに中止し、見直しています」とつづっている。

背景には蔓延するサイパンへの「出産旅行」

サイパンは、妊娠した外国人女性が出生地主義を採用する国に渡って出産する「出産旅行」の場として人気を集めている。

ここ数年、観光ビザで訪れた外国人による出生数が永住者を上回る事態となっている。

CNNによると、2018年には、外国人観光客による出生数が582人だったのに対して永住者は492人だった。

注目記事