若者の8割が「社会は変わらない」と諦める日本を変えたい。25歳の私は教育に挑戦する

先日、とある社会実験を行った。「社会問題に関心がある人」「社会問題の解決のために行動している人」両者にフリーハグならぬ、フリーハイタッチを求めたのだ。

私はTomoshi Bito(ともしびと)という、社会問題解決に取り組む人を増やすための会社を2019年2月に設立し、今は新たな教育事業を立ち上げるためにクラウドファンディングに取り組んでいる。現在25歳だ。

「社会問題解決に関わる人たちを増やしたい」

これは、私が学生時代から今こうして会社を起業するに至るまで、一貫して考え続けたことだ。

社会問題に関心はありますか? そのために行動してますか?フリータッチの実験結果は…

これまで「どうすれば社会問題解決に取り組む人を増やせるのか?」という命題で様々な取り組みをしてきた私だが、今たどり着いた仮説がある。

社会問題の解決に取り組むためには、「問題は解決されるべきだ」というMUSTの感情だけでなく、「問題を解決したい」というWANTの感情、そしてそれを行動に移す「問題を解決できる」というCANの感情が必要なのではないか。

CANの感情が日本の若者は著しく低い
CANの感情が日本の若者は著しく低い

 私はこれを、「社会問題解決を自分事にする3ピース」と呼んでいる。

今日本の若者はCANの感情を持っている人が非常に少ない状況にあり、日本の社会・政治参加意識が高まらない根本的な課題だと考えている。


先日、とある社会実験を行った。

 「社会問題に関心がある人」「社会問題を解決の為に行動している人」両者にフリーハグならぬ、フリーハイタッチを求めたのだ。

どちらも調査時間は1時間。本当に日本は社会問題を解決できると思っている人が少ないのかどうかを調べようと考えたのだ。

その時の動画があるので、是非見てほしい。

ハイタッチをしてくれた人は「社会問題に関心がある人」が33人。「社会問題を解決の為に行動している人」は4人という結果となった。

「国や社会を変えられると思う」18歳は世界最低

こんな調査もある。

「自分で国や社会を変えられると思う」と回答した18歳の割合は18.3%だったことが、日本財団が2019年に行なった『18歳意識調査』で明らかになった。

これは調査対象9カ国中の中でも最低の数値。2番目に少なかったのが韓国だが、それでも39.6%と日本と2倍以上の差が開いている現状だ。

「解決したい社会課題がある」と回答したのも46.4%と9カ国の中で突出して低い結果が出ている。データからは日本の若者の大半が「自分では国や社会は変えられないし、そもそも解決したいと思う問題もない」と感じていると解釈することができる。

日本財団の調査結果より作成
日本財団の調査結果より作成
Tomoyuki Hirose

若者の社会参加に対する考え方は、日本の社会・政治活動に取り組む人の割合にも反映されている。国際社会調査プログラム(ISSP)が2014年にシティズンシップをテーマに調査を実施した。

社会・政治的な活動を「署名活動」「商品のボイコット」「デモへの参加」「政治集会への参加」「意見表明を目的とした政治家との接触」「寄付・政治活動のための基金の設立」「意見表明を目的としたメディアとの接触」「インターネットでの政治的意見の表明」8つの項目に分け、その実施頻度を調査している。

過去1年以内に各項目を実施したことがある人の割合を比較すると、欧米諸国と日本では2倍~12倍の差が開いていることが分かる。赤色は7カ国の最高値、黄色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。

赤色は7カ国の最高値、黄色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。
赤色は7カ国の最高値、黄色は最低値だが、どの活動の実施率も日本が最も低い。
Tomoyuki Hirose

「かわいそう」だけでは変えられない

私(左)とTomoshi Bitoをともに創業した藤田一輝(右)
私(左)とTomoshi Bitoをともに創業した藤田一輝(右)

もともと私はジャーナリストを志し、大学時代はメディアでインターンシップをしながら様々な社会問題を発信する活動に取り組んでいた。世の中に埋もれてしまっている問題や当事者の声を伝えられれば、問題解決に動く人を増やせるのではないかと考えていた。先ほどの概念に当てはめると「問題は解決されるべきだ(MUST)」と感じる人を増やそうとしていた。

例えば、カンボジアの地雷原や、温暖化の影響で30年以内に沈むかもしれないと言われる、南太平洋の「キリバス」。

様々な社会問題を取材し、記事を書いたり、写真展を開催したりしながら、発信の活動を続けていた。

社会で起こっている問題を伝えたとき、聞き手が持つのはおおむね「かわいそう」といった同情に近い反応だった。知った後に縁もゆかりもない、遠くに住む誰かのために行動を起こすというのはとても難しいことで、問題をつたえるだけでは解決に取り組む人を増やすことが難しいと感じた。

そこで私が取り組んだのが、かわいそうだから行動を起こすのではなく、自ら行動したいと思う人を増やす活動だ。要するに「問題を解決したい(WANT)」という人を増やそうと考えた。

 具体的には、「どこか遠くのかわいそうな人」ではなく、直接出会うことで問題を自分事にしてもらうスタディツアーの実施。また社会問題解決に取り組むやりがいや、チャレンジしたい気持ちを引き出す出前授業など、年間約1,000名の高校生や大学生と関わってきた。

カンボジアで実施したスタディツアーの様子。学生と社会人7名を引率した。
カンボジアで実施したスタディツアーの様子。学生と社会人7名を引率した。
Tomoyuki Hirose

興味関心を引き出すキッカケは作れた自負がある。実際に「私も活動をしたいです」というメッセージを本当に沢山もらってきた。

しかしそれと同時に興味はありながらも、行動の一歩目を踏み出せない人たちも多く見てきた。そんな中、先ほど紹介した日本財団の『18歳意識調査』結果を目にした。「解決したい」と思ってもらうだけでは不十分で、「自分でもできることがある」というようなCANの感情を持つ人を育む必要があると感じた。

『CAN』の体験を届けたい

今、私は「自分でも社会に対してできることがある」と実感できる体験を若者に届けるために、高校生向けの新たな教育プログラムを開発している。それが社会起業探究プログラム「ソーシャルインパクト」だ。

ソーシャルビジネスから出されたミッションを解決するためのプランを子ども達が考え、プレゼンテーションによる提案まで取り組む。12時間~18時間かけて長期的に取り組む探究学習プログラムとなっている。「できることがある」と実感するには行動が不可欠と考え、体験型の授業を考えた。

具体的な内容は以下の通り。

探究学習プログラムの概要。12回×50分で小学高学年〜大学生までを想定している。
探究学習プログラムの概要。12回×50分で小学高学年〜大学生までを想定している。
Tomoyuki Hirose

まずはマインドセットのために、ドキュメンタリーや社会起業家の講演により、社会問題解決に対する意欲を引き出す。

次に、6社ほどのソーシャルビジネスからミッションを出し、生徒はどのミッションに取り組みたいかを選択する。ミッション選択の際にはそれぞれの企業がどのような社会問題を解決しようとしているのかをまとめたショートドキュメンタリーを視聴し、選択の材料とする。

その後はワークブックの指示のもと、社会問題の現状や課題を整理し、解決策を考える。最後には社会起業家に対してプランを発表し、講評を受ける。

プログラムの目的は、「自分が動いても社会は変わらない」「解決したい社会課題がない」と感じている若者に対して、「社会問題との接点」と「社会を動かす成功体験」を届けることだ。プレゼンテーションでは社会起業家にプランを承認されることで、自己有用感の引き上げも目指したいと考えている。

社会問題解決に関わるのが当たり前になる社会を目指して

私たちはこのプログラムを開発して学校に届けていくために、4月29日(水)までクラウドファンディングに挑戦している。 

もちろんこのプログラムにとどまらず、「自分でも社会は変えられるんだ」と実感する成功体験を様々なアプローチをしていきたいと考えているが、まずは「ソーシャルインパクト」から一歩目を踏み出したいと考えている。

スタディツアーで貧困層の家庭にインタビューをする参加者
スタディツアーで貧困層の家庭にインタビューをする参加者
Tomoyuki Hirose

選挙の投票率をはじめ、社会や政治に参加する人の割合が少ないとされる日本。

「自分が動けばより良い社会は作れる」と信じる人が増えれば、社会問題解決のために行動する人も増えていくのではないだろうか。

そして、問題解決に取り組む人が増やすことが、この社会に残る多くの問題を解決していく原動力になると信じている。

終了が近づくクラウドファンディングだが、支援総額は50%となる200万円を超え、多くの人に応援をしていただいている。

初挑戦となるクラウドファンディングで、どれくらいの人が共感をしてくれるのか全く未知な状態で、不安な気持ちが大きかった。そんな中これほど多くの共感と応援を頂けたことには、驚きと感謝の気持ちでいっぱいだ。期待をしていただいた分、まずは残りの日数で目標金額を達成させたいと考えている。

この記事を読んで少しでも共感をしていただいた方は、このプロジェクトをより良い未来への投資として、応援をしていただけると有難い。

(編集:中村かさね @Vie5030

<学習プログラムで使用するショートドキュメンタリーの例>

注目記事