ごはんを作っても「家族の反応がなくてつらい」 相手の気持ちと解決法を考えてみた(レシピ付き)

第3回 白央篤司の「家事の“ごはん作り”担当の皆さん、おつかれさまです!」
イメージ写真とトマトジュースとめんつゆの簡単冷やし麺
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イメージ写真とトマトジュースとめんつゆの簡単冷やし麺

自粛生活が続き、「家の食事作りがつらい…」という人が増えています。

そんな思いを共有し、せめて「おつかれさまです」と声かけあっていく場に、このコラムをしたいと思いました。 

炊事に関するお悩み、たくさん寄せられています。第2回目は、「家族の反応がない」ということについて。

そして「日々のごはんは誰かに作ってもらっている人」も、いや、そういう方こそ、ぜひ読んでほしい。ねぎらい合うためのヒントが必ずあると思います。

第2回「家族の反応がないのがつらい」 (神奈川県・コナツ・40歳)

毎日食事を作り続けることもつらいのですが、うちは食事を作っても、家族が無言で、反応がないのが、つらいんです。当たり前のよう、というか。

こちらから感想を聞いてみようとも思うのですが、批評されても嫌だなあ……と思って、聞けません。

子どもは「おいしい」とたまに言ってくれますが、夕飯を残されると、やっぱりおいしくなかったのかな、と思ってしまいます。

前回は「3食作りがエンドレスなのがつらい」というお悩みでしたが、今回は「食事の用意+家族の無反応がつらい」というWのしんどさ。

コナツさんまずは本当に毎日、おつかれさまです……!

「反応がない」というのは、「ごちそうさま」も「ありがとう」もない、ということでしょうか。だとしたら、それはちょっとね、あり得んですよ。せっかく作ったのだし、何かひとことぐらい欲しいですよね。作る側からしたら当然の思いです!

ただね、無反応なコナツさんのご家族も、きっとこの記事を読んだら「家族同士でそれはない」「ひどいなあ」って感じるんじゃないか、とも思うんです。

以前に同じような悩みを抱えている方々がいて、ご家族にも話を聞いたことがあって。そのとき家族側から出たのが、次のような言葉や意見でした。 

・「前に『ごちそうさま、ありがとう』って言ったことがある」→だからその後言わなくとも伝わってると思ってた

 

・「何も言わなくとも、うちの場合は伝わる」と思い込んでいる

 

・「表情で分かってくれてると思ってた」

 

・「何も言わないことが満点のしるし」→それで私たちはOKと思い込んでいる

 

・「誕生日や母の日に感謝を伝えてるから、わかっていると思っていた」

あくまで私の推測ですけど、コナツさんのご家族は、日々の食事に対して「自分たちが無反応である」ということに気づいていないかもしれません。 

(写真はイメージ)
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コナツさんが毎日のごはん作りで精神的につらい状況にある今、パートナーやお子さんにご自身の思いを伝えるのは大変なことだと思います。

もしかしたら、ハラスメントにあっている人が「やめてほしい」と言いにくいのと同じことかもしれません。「そんな、家族間でハラスメントだなんて大げさな」と思う人もいるかもですが、仕事の話として考えてみてください。

あなたの貢献が周囲から評価されず、「よくやったね」「おつかれ」「ありがとう」とも言われない日々がずっと続いているとしたら、やっぱりおかしいのではないでしょうか? 

家事も仕事。家庭内もひとつのチーム、ひとつの共同体と考えてみてほしい。家族間だと甘えも出やすいものだからこそ、定期的に「置き換えて考える」こと、ぜひ試みてほしいんです。

仕事場で毎日昼休みにまかないを作ってくれる人がいるとしたら、どう接しますかね。必ず「いただきます」も言えば、味の感想なりもたまには言うんじゃないでしょうか。基本的な礼儀ですからね。それが「パートナーだからいい」「親だから言わなくていい」って考える人、あなたはどう思われるでしょう。

そしてコナツさん、ひとつ私から質問させてください。

悩みを抱えていることに、罪悪感を感じられていませんか。新型コロナみたいな非常時、家にいるパートナーや子どももストレスを抱えているだろう。自分だけが不満を抱えたり、改善を求めたりするのはワガママではないだろうか……というような。

今の世の中の状況って、そういうつらさもあると思うんです。「みんな大変」だから「私ばかりが自己主張もしてられない……」というような。分かるけれど、出口がまだ見えない状況だからこそ、不満や不平が大きくなりすぎないうちに、思いを表すことも大事ではないかと、私は思うんです

(写真はイメージ)
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コナツさん、この記事をしれっとご家族に読んでもらい、「どう思う? 私はこの悩み主に共感しているんだけど」なんて言ってみるのは、どうでしょうか。

今の状態が続いてしまうの、やっぱりコナツさんにとってはつらすぎると思うんですね。直接言わなくても、記事をシェアすることで間接的に伝えられることもあるはず。

そして日々ごはんを誰かに作ってもらってる人は、ぜひ考えてみてください。

作ってもらったものに対して、何か反応していますか? わざと褒める必要もないですが、心のうちに感謝の気持ちが少しでもある場合、それを伝えたつもり、伝わっているつもりのままになっていないでしょうか。 

と言いつつ、私も暮らしているツレにきちんと感謝や敬意を表せているか、心配になってきました。うちの場合、私は炊事担当で、あちらは掃除担当。いつも部屋をきれいにしてくれています。思い立ったが吉日、伝えてみよう。

コナツさん、大変であろう中、思いを言葉にしてくれてありがとうございました。

最後に、さっぱりしたものでも食べていきませんか。

トマトジュースとめんつゆで作れる、簡単な冷やし麺のレシピです。

気持ちが萎えているときは、食欲もわきにくいもの。しっかり食べないと気持ちってどんどんネガティブな方向に行きがち、気をつけてくださいね!

 
トマトジュースとめんつゆの簡単冷やし麺(1人前)

白央篤司

(用意するもの)

トマトジュース(無塩・よく冷やしておく) 150㎖
めんつゆ(3倍濃縮) 大さじ1
好みの麺 1人前
ごま油 数滴 
サラダチキン 適量
温泉玉子 1個
お好みでネギ、ミョウガなど

(作り方)

1.トマトジュース、めんつゆを合わせる

2.麺はよく水気を切って器にもり、①をかけ、ごま油を加える

3.温泉玉子、ほぐしたサラダチキン、薬味をのせる

※さらにおいしく or 簡単にするポイント

・麺は流水麺(水ですすげばすぐ使えるもの)が手軽

・冷蔵庫内のスペースに余裕があれば、器も冷やしておく

・サラダチキンはツナ、カニカマなどでも

・辛いのが好きな人はラー油を加えても

※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。

白央篤司(はくおうあつし)

1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitterブログ

(編集:笹川かおり)