コロナ専門家会議、議事録作成せず、録音もなし。内閣官房「自由な議論できない」【新型コロナ】

発言の内容を記した「議事概要」は公表されているが、発言者や、議論がどのように進んだかは分からず、批判の声が上がっている

政府の新型コロナウイルス感染症対策の専門家会議で、出席者の発言を記録する議事録だけでなく、ICレコーダーなどによる録音もされていなかったことがわかった。

専門家会議の事務局がある内閣官房はハフポスト日本版の取材に対し、議事録や録音を残していない理由について「自由に議論していただけないのではないか」と話している。

緊急事態宣言解除の目安について議論する新型コロナウイルス感染症対策専門家会議=5月14日、東京・永田町
緊急事態宣言解除の目安について議論する新型コロナウイルス感染症対策専門家会議=5月14日、東京・永田町
時事通信社

■今後も作らない

政府の新型コロナ専門家会議は、医学的な見地から政府へ助言などを行うために開催されている。これまでに公式サイトでは会議に提出された資料のほか、発言の内容などをまとめた議事概要が掲載されていた。

この概要は5月29日現在、第6回会議(3月9日開催)分まで公表されている。

一方で、誰がどのような発言をしたのかや、賛成・反対がどの程度あったかなど、議論がどのように進んだかを記録した詳細な議事録は公表されてこなかった。

内閣官房の担当者は「議事録の作成は求められていない。ガイドラインに沿って記録をまとめている」と話す。今後も作る予定はないという。

担当者によると、第1回会議(2月16日開催)の時点で、出席した専門家に発言者の名前を明記しないで会議内容を記録することを確認していたという。

そのうえで、記録を議事概要にとどめた理由については「誰が発言したかよりも、どんな内容が話されたかではないか。(発言者名を明記すると)自由に議論していただけないのではないか」と話した。

Twitterではこうした姿勢に批判の声も上がっている。元大阪府知事の橋下徹氏や、日本共産党の山添拓参議院議員らは「ICレコーダーで録音していれば済む」「録音データはあるだろう」などとして、データをもとに議事録の作成をするべきだと主張している。

一方で担当者は「録音はしていない」と話し、「速記者を入れている」とした。

また、過去に実施された会議の議事録を作成できるか聞いたところ「お答えはできない」とのことだった。

政府は3月に新型コロナウイルスを歴史的緊急事態に指定していて、政府全体として対応する会議やその他の会合は「将来の教訓として極めて重要」とされ、性格に応じて記録を作成すると定められている

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