ノーラン監督新作『TENET テネット』の米公開日が3度目の延期。主要都市で映画館再開の目処が立たず

『TENET テネット』は「映画館復活」を象徴する作品として期待されていた。
『TENET テネット』
『TENET テネット』
(c)2020 Warner Bros Entertainment Inc. All Rights Reserved

クリストファー・ノーラン監督の新作映画『TENET テネット』の全米公開日が無期限で延期となった。7月20日、現地メディアが伝えた。

『インセプション』や『インターステラー』、『ダンケルク』などで知られるクリストファー・ノーラン氏は、ハリウッドを代表する映画監督の一人。

ロイターによると『TENET テネット』は当初2020年7月17日に米国公開予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、7月31日、そして8月12日へと延期され、今回で3度目の延期となった。

「映画館復活」を象徴する作品が公開延期に…

東京新聞朝日新聞によると、アメリカでは、ニューヨークやロサンゼルスなど、地域によっては未だ映画館の営業再開の目処が立っていない。この2都市は、アメリカにおいて特に映画市場が活発で、この地域で映画館が再開しなければ、興行収入に大きなダメージが与えられると考えられる。

『TENET テネット』の制作費は、推定2億ドル(約214億円)以上と言われている。

ノーラン監督は、3月下旬に米ワシントン・ポストに寄稿し、アメリカの社会生活において、映画館は不可欠なものであると、支援を訴えた。また、かねてから劇場体験の重要性を発信し続けてきた存在でもあり、『TENET テネット』は「映画館復活」を象徴する作品として、注目されていた。

ロイターによると、配給会社のワーナー・ブラザーズのトビー・エメリック会長は、「残念ながらパンデミックが広がり続けているため、公開日を再検討する必要がある」とし、新しい公開日は追って公表すると発表した。

エメリック会長は、今回の決断について、「作品の成功を最大限に高めると同時に、パートナー劇場が安全に営業を再開できるようになり次第、新しい作品でサポートする準備を整える」とし、劇場を支援する方針も明らかにしている

Varietyでは、エメリック会長が「『TENET テネット』は、従来の世界同時公開作品としては扱わない」と発言したことから、米国公開に先がけて、海外各国にて上映が始まる可能性もあると報じている。一方、The Hollywood Reporterでは、アメリカ国内において一斉公開するのではなく、映画館が安全に営業再開できた都市から公開を始める可能性について言及している。

『TENET テネット』は、日本では9月18日の公開を予定している(7月21日時点)。

ウォルト・ディズニー『ムーラン』は?

ハリウッドでは、『TENET テネット』と同じく、「映画館復活」を象徴する作品として、ウォルト・ディズニーの『ムーラン』にも期待が集まっていた。

本作もアメリカ国内において、当初3月27日に公開予定だったが、7月24日、そして8月21日へと再延期された(7月21日時点)。

ロイターによると、最大手の映画館チェーンであるAMCシアターズなどは、7月末に営業を再開する予定で、座席数の制限や丁寧な清掃、来場者とスタッフのマスク着用を徹底するという。

しかし、ニューヨークやロサンゼルスで、新型コロナウイルスの感染が拡大しているため、市からは、映画館再開の承認は出ていない状況だという。

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