【終戦の日】世界各国・地域ではいつなのか。世界で第二次世界大戦が“終わった”日とは

世界の終戦の日は、8月15日ではない。各国や地域の例を紹介します。

8月15日の終戦の日。

1945年、昭和天皇が玉音放送で戦争終結を知らせた日だ。日本では例年、戦禍を忘れぬよう式典が催されている。

第二次世界大戦は、日本の降伏によって正式な終結を迎えた。約6年にわたる大戦は、列国や地域を巻き込み無数の戦争が繰り広げられ、それぞれの終結を迎えていた。

世界では、8月15日が「終戦の日」ではない。それぞれの事情や思惑で位置付けられている。各国や地域の「終戦の日」を紹介する。

※各国や地域の「終戦の日」は、位置付けや日にちは諸説あります。

終戦の日
終戦の日
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アメリカ・連合国(9月2日)

世界的には、第二次世界大戦の正式な終結は1945年9月2日とされている。日本が降伏文書に調印した日だ。この日、東京湾上の米国軍艦ミズーリ号で、降伏文書の調印式が行われた。

この降伏文書には、日本やアメリカ、イギリス、ソ連といった各国の代表が署名している。

アメリカを中心とする一部の連合国では、この9月2日が正式な「対日戦勝記念日」(Victory over Japan Day=V-J Day)と呼ばれている。同時に、太平洋戦争、そして第二次世界大戦の正式な終結として位置付けている。

一方でアメリカ内でも、日本がポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を受け入れた8月14日を「対日戦勝記念日」とする向きもある。

アメリカでは、ロード・アイランド州で唯一、対日戦勝を記念し、毎年8月第2月曜を祝日(Victory Day)としている。

(参考資料・記事)

ロシア(9月3日)

連合国の一員であった旧ソ連(ロシア)は、「第二次世界大戦終結の日」の時期が変遷してきた歴史的な経緯がある。

もともと旧ソ連時代に、アメリカとは1日ずれた9月3日が「対日戦勝記念日」として祝われてきた。ソ連崩壊後もしばらく続いたが、ロシアは2010年、日本が1945年に降伏文書に調印した9月2日を「第二次世界大戦終結の日」に制定。

これに吸収される形で、9月3日の「対日戦勝記念日」はなくなっていた。

ところが2020年に入って、終戦の日を9月3日に変更。「対日戦勝記念日」の復活ともみられている。

新型コロナで延期した対独戦勝75周年記念式典について、9月3日に開催する案が浮上。北方領土をめぐる主張を正当性する狙いもあるとみられている。

(参考資料・記事)

台湾(9月3日)

連合国側で、国民党が率いた中華民国(台湾)は、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と定めた。政府がその日を休日として祝ったことが起源という。

1955年に現在の「軍人節」(軍人の日)に改称され、慰霊祭などが開かれている。

(参考資料・記事)

中国(9月3日)

第二次大戦後の1949年に建国された中国は、中華民国にならう形で9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と定めている。

全国人民代表大会常務委員会が2014年、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」と制定。過去にも、同様の決定がされたことがあるという。

長らく祝賀パレードなどは開かれていなかったが、70年に当たる2015年には軍事パレードが開かれ、大々的に祝賀が執り行われた。

(参考資料・記事)

イギリス(5月8日)

ドイツの降伏により、一足先に戦争終結を迎えていたヨーロッパでは、“終戦”の捉え方がまた異なる。ドイツが降伏した1945年5月7日。その翌日の5月8日に、チャーチル首相がヨーロッパにおける戦争終結を宣言した。

この日は「ヨーロッパ戦勝記念日」(VE day=Victory in Europe Day)と呼ばれ、ヨーロッパにおける戦争終結を記念する日となっている。

75年を迎えた2020年は、5月の祝日をずらして、5月8日が祝日となった。イギリス、ヨーロッパにおける終戦の日と位置付けられている。

「対日戦勝記念日」(VJ Day)の時期については、日本の「終戦の日」と同じ8月15日が主流だ。

BBCの記事では、この日を「第二次世界大戦の終結の日」とみている向きがある。日本が降伏文書に調印した9月2日にも言及し「戦争の余波の中で重要な瞬間として位置付けられている」と伝えている。

(参考資料・記事)

ドイツ(5月8日)

日本と同様、敗戦国のドイツ。「終戦の日」はいつなのか。定義は少々複雑だ。

ドイツは2度降伏している。5月7日の対イギリス・アメリカなどの対連合国軍、そして5月9日の対旧ソ連だ。そのためロシアだけ、5月9日を「ヨーロッパ戦勝記念日」(VE day)としている。

ただ一般的には、ヨーロッパの戦争終結が宣言された「ヨーロッパ戦勝記念日」の5月8日が、“終戦”と位置付けられている。

この日をどんな日として捉えるのかも、国内で2つに分かれてきた過去もある。

旧東ドイツ側がナチスやファシズムからの「解放の日」として祝った一方で、旧西ドイツでは降伏・敗戦の日として、屈辱感を持って受け止められてきたからだ。

現在では、終戦の日と同時に、解放の日としても位置付けられている。2020年だけ、首都ベルリンでは祝日に指定され、セレモニーが催された。

また一方で、大戦当時のドイツでは、ヨーロッパでの戦争が終結した後も、第二次世界大戦は終結していないという意識が強く残っていたようだ。

『ドイツと日本における「終戦」「敗戦」「解放」の記憶』によると、1945年8月15日付けのドイツ紙『フランクフルター・ルントシャウ』の1面は、「第二次世界大戦終結!」という見出しになっているという。

(参考記事・資料)

ドイツは2度降伏した、第二次大戦の知られざる真実 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

韓国(8月15日)

韓国は8月15日を「光復節」に定めており、日本による植民地支配からの解放を祝う日として、祝日となっている。

2019年の光復節に開かれた記念式典で、ムン・ジェイン(文在寅)大統領は「光復(8月15日)は、私たちだけにとって嬉しい日ではありません。日清戦争と日露戦争、満州事変と日中戦争、太平洋戦争。60年間の壮大な戦争が終わった日であり」と言及している

日本と同様、8月15日を終戦の日と捉えている。

(参考資料・記事)

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