日本に対話呼びかけ? 韓国「光復節」でムン・ジェイン大統領が語ったこと(詳報)

「日本が対話と協力の道を選ぶなら、私たちは喜んで手を取り合うだろう」
光復節で演説をするムン・ジェイン大統領
光復節で演説をするムン・ジェイン大統領
AP通信

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領は、8月15日、日本の植民地支配から解放された記念日に当たる「光復節」の記念式典で、「日本が対話と協力の道を選ぶなら、私たちは喜んで手を取り合うだろう」と演説した。

緊張関係が続く中で迎えた「光復節」。ムン大統領の演説が注目を集めていたが、元徴用工や慰安婦の問題については直接言及せず、融和を呼びかける内容の演説となった。

「東アジアの平和と繁栄をともに…」

演説でムン大統領は、「侵略と紛争の時代もあったが、東アジアはこれよりはるかに長い交流と交易の歴史がある」と協調。過去の協調路線を振り帰りながら、「日本が隣国に不幸を与えた過去を反省し、東アジアの平和と繁栄をともに導いていくことを望んでいる」と未来志向の演説となった。

「光復(8月15日)は、私たちだけにとって嬉しい日ではありません。日清戦争と日露戦争、満州事変と日中戦争、太平洋戦争。60年間の壮大な戦争が終わった日であり、日本の国民もまた、軍国主義の抑圧から抜け出し侵略戦争から解放されたのです」

「我々は、過去にとどまらず、日本と安全保障や経済協力に手を携えてきました。日本と一緒に、植民地時代の被害者の苦痛を癒し、歴史に学びながらしっかりと手つなごうという立場を堅持してきました」

「過去を反省することは、過去にしがみつくのではなく、過去を乗り越え、未来に進むことです。我々は、日本が隣国に不幸を与えた過去を反省し、東アジアの平和と繁栄をともに導いていくことを望んでいます」

「東京オリンピックは共同繁栄の道に進む絶好の機会」

日本製品の不買運動などが激しさを増し、一部の過激派からは2020年の東京オリンピック・パラリンピックのボイコット論も飛び出す中、ムン大統領は演説でこれについても言及した。

「次世代への責任をまっとうする」として、東京オリンピックへの意欲を示した。

「平昌冬季オリンピックに続き、来年には東京オリンピック、2022年には北京冬季オリンピックが開かれます。五輪史上初となる、東アジアのリレーオリンピックです。東アジアが友好と協力の基礎を固め共同繁栄の道に進む絶好の機会です

「世界中の人々が平昌オリンピックで『平和な朝鮮半島』を目にしたように、東京オリンピックでは(日韓の)友好と協力に希望を持てるようになってほしい。私たちは東アジアの将来を担う次世代が、日韓が協力して発展する、という経験ができるよう、責任をまっとうします

貿易摩擦については日本を牽制「これからは経済大国に」

日韓の貿易摩擦については「先に成長した国が続いて成長しようとしている国のはしごを蹴飛ばしてはいけない」と牽制し、「日本の不当な輸出規制に対抗し、私たちは、責任ある経済大国への道を歩んでいきます」と強調。

一方、「今でも日本が対話と協力の道に出たら、私たちは喜んで手を取り合うだろう」と対話には前向きな姿勢を示した。

「どんな国でも、自国が優位にある分野を武器化するなら、平和な自由貿易秩序は壊れてしまいます。先に成長した国が、続いて成長している国のはしごを蹴飛ばしてはいけません。今でも、日本が対話と協力の道を選ぶなら、私たちは喜んで日本と手を取り合うでしょう

「私たち国民が奇跡のように成し遂げた経済発展の成果と底力は、分けて与えることはあっても、奪われることはありません」

「今まで私たちは、先進国を追いかけてきましたが、これからは、先んじて挑戦しリードする経済国に生まれ変わっていきます。日本の不当な輸出規制に対抗し、私たちは、責任ある経済大国への道をコツコツと歩んでいきます」

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