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2020年10月15日 16時13分 JST | 更新 2020年10月15日 18時05分 JST

「LGBT平等法」を東京五輪の“レガシー”に。法制度求める国際署名スタートで団体が会見

呼びかけ団体は「五輪開催国としての責任でもある」と訴え、性的指向や性自認を理由とする差別を禁止する法律の整備を求めている

Equality Act Japan提供
記者会見で署名を呼びかけるEquality Act Japanのメンバーたち

「LGBT平等法」を、東京五輪のレガシーにーー。

性的指向や性自認を理由とする差別を禁止する法律を求める国際署名のキャンペーン「Equality Act Japanー日本にもLGBT平等法を」が始まった。署名を呼びかけている団体や賛同するアスリートらが10月15日に記者会見を開催。「性的少数者もそうではない人も、全ての人の尊厳と平等を守る法的保障が必要だ」と訴えている。

署名を始めたのは、全国約100のLGBT関連団体で構成される全国組織「LGBT法連合会」、国際人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」、スポーツとLGBTに関する活動を展開する「アスリート・アライ」の3団体。90を超える国内外の団体が4月、当時の安倍晋三首相に対し、「性的指向・性自認による差別から人々を守る法律を導入する」ことを求める要請書を提出していたが、政府からは回答がなかった。そのため、法制化を求める声を可視化して国に届けようと、署名に取り組むことを決めたという。

紫色のアイテムを身につけて、性的少数者の子どもと若者に対するいじめや暴力に反対する「Spirit Day」の10月15日に合わせてキャンペーンを始めた。

 

世界80カ国以上で法制化

オリンピック憲章は、「オリンピズムの根本原則」で、性別や性的指向を含むあらゆる差別について次のように明記している。

このオリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、 政治的またはその他の意見、 国あるいは社会的な出身、 財産、 出自やその他の身分などの理由による、 いかなる種類の差別も受けることなく、 確実に享受されなければならない。

Equality Act Japan事務局によると、EU加盟国やオーストラリアなど先進国を含む80以上の国で、性的指向や性自認を理由とする差別を禁じる法律の制定が広がっている。一方で、日本には性的少数者への差別を禁止する法律はない。一部の自治体による条例制定にとどまっている。

経済協力開発機構(OECD)が2019年に公表した報告書によると、OECD諸国のうち「同性愛への受容度」は日本は36カ国中25位、セクシュアルマイノリティーに関する法整備状況では35カ国中34位だった。

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「LGBT法連合会」共同代表の五十嵐ゆりさん

日本労働組合総連合会が2016年に実施した「LGBTに関する職場の意識調査」では、性的少数者が「身近にいる」と答えた人のうち、セクシュアリティーに関するハラスメントを受けたり見聞きしたりした人は57.4%に上った。

「LGBT法連合会」共同代表の五十嵐ゆりさんは、記者会見で「国内で安心して差別されることなくスポーツができることを保障するためにもLGBT平等法が必要で、それは開催国の責任でもある」と指摘。「性的少数者もそうではない人も、全ての人の尊厳と平等を守るために、東京五輪のレガシーとして法律の制定を目指したい」と述べた。

 

スポーツとLGBTQ、国内の現状は?

元フェンシング女子の日本代表で、現在はNPO法人「東京レインボープライド」共同代表の杉山文野さんは、国内のスポーツ界における性的少数者の現状を報告した。

「2016年リオ五輪では60人以上の選手がLGBTQであることを公表して参加していたが、日本人はゼロだった。日本のプロアスリートでオープンにしている選手は極めて少ない。それだけ言いづらいのが現状です」

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NPO法人「東京レインボープライド」共同代表の杉山文野さん

性的少数者の五輪メダリストから、セクシュアリティーを公表できない悩みを相談されたこともあるという杉山さん。

「カミングアウトするとファンや家族に失望されるのではという恐怖感のほか、もし(所属する)スポーツ協会にセクシュアルマイノリティーへの理解がなかった場合、公表後に競技者として続けられないのではという不安がある」として、当事者たちがセクシュアリティーを明かせない実態を明かす。

杉山さん自身も、選手時代、「セクシュアリティーがばれたら居場所なくなってしまう、いじめられるのではないかと考え、いつバレるかとビクビクしていた」と振り返った。「法律ができることによって、職場でも競技場でも、誰もが安心して暮らせる社会につながっていくのではないかと思う」

 

下山田選手「当たり前にSOSの声上げられる環境を」

2019年に同性パートナーがいることを公表したプロサッカー選手の下山田志帆さんも会見に臨んだ。

「日本にいるとき、性的マイノリティー当事者への差別的発言や扱いを見ることが多くて、それは現在進行形だと思っている。例えば、短髪の女子選手に対して『女子チームなのにそんな髪型おかしい』と指導者が言ったり、チームに同性カップルがいた時に、キャプテンと副キャプテンに呼び出されて『気持ち悪い、迷惑だから別れろ』と言われたりするのを目の当たりにしました。指導者やチームメイトとの関係が嫌で、競技が好きだけれど続けられず、引退したりチームをやめたりした選手もいました」

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プロサッカー選手の下山田志帆さん

下山田さんは「自分らしさが認められない、自分らしいと思って選んだものを否定される経験が日本のスポーツ現場ではすごく多いと思う」と指摘する。

「安心してスポーツを楽しめる環境はまだまだ整っていない。その環境が当たり前になっているため、選手が『自分が悪い』と思ってしまい、SOSが上げられなくなっている。法律があれば、差別的な発言や扱いを受けたときにSOSの声を確実に上げられるようになってくる。その環境が当たり前になることを私は望んでいます」

事務局によると、署名は2021年1月〜2月を目処に集約し、各党に提出する。東京五輪の開催を前に、議員立法での成立を目指し活動するという。