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2020年10月26日 10時20分 JST

足立区にLGBTQ当事者の集まりを。「地元に居場所があるのが大切」な理由

自民党区議が差別発言をした問題(のちに謝罪・撤回)をきっかけに、足立区にLGBTQ当事者の居場所をつくる動きが始まっている。11月1日に初回の集まりを予定している。

東京都足立区議会で、自民党の白石正輝区議が9月25日、「L(レズビアン)やG(ゲイ)が広がってしまったら、足立区民がいなくなっちゃう」などと発言した問題(のちに発言を謝罪・撤回)を受け、足立区にLGBTQ当事者の居場所をつくる動きが始まっている。

11月1日に、足立区内で当事者向けの集まりを予定している。

呼びかけをしたなかけんさんは、「否定されずに話をできる場所を作って、ほっとしてもらいたい。安心感を持ってもらえたらと思っています」と話す。

足立区内での開催にこだわったのには、理由があるという。

HuffPost Japan
オンライン取材に応じるなかけんさん

なかけんさんは都内在住で、若者を支援する仕事に就いている。Xジェンダーの当事者であり、LGBTQに関する活動にも取り組んできた。

今回の議員発言に関するニュースやネットの反応などが目に入ってきた時、最初に感じたのは「しんどさ」だったと振り返る。

「あの発言自体を聞くのも辛いですし、友人が自身のジェンダーについて悩んでいる時期に、ああいった差別発言を人に言われて、精神的に落ちていく場面も見てきました。自分にもそういう時期がありました。そのことがフラッシュバックして、『この情報から一旦離れないと、心がやられる』と思いました」

一方で、LGBTQに関する活動に取り組んできたなかけんさんは、足立区在住の当事者から相談を受ける場合に備えて、「紹介できる区内の相談先はあるかな」と、足立区内で活動する当事者団体を探したが、思うように見つけることができなかったという。

「もし、あの発言で傷ついた区民の方が相談先を見つけられずにいたら…。大変危険な状態だと感じ、とにかく何か動かなきゃと思いました」

「例えば若者などで、十分な交通費がなかったり、ネット環境にアクセスできなかったりするケースもあると思います。また、家からはオンラインの集まりに参加出来ないと感じている人もいます。地元に当事者の居場所があることが大切だと考えました」

 

Twitterで呼びかけると…「何か出来たらと思っていた」

10月7日にTwitterで、「足立区在住もしくは在学/在勤で多様な性の活動をやりたい方いませんか」などと、運営を一緒にしてくれる人を探す投稿をすると、当事者ら8人が集まったという。

8人からは、「足立区でも何か出来たらと思っていた」「区民として、議員の発言に情けない気持ちでいっぱいになった」などの声や、会の開催に向けて、「地区に関わらず、居場所にアクセスできる社会であって欲しい」といった思いが聞かれたという。

なかけんさん提供。制作はRikaito〜(Twitterアカウント @_rikaito)さん。

初回の集まりは、11月1日(日)午後1時30分から足立区内の会議室で開催する。日頃の悩みや思っていることなどを、安心安全な場所で語ることを目的としている。参加の申し込みはこちらから

「否定されずに話をできる場所を作って、ほっとしてもらいたい。安心感を持ってもらえたらと思っています」

 

参加しなくても、会の“存在”が「その人にとっての安心材料になる」

そして、なかけんさんは、「参加してもらうことだけが目的ではありません。『こういう会がある』と知ってもらえることが大切」と強調する。

AKIKO MINATO/HUFFPOST JAPAN
なかけんさん

「頭の中に、『あそこに行けば話を聞いてもらえる』という情報があることは、その人にとっての安心材料になると思っています。また、こういった差別的な問題が起きた時に、『あの人たちもきっと疑問を抱いていて、自身の思いに対しても共感してくれたり、一緒に考えたりしてくれるだろう』などと想像することで救われることもあると思います」

「今後もできる限り活動を続けたいので、今回参加されない方でも、集まりの存在を頭の片隅に置いていただいて、いつか『相談したいな』などと思った時に気軽に参加してもらえる場所にしていきたいです」

 

足立区での開催にこだわった、ある理由。

足立区での開催にこだわったのには、「当事者が参加しやすいように」という以外の理由もあった。

今回の議員発言を批判するネット上の発信の中に、「自分なら、こんな議員がいる区から引っ越す」「足立区で子育てしたくない」「私なら住まない」というような書き込みも見かけたことが、ひっかかった。

「今、足立区に住んでいる人の気持ちを考えると、苦しくなりました。地域自体が否定されたように感じた人もいるかもしれません。足立区で生まれ育って、地域に愛着がある人もいれば、仕事や学校、子育ての関係などで必要があってその場所に住んでいる人もいます。毎日を過ごす地域で開催することに意味があるんじゃないかと思いました」

「あの発言は、当事者にとって、日常や生活をおびやかされるように感じる内容だったと思います。だからこそ、『今この場所で生活していることが幸せ』と思ってもらえるお手伝いになれば、と考えています」