2020年7月、「GoToトラベル」が開始された初期の段階で、旅行に関連した新型コロナウイルスの新規感染者が増えていたーー。
そうした研究論文を、京都大学の西浦博教授らによる研究グループが医学雑誌「ジャーナルオブクリニカルメディシン」に発表した。一方、旅行による感染増加はあったものの、「感染拡大につながった」とまでは断言できないとしている。
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観光目的の旅行に関連する感染者はキャンペーン前の2〜3倍
研究では、2020年5月1日から8月31日までに都道府県から報告された新型コロナウイルス感染症の症例を分析。感染前に県境を超えた移動をしていたかどうかなどを発表していた24県について、キャンペーン前と期間中の旅行関連の発生率を比較した。
5月1日から8月31日までの間に24県で報告された新型コロナの症例は合計3978。このうち、県境を越えた旅行歴や県境を越えた他人と接触歴がある症例は817(20.1%)。これらを旅行関連症例と定義した。
その上で、キャンペーンが始まった7月22日から5日間とその前週の5日間を比較。旅行関連の新型コロナ発症率は約1.5倍に、うち観光を目的とした旅行に絞ると約2〜3倍となった。
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研究では、都道府県ごとに公開している情報の程度が違うことなどから、この分析だけではGoToトラベルが感染拡大につながったと断言はできないとする。
しかし、GoToトラベル開始初期の段階では、旅行、特に観光に関連した感染者の増加をもたらしたと結論づけた。GoToトラベルでは感染予防策なども呼びかけられていたが、そうした中でも旅行関連の感染を抑えられなかったことを示していると指摘している。
感染拡大を抑えることと経済活動のバランスをとった政策を進めるためにも、今後もこうした分析が非常に重要だとしている。