「プラスチック製ストロー禁止令」消費者の反応は? 中国で施行されてから1カ月

2019年に中国で生産されたプラスチック製品は計8184万トンで、プラスチック製ストローは3万トン近く、本数にしておよそ460億本生産されたという。

使い捨てのプラスチックストローを全国一律で禁止する制度が、中国で2021年から施行された。代用として紙製のストローなどが登場したが、品質はまだまだ。消費者の混乱を呼んでいるようだ。

中国・南京市のスターバックスに登場した紙製ストロー
中国・南京市のスターバックスに登場した紙製ストロー
Xinhua News Agency via Getty Images

■「スープ掬えない」

今回のプラスチック禁止令の元となっているのは、政府の国家発展改革委員会が2020年に発表した政策。プラスチック製品の使用と廃棄によって、エネルギーの浪費や環境汚染が発生しているとし、各地域や産業ごとに、2025年まで段階的な措置を講じるよう求めている。

このうち、プラスチック製の使い捨てストローは、2020年末をもって中国全土の飲食業で使用禁止とされていた。中国メディアによると、飲食業の現場では主な代用品として紙製のストローが導入されたというが、消費者側の反応はあまり良くないようだ。

SNS・ウェイボーでは「ミルクティーの消費者が紙ストローに言いたいこと」というハッシュタグがトレンド入り。「紙製ストローではフタを突き破ることもできない。中にタピオカが入っていたら?おめでとう。吸い上げることは不可能だ」「消費者体験は明らかに低下した。環境保護には誰もが協力したいと思っているが、代償が高すぎる」などといった投稿であふれた。

こうした問題はほかにも起こっている。現地のケンタッキー・フライドチキンでは1月、政府の政策に従って店舗で提供するスプーンを木製のものに変えたが、「ほとんど平面でスープが掬えない」といった苦情がネット上で相次いだ。

国営放送CCTVによると、2019年に中国で生産されたプラスチック製品は計8184万トンで、プラスチック製ストローは3万トン近く、本数にしておよそ460億本生産されたという。

今後、紙ストローやマイストローなどの代替品への転換が進むとみられるが、紙製の場合、生産コストが従来の3倍近くになることもあるという。自然環境下で分解されるなど、基準に適合したプラスチックストローはさらに高額になる。

中国政府はこのほかにも、2025年までに▽都市部のフードデリバリー容器のプラスチック使用量3割減や▽重点都市のプラスチック埋蔵量の大幅低下、環境汚染の有効なコントロールの実現などを掲げている。

注目記事