「選択的夫婦別姓に賛成します」ある企業は広告で訴えた。【国際女性デー】

「女性がもっと自分らしく生きるためには、自由に生きることが大事。姓の選択はその一つだと思います」

国際女性デーの3月8日、「私たちは、選択的夫婦別姓に賛成します」という企業広告が朝日新聞に掲載された。フィットネススタジオを運営するライフクリエイトによる企業広告だ。

女性がもっと自分らしく生きるためには、自由に生きることが大事。姓の選択はその一つ」と語る前川彩香社長に、企業広告を出した理由を聞いた。

国際女性デーに合わせて掲載された LIFE CREATE社の企業広告
国際女性デーに合わせて掲載された LIFE CREATE社の企業広告
LIFE CREATE提供

北海道で13年前に創業した同社は、現在では全国に75のフォットネススタジオを展開している。500人を超える社員の99%は女性。社内では、互いに姓にちなんだニックネームで呼び合うことも多い。

「この1年、結婚や出産をするメンバーが多かった。呼び方を変えるべきか、悩むこともありました」

前川さん自身、結婚後の姓で起業したものの、後に離婚。結婚前の姓に戻すか悩んだが、仕事で使う姓を変えずにすむよう、別れた夫の姓である「前川」を自分自身の姓にするべく新たに戸籍を作るという不自由を経験した。

「一緒に働く仲間はもちろん、私たちは女性が主な顧客となるお仕事をしています。女性たちに姓も働き方も、自分の人生を選んでいいんだよ、というのを伝えたかった。特に地方では、まだまだそれが難しいと感じています」

「#女性も選べる社会へ」という広告には、こうある。

この国で生きるすべての女性が、

もっと自分を愛せるように。

もっと人生を愛せるように。

もっと世界を愛せるように。

「姓」や暮らしや働き方を、

女性も自由に選べることができる社会へ。

そんな未来に挑戦していきます。

広告に込めた思いについて、前川さんはこう語る。

「自分らしく生きること、自分らしい選択を諦めている女性はいっぱいいると思う。この広告を見て『これでいいんだ』と、踏み出す一歩になればと思っています」

前川彩香さん
前川彩香さん
LIFE CREATE提供

企業が社会的メッセージ性の強い広告を出すことは、日本ではまだ珍しい。前川さんも「一つのチャレンジ」だと語る。

それでも企業広告という方法をとったのは、会社の規模が大きくなってきた今だからこそ、「『人生を愛そう』という企業ビジョンをお客様だけでなく、社会と共に描いていきたいという想いがあった」からだ。

前川さんは、プライベートでは高校生の娘を持つ母親でもある。広告は、未来の世代へのバトンという意味合いもあるという。

「娘を見ていて、若い世代は『自分の名前で生きていく』『自分を生きていく』という考え方が強いと思います。時代は変わってきている。娘が社会に出るころには、本人の意思で選べる社会になっていてほしい」

「娘には、結婚したら『〇〇さんの奥さん』『〇〇ちゃんのママ』というように誰かの付属品のような気持ちを味わってほしくない。わたしは起業して、自分らしく生きて、従業員にもそうしてもらって…。女性が自由に選べる社会を、娘たちに託したいんです」

注目記事