「2020年廃棄物ゼロ宣言」の町、結果はどうなった?45種の分別、ゴミ収集車なしの挑戦、その後…。

日本の自治体で初めて「ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)」宣言を行った徳島県上勝町。リーダーを務めるZ世代の大塚桃奈さんは「一つ答えが出た」と語る。
提供:「Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO」。ゼロ・ウェストセンターは上から見ると「?」のデザインとなっている。「ゴミって何だろう?」と考えてほしいとの思いからだ。
提供:「Transit General Office Inc. SATOSHI MATSUO」。ゼロ・ウェストセンターは上から見ると「?」のデザインとなっている。「ゴミって何だろう?」と考えてほしいとの思いからだ。
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徳島県上勝町。2003 年に自治体として日本で初めて『ゼロ・ウェイスト(廃棄物ゼロ)宣言』を行った。

2020年までに、上勝町で焼却するゴミをゼロにするというものだ。「ゼロ・ウェイスト」の中で最も特徴的な施策は、ゴミの45分別。町民は自ら町内のゴミ収集所にゴミを運ぶ。町内にゴミ収集車は一台も走っていない。汚れているプラスチックは洗って乾かしてから持って行かなくてはならない。

収集所では、持ち運ばれたゴミがその後、どこに行き、処分にどのくらいコストがかかるのか、張り紙が掲示されわかるようになっている。

「ゼロ・ウェイスト」の目標期限は2020年。結果はどうだったのだろうか?

「ゴミはゼロには、ならなかった」

結果は、リサイクル率「80%」。日本のリサイクル率である約19%と比べると、はるかに高い数字だ。しかし、廃棄物ゼロという目標に対して、まだ2割が廃棄物として焼却・埋め立てされている現状。

この結果に対して「ゼロ・ウェイストセンター」の責任者である大塚桃奈さんは、「一つの答えが出たと考えています」と語る。

「ゴミはゼロにはなりませんでした。住民だけの力、消費者だけの力では解決できないというのが一つの答えです。もっと色々な自治体、生産者、企業の人たちと連携していく必要があると思っています」

高齢者が半数近くを占める上勝町。45分別が町民の負担となっている現実もある。あっちを立てれば、こっちが立たず…。まさにSDGsのジレンマだ。

「何でそこまでしないといけないの?という声があるのは事実です。私自身、大変だなと思うこともあります。なるべくゴミは出したくないけれど、好きなものは食べたいし、買いたい…。今後は、いかに町民の負担を減らしつつ、ゴミゼロを目指せるかを考えていきます」

上勝町は新たに「次期ゼロ・ウェイスト宣言」を掲げ、これからも新たなチャレンジに取り組みつつ、2030年までに再び「ゼロ・ウェイスト」を目指していく。

「ゼロ・ウェイスト」のリーダーはZ世代の新卒移住者

「ゼロ・ウェイストセンター」の責任者を務める大塚桃奈さんは、2020年3月に大学卒業後、地元の神奈川県を離れ、新卒で徳島県上勝町に移住した。

上勝町ゼロ・ウェイストセンター (WHY)」を運営する株式会社BIG EYE COMPANYに新卒で就職。CEO(Chief Environment Officer)として、上勝町の取り組みを発信するほか、同社が運営するホテルで宿泊者に対して「ゼロ・ウェイスト」活動のスタディーツアーなどを担当している。

提供:大塚桃奈さん
提供:大塚桃奈さん
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なぜ、新卒で上勝町に移住し、ゼロ・ウェイスト活動に携わるようになったのか。

ファッションが大好きだった大塚さん。ファッションデザイナーになることを夢みていた高校3年生の時。ファッションの“楽しいだけではない”別の側面と向き合うことになったきっかけが、映画『ザ・トゥルー・コスト』。ファッション業界が抱える社会課題に光を当てたドキュメンタリーだ。

『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』DVD、3,850円(税込)にて販売中。
『ザ・トゥルー・コスト~ファストファッション真の代償~』DVD、3,850円(税込)にて販売中。
提供:ユナイテッドピープル

ファッション業界に携わりたいという思いがある中で、日々、自分が身に纏っているのは、違法労働や環境破壊など多くの課題を多く抱えるファストファッションだった。

上映後のトークイベントでは、ファッション業界の課題と向き合い「持続可能性(サステナブル)」を考え実践している人たちの存在も知った。服を通じた社会貢献」に興味を持つようになっていった。

提供:大塚桃奈さん。高校3年生の時、ロンドンへファッション留学をした。
提供:大塚桃奈さん。高校3年生の時、ロンドンへファッション留学をした。
HuffPost Japan

ロンドンへのファッション留学から帰ってきてからは、もっと社会について勉強したいと考え、大学に進学。公共政策や環境研究を専攻した。

大学一年の時、たまたま母親の同級生が「ゼロ・ウェイストセンター」のプロジェクトに携わっていることがきっかけで、上勝町を知った。

「ゼロ・ウェイスト」の持続的な活動に驚いたのと同時に、ゴミと向き合うことで、自分自身の日々の選択肢や生活を見つめ直すことに繋がると考え、魅力的に感じた。

交換留学として訪れたスウェーデンで、自然に寄り添った暮らし方や現地のサステナブルな取り組みに触れる度に、上勝町の「ゼロ・ウェイスト」に携わる必要性を感じるようになっていった。

2020年3月。大学卒業と同時に、上勝町に移住。2020年5月にオープンした「上勝町ゼロ・ウェイストセンター」に就職した。

見える繋がりの中で生きていきたい

大塚さんが、上勝町のゼロ・ウェイストに共感している部分。それは“繋がり”を可視化しているところにあるという。

「通常であれば、ゴミは捨てたら終わり。あとは、収集車が回収にきて、誰かがどこかで処理してくれます。つまり、ゴミと自分との繋がりが見えない状態です。そこを可視化することで、ゴミって何だろう?で考えられるようになると思うんです」

“繋がり”こそが、社会課題の自分ごと化へのヒントだという。

「例えば消費っていう言葉がありますが、消えてなくなるわけじゃない。食べ物を食べたら自分の一部になるし、服だって着たら自分の一部になる。

その自分との繋がりが可視化されると、作られる過程で起きている環境破壊や、違法労働などの社会課題も、自分との繋がりが見えてきて、自分ごと化されると思うんです」

今では、何かを買う時、少しでも自分との“繋がり”を意識しているという大塚さん。どういう社会を目指しているのだろうか。

「全ての物は繋がっていて、循環しています。リサイクルした物は生まれ変わって、また違う誰かが使う。

ものづくりをする過程で自然資源を活用すれば、使い終わったら自然へ還せる、あるいは負荷を減らす形で再生できる。それが生活の中で当たり前に行われることが必要だと考えています。

それぞれの繋がりを切り離して考えるのではなく、自分と物、そして自然との繋がりが見えて、人々の暮らしは豊かになるのではないかと思っていますし、そういう社会を目指したいですね」

“ごみゼロの日”に1周年を迎える 「上勝町ゼロ・ウェイストセンター(WHY)」では、2021年5月29日(土)〜30日(日)にオンライン特別イベント『上勝 Zero Waste Anniversary』を開催。建築家の中村拓志さんをナビゲーターに迎えたZOOM建築ツアーに加え、モデルの森星さんと発酵人の田上彩さんが主宰する“edain”とともに行うインスタグラムライブ配信など、様々なゲストとともにゼロ・ウェイストトークが繰り広げられます。イベントの詳細はこちらから。※イベントは終了しました。

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