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2021年11月26日 05時00分 JST | 更新 2021年11月26日 12時48分 JST

“謎肉”の日清食品が次に挑むのは「培養肉」。5年目社員が目指す高みとは?

培養肉の研究に取り組んでいるのは、日清食品HDグローバルイノベーション研究センターの古橋麻衣さんだ。

日清食品ホールディングス提供
培養肉のサンプル

日清食品の「カップヌードル」の中に入っているサイコロ状の「謎肉」。大豆由来の原料と豚肉などを混ぜ合わせた具材だが、ユニークなネーミングとして多くの消費者にも知られている。

こうした革新的なアイデアを形にしてきた日清食品が今、新たに挑戦しているのが「培養肉」だ。

食肉の生産・流通における莫大な環境負荷や気候変動への影響が問題視される中、研究室の中で作られる「サステナブルな肉」として、世界中で注目され、研究が進む。

日清食品ホールディングス(HD)と東京大学生産技術研究所の竹内昌治教授との共同研究もその一つだ。

具体的には、牛から細胞を採取して培養液で増やし、私たちが食べるくらいの肉の塊にする研究だ。2025年3月までに100グラム(縦横7センチ、厚さ2センチ)の「培養ステーキ肉」を作るための基礎技術の確立を目指している。

実用化できれば「謎肉」以上の衝撃的な肉になるのは間違いない。

この研究に取り組むのが、日清食品HDグローバルイノベーション研究センターの古橋麻衣さんだ。

日清食品HD提供
培養肉の研究に取り組む古橋麻衣さん

なぜ理系、食品メーカーに? きっかけは高校時代

古橋さんは名古屋大学大学院を修了後、2017年4月に日清食品HDに研究者として入社。その年には、培養肉のプロジェクトに抜擢された。

培養肉は冒頭で紹介した通り、食肉の環境負荷を低減してくれるイノベーションとして期待が高い。古橋さんは、培養肉の可能性を追求しながら、健康や栄養という食の根源的な部分にもこだわりがある。

「培養肉は実用化できれば、かなり面白い。おいしさや環境配慮に加えて、健康面や栄養面を強化したものができたら、さらに面白いのではないでしょうか。私の研究テーマだという思いを強く持っています」

そもそも古橋さんが理系に進んだのは、理科が好きだったこともあるが、高校で化学に興味を持ったことが影響した。クラスの担任が化学の教諭で、授業のはじめに教卓で実験をみせてくれるような人だったという。

では、なぜ食品の道に? それは高校の部活動での経験が大きく影響している。強豪校の陸上部に所属していたが、練習が厳しくて同級生がけがをする中、古橋さんはけがと無縁だった。

その違いを考えた時に、バランスの良い食事だと気づいた。古橋さんの家は親が毎日しっかり3食を作ってくれたので、自然と疲労の残りにくい体ができていた。日々の食事が体づくりに直結すると実感した。

「食」で世の中を変えられるーー。そう思い、大学で食品を学ぼうと決めた。

日清食品HD提供
培養肉を観察する古橋さん

持続可能な食料システムに貢献できるか

国連によると、世界の人口は2050年に97億人に増加すると推計されており、間違いなく食肉の消費量は拡大していく。その時、私たちは持続的な食料システムを維持できるだろうか。

国連のアントニオ・グテーレス事務総長も「食料システムを変革することは、全ての持続可能な開発目標を達成するために極めて重要である」と述べており、私たちの生活に関わる重要な問題だ。

実は、1頭の牛を育てるには、大量の水や飼料が必要であるほか、牛が温室効果ガスを排出するため、環境負荷が大きいと言われている。「培養ステーキ肉」の実用化は、食料の安定的な供給や環境負荷の低減など社会課題の解決に貢献できるとあって注目度は高い。

「私自身、お肉がすごく好きなので、おいしい霜降り肉が食べられなくなることは想像したくない。培養肉が食料危機の解決になるのが一番ですが、いま食の多様性が生まれていて、いろんな需要があると思っています」(古橋さん)

日清食品HDは東京大学との共同研究で2019年にサイコロステーキ状の筋組織をつくることに世界で初めて成功した。ただ、「培養ステーキ肉」を食品として私たちが食べるとなると、口の中に入れる以上、安全性は言うまでもなく、高いレベルの食感や食べ応えなどが求められ、さらなる技術革新が必要だ。

「食創為世(世の中のために食を創造する)」。この言葉は、日清食品グループが掲げるビジョンの一つだ。新たな地平を切り開き、培養ステーキ肉が食の新たな選択肢に加われば、“アタラシイおいしい” 世界が広がることになりそうだ。

 

「疲れたから夕飯を作るのめんどくさい」
「手抜き料理って思われるかも」
「もっと食べたいけど、ダイエットや健康が気になる」
「環境にも身体にも良い食べ物って美味しくなさそう」
「ヴィーガンをはじめたいけど、周りに言いづらい」
人は、食べることなくして、生きられない。
それなのに、食をめぐってはたくさんの我慢や罪悪感、課題があります。
もっとおいしくて、ラクで、栄養がとれて。フードロスや環境破壊など、食をめぐる社会問題にもきちんと気を遣いたい。
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