どういうこと? 餃子と香水と車が一緒に並ぶお店『b8ta』に行ってみた

多くの企業がオンラインで製品をどう売るかに試行錯誤する時代、リアル店舗にこだわる「b8ta」をリポートします。
「b8ta Tokyo-Shibuya」入口外観
「b8ta Tokyo-Shibuya」入口外観
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「売ることを目的としない」お店が、渋谷駅から徒歩約1分の好立地にオープンした。

その名も「b8ta Tokyo-Shibuya(ベータ・トウキョウ・シブヤ)」。スタートアップ企業で生まれたばかり製品をはじめ、自動車、餃子、香水までもが店頭に並ぶ、不思議な空間だ。

2015年に米国で誕生し、コロナ禍の2020年8月に日本に進出した「b8ta」が提供するのは、「出会い」と「体験」。

b8taジャパンの北川卓司CEOは「普段の生活や買い物ではなかなか触ることができない新しいガジェットやIoTに出会い、手に取って試してほしい」と語る。

コロナ禍とデジタル化の流れの中で多くの企業がオンラインで製品をどう売るかに試行錯誤する時代に、敢えてオフラインでのタッチポイントを作ることにこだわるb8taの魅力とは?

魅力① 思わぬ出会いを創出

宮益坂と明治通りが交差する角地にある「b8ta」の入口で、真っ先に目に飛び込んできたのは、大きな自動車。

日産がこの冬に新発売する電気自動車(EV)「日産ARIYA(アリア)」だ。

道路に出ての試乗はできないが、タブレットを使用した充電スタンドの検索や、実際に運転席に乗りこみ、音声操作で空調やオーディオの操作を試すことができる。フロントガラスの右下には、デモストレーションとして、リアルタイムの道路の状況や速度、ナビゲーションなどが映し出されている。

EVに触れるのが初めてだったため、想像以上に充電スタンドが充実していることと一度の充電で走れる距離が長い(最大610km)ことに驚いた。

日産ARIYA
日産ARIYA
Hiroko Yuasa

「若い人が多く行き交い、アーリーアダプターが大勢いる街・渋谷で、車に興味がなかった人がどう反応するのか分かるのが面白い。リアルのタッチポイントを増やすことで、興味を持っていただき、試乗や販売につなげたい」

日産の日本マーケティング本部の増田泰久氏は、b8taへの出店について期待をこう語る。

たしかに自動車は、「買おう」という意思がない状態でディーラーや販売店を訪れるハードルがとても高い。だが、化粧品から食料品まで新しいガジェットが並ぶb8taであれば、ふらりと立ち寄った際に話題の最新EVに触れることができる。

「買おう」と思ってもいなかった製品やブランドとの思わぬ出会いは、間違いなくb8taの魅力の一つだと感じた。

魅力②五感で楽しむ

BÉLAIR LAB(べレアラボ)の「香るシャンデリア」
BÉLAIR LAB(べレアラボ)の「香るシャンデリア」
Hiroko Yuasa

 「日産ARIYA」の横に飾られているのは、ロート製薬の「BÉLAIR LAB(べレアラボ)」によるインスタレーション「香るシャンデリア」。

展示のテーマは、視覚と嗅覚で楽しむクリスマス。ポンプを押すと、シャンデリアのランプの部分から少量のフレグランスが吹き出す仕組みで、様々な香りを楽しめる。

店頭にはシャンデリア以外にもたくさんのフレグランスが並び、気になったフレグランスは、QRコードを読み取ることでオンラインショップで購入することもできる。

店舗にいたべレアラボの星亜香里代表に、「環境や労働に配慮された香りもありますか?」と質問してみると、フェアトレードや責任あるサプライチェーンに関する認証を取得した原材料から作られたフレグランス「PURIFYING GINGER(ピュリファイイング ジンジャー)」を紹介された。

フレグランス「PURIFYING GINGER(ピュリファイイング ジンジャー)」から想起した、シャンデリアアーティストのキム・ソンへ氏による作品
フレグランス「PURIFYING GINGER(ピュリファイイング ジンジャー)」から想起した、シャンデリアアーティストのキム・ソンへ氏による作品
Kasane Nakamura

ちょっぴりスパイシーでほのかに甘い、好みのタイプの香り。店内の奥に飾られていた不思議なアートは、この香りにインスピレーションを得て作られたシャンデリアアーティストによる作品だそう。

この日はメディア内覧会だったので、代表の星さんと会話することができたが、実際には店頭で製品の説明をしてくれるのはb8taの店舗スタッフ。製品の使い方はもちろん、背景のストーリーについても説明できるという。こうした会話を楽しめるのも、「売ることを主目的」としていない体験型店舗「b8ta」の醍醐味だ。

このほかにも、店内で一際目をひくのは、アメリカ・シリコンバレーのスタートアップのラーメンの次世代自販機「Yo-Kai Express」。b8taへの出店が日本初進出となる。

スピーカーのサウンドを体験できる試聴スペース、プロのバリスタが淹れたコーヒーを楽しめるカフェスペースも充実している。

ラーメンの次世代自販機「Yo-Kai Express」
ラーメンの次世代自販機「Yo-Kai Express」
Kasane Nakamura

魅力③ブランドパーパスに触れる

「企業のブランドを損なわないように什器はシンプルな造りで動かすこともできます。閉店後に店内のレイアウトを変えてイベントなどを行うことも可能です」とb8taの北川さん。

人流データ計測技術を用いた実証実験として、来店した人がどの製品の前でどれくらいの時間滞在したか、店内をどのように移動したかなどの店舗内外の交通データを可視化した店頭マーケティングも実施。店舗限定アプリからQRコードを読み取ることで、アンケートに回答したり店内で使用できるポイントを貯めることも可能だ。

b8taジャパンの北川卓司CEO
b8taジャパンの北川卓司CEO
Kasane Nakamura

「スタートアップはオフラインでのタッチポイントに困っている企業が多く、こうした生のお客様の定性的なフィードバックを喜んでいただける。スタートアップのテスト中のβ製品や、クラウドファンディングで資金を集めている製品のプロトタイプなどを手にとってもらい、支援につなげることもできます」

「今後はもう一歩踏み込み、出品いただいている企業のブランドパーパス、ブランドの伝えたいメッセージの訴求というものを、イベント等を通じて一緒に訴求していこうという取り組みをしていきたい」

世の中に生まれたばかりのスタートアップの製品やサービスは、なかなか手に取る機会がない。でも、「b8ta」が出会いの場を作って機能以外に価値観やビジョンを伝えられれば、共感や応援の輪が広がり、より良い製品・サービスの育成や企業の成長、社会の変化を加速度的に生み出せるかもしれない。

「売らない小売」を掲げるb8taが“ハブ”となって、日本の消費文化に一石を投じていく。

(撮影・湯浅裕子)

ハフライブ
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