尾木ママ、生放送で報道に苦言。上島竜兵さんの死去伝えた『めざまし8』で

自宅前からの中継を行った番組の中で「死因について言わないとか、場所の特定をしないとか、ガイドラインが決まってるんです」とコメントした
尾木直樹さん(2015年11月23日撮影)
尾木直樹さん(2015年11月23日撮影)
時事通信社

5月11日に死去したと発表されたダチョウ倶楽部のメンバー・上島竜兵さん。

その死去を伝えた情報番組にコメンテーターとして出演していた尾木ママこと教育評論家・尾木直樹さんのコメントに、賞賛が集まっている。

尾木ママ「死因について言わないとか、場所の特定をしないとか、ガイドラインが決まってるんです」

11日、フジテレビ系『めざまし8』では番組冒頭から上島さんの死去に関して報道。メインキャスターの谷原章介さんが、死因につながる発見された際の状況についても言及した。

自宅前からの中継も行い、モザイクなどで加工せずに自宅を写しながらレポーターが再び発見された際の状況について説明。「自殺したものとみられている」と報告した。

この中継を受け、スタジオでは上島さんと共演経験のあるお笑い芸人のEXITなどが涙ながらにコメント。

その後、谷原さんが「尾木先生、やっぱり年齢的なものもあるかもしれませんけれども、60代というと悩みを抱える年頃でもあるんでしょうか」と尾木さんにコメントを求めた。

これに対し尾木さんは、同様の事例が続くことに懸念を示し、「連鎖が始まったらどうしようかと。特にゴールデンウイーク明けのこの時期っていうのは子どもたちや大学生すごくプレッシャーがかかりますので」と、若者への影響を懸念した上で、報道のあり方について疑問を投げかけた。

「例えば韓国では、自殺という言葉も使わないんですね。『極端な選択』という表現で和らげておられるとか。それからWHOなんかも死因について言わないとか、場所の特定をしないとか、ガイドラインが決まってるんです。わが国でも一応報道の時の基準がありますけれども。今の時期ゴールデンウイークだから僕はすごい心配していて、連鎖を防ぐというところで、すごく気を使いたいなというふうに思っています」

世界保健機関(WHO)による自殺報道のガイドラインでは「自殺に用いた手段について明確に表現しないこと」「自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと」などが挙げられており、尾木さんの発言はこれらを念頭に置いたもの。一般論として語られているが、めざまし8の報道方法にも苦言を呈する形になった。

その上で尾木さんは「特に若者とか子どもたちに、なんていうのかな、楽になれることではないよというのをしっかりと伝えて、生き抜こうということを呼び掛けたいと思いますね」とコメントを締め括った。

その後の放送では、所属事務所前からの中継はあったものの、自宅前からの中継はなかった。ナレーションでは死因につながる情報が繰り返されたものの、レポーターやキャスターは細かな状況に触れずに番組が進んだ。

「間髪入れずに批判出来るのは素晴らしい」

この報道については違和感を覚えた視聴者も多かったようで、尾木さんのコメントについてソーシャルメディア上では「流石」「間髪入れずに批判出来るのは素晴らしい」「よくぞ言ってくれた」など称賛の言葉が相次いだ。

めざまし8は12日も上島さんの死去について扱ったが、死因につながる情報への言及や自宅前からの中継はなかった。

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