熱中症予防、体のどこを冷やすのが効果的?【解説】

熱中症を予防する体の冷やし方を日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター科長の山口順子先生に聞きました。
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ウェザーニュース
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今年の夏は特に暑く、ところによっては40℃を超える気温を観測しています。長引く新型コロナ禍と熱中症による緊急搬送が、ニュースに上らない日はないほどです。

このうち熱中症は、回避できる災害なので、正確な知識に基づく予防を欠かしてはなりません。なかでも体を冷やす場所を知っておくことは、有効な予防法といえるでしょう。

そこで、日本大学医学部付属板橋病院救命救急センター科長の山口順子先生に、熱中症を予防する体の冷やし方を伺いました。

前頸部、腋窩部、鼠径部を冷やすのが基本

体を冷やす場合は、どこを冷やせばいいのでしょうか?

「最も基本的な場所として、三大局所冷却と呼ばれる場所があります。(1)前頸部の両脇(ぜんけいぶ:首の前面の左右)、(2)腋窩部(えきかぶ:両脇の下)、(3)鼠径部(そけいぶ:脚の付け根の前面)です。

ここに保冷剤や氷嚢(ひょうのう)などを押し当てて冷やしてください。なければ自動販売機で冷えたペットボトルか缶を買い、保冷剤代わりに使ってもいいでしょう」(山口先生)

首、脇の下、太ももの付け根ですね。なぜそこがいいのですか?

「体表近くを太い静脈が流れている場所だからです。皮膚を通して静脈血を冷やしてあげると、大量の冷えた血液が体内に戻り、効果的に体内を冷やすことができます」(山口先生)

手のひらや足裏を冷やすのも効果的

ほかに熱中症予防に効果的な冷却場所はありますか?

「手のひらや足裏を冷やすのも効果的です。手のひらや足裏には動静脈吻合(ふんごう)という特殊な血管があります。これは普段閉じていて、暑くなると開いて体温を下げる働きがある血管です。

こちらも保冷材や氷嚢での冷却に加え、冷えたペットボトルを手に握るなどの方法でこの血管を冷やしてあげると、全身の冷却に役立ちます。

ただし、すでに熱中症の症状が出ている場合は、手のひらや足裏だけでなく、首・脇の下・脚の付け根を含めた全身を速やかに冷やすことが重要です」(山口先生)

知っておきたい、気化熱を利用した冷却法

救急医療の現場で行なわれている冷却方法も伺いました。

「救急搬送された患者さんの熱が下がらなければ、水しぶきを体にかけてから風を当てるという、気化熱を使う方法で対処します。その際、極端に冷たい水を使うのではなく、人肌程度の水温で行うのもポイントです。

極端に冷たい水を使うと、人間はシバリング(身震いする意味の英語)という生理現象で、逆に熱を生み出そうとしてしまうからです。体温が下がったときに口や体が、がたがた震える現象ですね。

熱くなった体の熱を逃がすために、気化熱を使う方法は一般の人が行っても効果があります。霧吹きなどで水しぶきをかけて、風であおいであげるといいでしょう。近年、若い人たちに見られる手持ちの扇風機も、放熱の観点では効果があるように思います。

ただし、湿度が高くムシムシする場所は水分が乾きにくいので避けましょう。できるだけ涼しくて、風が通りやすい場所で行ってください。

また、ウイルス拡散のリスクを考えて、眼鏡などで眼球結膜を、ハンカチやマスクなどで口元を保護し、首もと以下で水スプレーをかけてあげるのが良いかもしれません」(山口先生)

適切な予防や処置をすることで、まだまだ続く夏の暑さを乗り切りましょう。
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