出生率の低下は、女性のせいなのか?

ある研究は、男性にも注目すべき時が来たことを証明している
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何世紀にもわたり、妊娠に関する問題は女性の責任とされてきた。しかし今、現代の男性が「生殖危機」を引き起こす可能性があることが明らかになった。

ポーランドの政治家が出生率低下を女性の飲酒のせいにしたり、イギリスの人口統計学者が「子どもを持たない人に税金を課す」という提案をしたりしている現状で、「そんなことあるはずがない!」と考えてもしょうがないだろう。

女性が子どもを持たない、もしくはたまに子どもなしで行動しているだけで自身を繰り返し弁護しなければならない世の中で、この研究は「赤ちゃん」の問題に関して、男性にも注目すべき時が来たことを証明している。

「Human Reproduction Update(人間の生殖における最新情報)」誌に掲載された新たな研究によると、すべては男性の精子の数に起因するという。

研究者が生殖能力を意識していないと思われる153人の男性を評価したところ、過去45年間に平均精子濃度が著しく低下していることが分かった。

1ミリリットルあたりの平均濃度は、1973年には1億120万だったのに対し、2018年には4900万に低下しており、これは51.6%の減少にあたる。これは平均値のため、これ以下の濃度の男性も多くいる可能性がある。

これまでの研究で、精子濃度が1ミリリットルあたり4000万を下回ると、世界の出生率が脅かされる可能性が示唆されている。

この研究の筆頭著者であるエルサレム・ヘブライ大学のハガイ・レヴィーン教授も、「これは地球規模で何かがおかしいとメッセージ」だと言及。この状況を「危機」であると警告し、「このような減少は、明らかに人口の繁殖能力の低下を表している」と述べている。

1サンプルあたりの総数である精子数もこの期間で62.3%減少しており、射精の量と一回の射精あたりの精子数の両方が大きく減少していることが分かる。

この研究は53カ国の調査結果を含んでおり、ヨーロッパ、北米、オーストラリア、南米、アフリカ、アジアで減少が記録されている。

この研究では、年齢や射精をしない期間がどれくらいあるかを考慮し、すでに不妊で悩んでいることが分かっている人は除外している。

また、精子を数えるのは実に難しく、45年前と比べれば今の方が精度が高いだけかもしれないということも頭に入れておく必要がある。

それでも、同研究に参加していない研究者は、この世界的な現象の正確な原因はまだ解明されていないものの、やはりこの減少は注目に値するという。

こうした現状は、環境要因、喫煙、飲酒、食生活の乱れ、肥満など、あらゆることが関係している可能性がある。

2022年11月15日現在、世界人口は過去最高の80億人に達したが、国連の予測によると、増加率は鈍化しており、次の世紀には減少し続けるという。

ハフポストUK版の記事を翻訳・編集しました。