出先で生理用品がなく絶望。そんな時出会ったOiTrとは?

プライベートの予定を諦めたり、学業や仕事に集中できなかったり日常生活に影響をきたします。こうした問題に目を向け、生理によって社会生活を諦める人が減ることを願います。
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Carol Yepes via Getty Images
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生理が予定通りにこなかったり、ポーチに生理用ナプキンを補充することを忘れてしまったり...。

出かけた先でナプキンがない! なんて経験はありませんか? そんな時に助かったサービスを紹介します。

「トイレから身動きが取れない、どうしよう」

大学で突然訪れた生理。いつもなら万が一の時のために持ち合わせているはずの生理用品が今日はたまたまない、まさかのハプニング。ドッキリ、というより「トイレから身動きが取れない、どうしよう」という絶望感でした。

生理用品はそれくらい、当たり前の生活を送るために無くてはならないものです。

そんな時に大学で見つけたのが、生理用品を無料で提供するディスペンサー「OiTr(オイテル)」でした。

大学のキャンパス内のOitr
筆者撮影
大学のキャンパス内のOitr

存在は知っていたものの、どう利用したらよいのか分からずいつもスルーしていましたが、使い方はとても簡単。今回、初めて利用した私も2分程度でナプキンをゲットすることができました。

まず写真の右側に写っているシールに書かれた手順通り、QRコードから「OiTr」のアプリをダウンロードします。そのあとはアプリの指示に従い、このディスペンサーに携帯をかざすと......。

大学のキャンパス内のOitr
筆者撮影
大学のキャンパス内のOitr

この装置からナプキンが一枚出てきました!

スマホアプリには次に使用できる時間や上限枚数が記録され、本当に「必要な時に必要な分だけ」ということが徹底されていました。全国でこのサービスが提供される施設は179カ所、台数は2500台あります(2023年3月19日現在)。

私が初めてこのサービスを利用したのは大学のキャンパスでしたが、それ以降、気にして様々なトイレをチェックしてみたところ、地元の商業施設内にも設置されていました。

地元の商業施設内のOitr
筆者撮影
地元の商業施設内のOitr

この写真の様に、OiTrがある個室にはステッカーが貼ってあります。万が一のために、自分の身の回りで、どこのトイレにこのサービスが提供されているかあらかじめ確認しておくと良いかもしれません。

「生理用品が常備される世の中にしたい」

このサービスにTwitterでは「生理用品ないまま出かけてしまった時、すごく助かった」「ナプキン持っていくの忘れちゃうことあるからこれは神」「個室内だから人に見られないのはとても良い」とコメントが寄せられています。

公式サイトによると、このサービスは「生理のある人が強いられるさまざまな負担をまかないたい」という想いから生まれ、「経済格差やジェンダーギャップといった不均衡の是正に寄与」することを目指しているといいます。

実際に日本のユース女性の生理をめぐる意識調査結果によると、 回答者の10人のうち3人が生理用品の購入をためらったことがあるといいます。その理由として「収入が少ない」「生理用品が高額」「お小遣いなど自分が使えるお金が少ない」など、経済的事情が挙げられています。こうした問題を背景に、生理用品が常備される世の中にしたいという思いをこめて「One in The restroom」の頭文字を取って「OiTr」とネーミングされています

スコットランドでは世界に先駆け生理用品を無償化

海外では生理用品を無料で提供する動きが盛んです。

アメリカのNPO団体「PERIOD.」は、生理用品がトイレに無料で設置されていないことに声をあげ、”If men had to pay for toilet paper” (「もし男性がトイレットペーパーにお金を払わなければならなかったら」)という動画を挙げています

Youtubeでは公共トイレでタンポンやナプキンに無料でアクセスできるように「#FreeThePeriod 」のハッシュタグを使って声をあげようと訴えています。

またアメリカや世界中で生理用品を必要としている 350 以上の組織に配布するサービスも行っているといいます

ほかにも、フェムテックのサポートや生理の貧困対策などに取り組むFemtech Japanでは、「生理用品を設置して欲しいと願っているものの、様々な要因により実現しないという悩みが我々の元に多く届く」ことから、学校や会社などのトイレへの生理用品設置をサポートする取り組みを行っています

こうした取り組みを行うのは、ボランティア団体や企業だけではありません。

スコットランドでは世界で初めて「全ての人を対象に生理用品が無償」となりました

もともとスコットランドは、2018年に行われた調査で、4人に1人の学生が生理用品にアクセスすることが難しいことが明らかになっていました。この結果を受け、同年「学生」に対し世界で初めて無料で生理用品を提供していました。

このように生理用品への課税を引き下げたり、廃止したりした国や地域は他にもあります。

日本の地方自治体でも、生理用品を無料で提供するサービスを行っています。しかし厚生労働省の調査によると、約半数の人が制度の存在を知らなかったり、証明書などを職員に見せなければならなかったりするため、「申し出るのが恥ずかしい」「人の目が気になる」などの理由で躊躇してしまう人がおり、まだまだ課題が残っています。

会話を恥じずに

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Lourdes Balduque via Getty Images
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生理用品にアクセスできないことは、プライベートの予定を諦めたり、学業や仕事に集中できないなど日常生活に影響をきたします

こうした問題に目を向け、これからOitrの様な取り組みが増え、生理によって社会生活を諦める人が減ることを願います。

生理についての会話を恥じることなく「OiTr」などのサービスがある場所を友達にシェアしてあげるだけで、誰かの役に立つことがあります。必要とすべき人々にその情報が届きますように。