カップ麺に“あの油”を加えるのはNGだった。「容器破損のおそれがある」と国民生活センターが注意喚起

発泡ポリスチレン製の容器が変質・破損して、湯が漏れ出すことがあります。
カップ麺のイメージ画像
カップ麺のイメージ画像
Getty Images

国民生活センターがカップ麺にココナッツなどから抽出したMCTオイルやエゴマ油を入れると容器破損のおそれがあるとして注意喚起している。

「発泡ポリスチレン製容器にMCTオイルやえごま油等を加えるのはやめましょう。容器が変質・破損するおそれがあります」

発泡ポリスチレン製の容器の特徴は、軽くて丈夫、そしてクッション性がある他、熱を伝えにくく、食品の保存性に優れているため、主にカップ麺などの容器に使用されている。

国民生活センターには、この容器に入ったカップ麺を調理した際にMCTオイルやえごま油などの食用油を加えたところ、容器が破損して湯が漏れ出したという相談が2018年から約5年間に6件寄せられた。そのうち、やけどを負ったという事例も1件確認されたという。

寄せられた主な事例は?

  • 即席カップめんを食べようとしたら、容器の外に湯がにじみ出てきて、水滴が垂れてきた。事業者が原因を調べたところ、ココナッツオイルなど中鎖脂肪酸を多く含む油脂が、容器の内側に付着したことにより、容器が薄くなり、強度が弱くなった部分が破れたものとわかった。

  • 即席カップめんに湯とMCTオイルをほぼ同時に入れて食べようとしたところ、容器の底が抜け足に湯がかかった。熱いと思ったがやけどはしなかった。商品には、カップが変質し破損するおそ れがあるので、添付以外の食用油等は加えないでくださいとの表示があった。同様の事故が起 きる可能性があるため、注意表示をもっと目立つようにするべきではないか。

  • 2種類の即席カップめんにMCTオイルを入れたところ、いずれも容器が破損し、中身が漏れて食べられなかった。MCTオイルは身体に良いオイルと言われプレゼントされたもので、コーヒーやスープに混ぜてお召し上がりくださいと書いてあったので、入れても大丈夫だと思った。

国民生活センターによると、発泡ポリスチレン製容器を使用しているカップ麺には「容器が変質・破損するおそれがあるため、添付以外の食用油等を加えてはならない」などと表示が記載されている。また、食用油の一部にも、「ポリスチレン製の食品容器に使用してはならない」などとの表示されているものもあるという。

カップ麺・食用油の表示を調査

国民生活センターは、発泡ポリスチレン製容器を使用したカップ麺と食用油の表示について調査。発泡ポリスチレン製容器のカップ麺18銘柄を調べたところ、すべての商品本体とウェブサイトには「添付以外の食用油等を加えてはならない」と表示があったという。

また、食用油のMCTオイル、ココナッツオイル、えごま油、アマニ油(以下、「テスト対象食用油」とします)の13銘柄を調べた結果、10銘柄の商品本体には、「発泡ポリスチレン製容器に使用してはならない」との表示があったが、ないものもあったという。また、ウェブサイトなどに表示があるのは半数程度だったことがわかった。

発泡ポリスチレン製容器の変質・破損の再現テスト

国民生活センターは、発泡ポリスチレン製容器に湯と食用油を加え再現テストを実施。結果として、以下のことがわかったという。

  • 湯を注いで3分後にテスト対象食用油を加えると、発泡ポリスチレン製容器が破損したり、内側の表面が変質することがあった。
  • テスト対象食用油を加えた直後に湯を注ぐと、発泡ポリスチレン製容器が変質する範囲が広くなった。

国民生活センターは、消費者に対し、「MCTオイルやえごま油等の食用油を、容器が発泡ポリスチレン製の即席カップめん等に加えると、容器が変質・破損し、湯が漏れることがあります」とつづり、「添付以外の食用油等は加えないようにしましょう!」 と注意を呼びかけている。

また、業界・事業者へは、発泡ポリスチレン製容器の変質・破損を防ぐ表示を商品本体に見やすく記載するとともに、その危険性が消費者に広く周知されるよう要望するとしている。

注目記事