更年期や老いもあるけれど、人生は楽しい。52歳LiLiCoが考える、自分の身体を知ること・語ること

好評連載 第39回 LiLiCoの「もっとホンネで話そう。私たちのこと」
タレントのLiLiCoさん
Yuko Kawashima
タレントのLiLiCoさん

世間を騒がすイシューからプライベートの話題まで、LiLiCoさんがホンネで語り尽くす本連載。今回のテーマは、「身体との向き合い方」です。

現在52歳のLiLiCoさんは、約3年前に声帯の手術と膝の骨折を同時期に経験。怪我で一時は心身共に落ち込んだけれど、この6月には10kmマラソンを完走し「今が絶好調」だそう。

40代から50代にかけては、女性ホルモンの揺らぎや体力の低下など様々な変化が起き、身体との付き合い方が変わる時期。LiLiCoさんは、「身体と向き合うのは人生を楽しくするため」だと語ります。

膝の骨折から3年、10kmマラソン完走で自信に

6月11日、アンバサダーを務める「伊豆稲取キンメマラソン2023」の10kmマラソンに参加してきました。4年ぶりの開催となったキンメマラソンで、久しぶりにランナーの皆さんと交流できてうれしかった!

子どもの頃からスポーツに親しんできた私は、日本に来てからもプロレスラーとして活動したり、マラソンを走ったり、いずれはポールダンスをやってみたいという夢を抱いたりしてきました。しかし2020年の夏に左膝を骨折し、2022年にはプロレスを引退。ずっと膝に体重をかけるのが怖かったので、今回の10km完走は自信になりました。

Yuko Kawashima

実は、今年の3月から体重を9kg落としました。目的は、スリムになるためではなく、健康になるため。ようやく自分にとって調子がいい体重に戻って、今絶好調。身体をいたわることをしなかった30代の頃より元気だと感じています

体重が増えたきっかけの一つは、2020年の声帯の手術後、半年間ほどステロイドを使った治療をしていたこと。薬の副反応で10kgほど体重が増えてしまったんです。同時期に左膝を骨折して思うように動けず、ロケやスポーツなどの楽しみを失ったことによるストレスも原因だと思います。

人には適正な体重があるんですよね。私の場合、あまりに体重が増えると息苦しさと眠気でやる気がダウンしてしまうので、2年以上減量しようといろいろやってきたんです。ただ、なかなか難しくて…。

だけど、今がタイミングだったということなのでしょう。3月のある日、朝起きて「今日だ!」とひらめいたんです。仕事に向かうタクシーのなかで、以前からお世話になっているパーソナル・トレーナーの方に電話をしてジムの予約を取り、以来、週3回のトレーニングをしています。

Yuko Kawashima

もう一つ、できるだけ日課として取り組んでいるのが6kmのウォーキングです。大好きなback numberの音楽とお気に入りのスケッチャーズのスニーカーで、気分を上げて1時間ほど歩いています。食事にも適度に気をつけながら、カテキンのサプリメントもとっています。

これらはきっと、今の年齢の私に合ったやり方だったのだと感じています。以前は同じ方法では体重を落とせなかったので、人には適正な体重と同様、年齢に合った減量方法がそれぞれにあるということなのでしょう。52年の人生で学んだことです。

私はいつもの体重に戻ったら、元気が出て、頭も冴えて決断も早くなった。いい仕事にも巡りあっています。

Yuko Kawashima

生理が来なくなって生活が楽になった

女性は50歳前後で閉経し、その前後5年は更年期と呼ばれます。更年期は、女性ホルモンの1つであるエストロゲンの揺らぎによる影響で自律神経のバランスが乱れ、怒りっぽくなったり身体がほてったりとさまざまな不調があらわれるといいます。

私も生理が約1年来ていないので、そろそろ閉経の時期なのでしょう。更年期の症状を自覚したことはなかったのですが、更年期以降、女性ホルモンの影響で骨量も減少するとも聞きますから、膝を骨折したのもその影響だったのかもしれません。実は憧れの先輩たちに、昔から「バリバリ働いている女性は絶対50歳で怪我や病気をするから気をつけて!」と言われてきたんです。

今振り返ると、女性ホルモンの影響で体重が増えやすくなるそうなので、10kg太った原因のひとつも、更年期の症状だったのかもしれませんね。

Yuko Kawashima

生理が来なくなってから、生活がすごく楽になったのを感じます。ナプキン代はかからないし、いつどこで生理になるか分からないという不安もないし、生理用品を持ち歩くわずらわしさもない。すでに子どもは諦めましたから、未練もありません。

テレビやネットニュースなどを見ていても、ここ何年かで生理の話題がタブー視されなくなってきたのを感じます。それと比較すると、更年期についてはまだまだ知られていないのかもしれません。そういえば、4月末にスウェーデンに帰国したときは、更年期を扱ったテレビ番組がやっていて驚きました。

更年期について周囲に打ち明けづらいと考える人も、まだまだ多いでしょう。ただ更年期は、ホルモンの揺らぎという自然現象によって起こるもの。恥ずかしがったり、申し訳ないと思ったりする必要はないし、つらければ専門家に行くべきです。

必要なのは、周囲やパートナーが理解を深めて、更年期のつらさをわかってあげること。そして、「今、更年期でつらいんだ」と話しやすい環境を作ってあげること。そもそも更年期は男性にも起こりうるものです。

女性同士なら、個々に症状が違うという前提でいたわり合えるといいですよね。私の周りの女性たちは、みんな生理や更年期についてストレートに話す人ばかりですよ。汗だくになったら「やだ、更年期だわ~」なんて一緒に笑いあって過ごせる仲間たちです。

身体と向き合うのは人生を楽しくするため

Yuko Kawashima

年齢とともに、身体には必ず変化が訪れます。でも、それは仕方のないこと。私も夕方になって目がショボショボしてきたら、ハズキルーペを使う年齢になりました。

ほかに年齢を感じるのは、音楽の楽しみ方が変わったことかな。昔は武道館や東京ドームのスタンディングライブで「イエーイ!」と身体を揺らしているのが好きだったけれど、最近はビルボードライブやブルーノート、コットンクラブなどでお酒や食事を楽しみながらゆったり座って音楽を聴く方が好みです。

経験を重ね、ときに失敗もし、また知識をつけることで、身体の扱い方がうまくなってきたという感覚があります。例えば、食事の仕方。私は血糖値スパイクが起きやすいようで、昼間に炭水化物を食べるとものすごい眠気に襲われるため、長時間の映画を見る試写会前には炭水化物を食べないことにしています。

適正な体重にしろ、減量方法にしろ、心地よく過ごせる生理用品にしろ、私が自分に合ったスタイルを見つけられたのは、常に自分の身体を観察しているから。スタイリストの大草直子さんも、「どんな洋服が自分に似合うのか分からない人は、普段から自分の裸を見ていないんですよ」と話していました。

誰の心にも自分をよくしたいという願望はあるはずです。一度きりの人生、ぜひ身体の声を聞いて、自分に合うものを見つけてみてほしいです。

Yuko Kawashima

(取材・文=有馬ゆえ、写真=川しまゆうこ、編集=若田悠希)