グラミー賞主催団体の元会長から「薬を盛られ性的暴行を受けた」。楽器奏者の女性が提訴

女性は元会長ニール・ポートナウ氏から2018年6月にレイプ被害にあったと主張。一方、ポートナウ氏の代理人は、女性の主張は虚偽だとして否定している。
ニール・ポートナウ氏=2023年2月4日、アメリカ・カリフォルニア州
ニール・ポートナウ氏=2023年2月4日、アメリカ・カリフォルニア州
Mark Von Holden via Getty Images

グラミー賞の主催団体「レコーディング・アカデミー」元会長のニール・ポートナウ氏から「薬を盛られ性的暴行を受けた」として、被害を訴える女性が11月8日、ニューヨーク州最高裁判所に提訴した。New York Times紙が報じた。

ポートナウ氏は2019年まで同団体のCEOを務めていた。提訴した女性の名前は明らかになっていないが、同紙によると、アメリカ出身ではなく、カーネギーホールでの演奏経験もある楽器奏者だという。

訴状によると、原告の女性とポートナウ氏は2018年1月にニューヨークで開催されたレコーディング・アカデミー主催のイベントで出会った。女性が立ち上げた出版物のためにインタビューを申し込んだところ、6月にポートナウ氏の滞在するキタノホテルの部屋に招かれ、提供されたワインを飲んだところ、頭が朦朧としたという。

ポートナウ氏は女性を家に送るためのタクシーがないと言い、女性のことを「ずっと考えていた」とも述べたという。ポートナウ氏に強制的にレイプされていたことに気づき何度も目を覚ましたが、女性は朝まで意識が朦朧としていたと主張している。

ポートナウ氏の代理人は8日、女性の主張は虚偽だとして、「彼女の過剰な金銭要求と居住ビザ取得の援助を、ポートナウ氏が拒否したことが動機に違いない」とNew York Timesに述べた。

ハフポストUS版はレコーディング・アカデミーとポートナウ氏にコメントを求めたが、期限までに回答はなかった。

女性は、ポートナウ氏に連絡を試みたが無視され、レコーディング・アカデミーの役員にも性的暴行についてメールで知らせたとも述べている。女性は後に警察に報告したものの、女性の弁護士によると、地元検察が追求を拒否したという。

レコーディング・アカデミーはNew York Timesへの声明で、「我々は引き続き、この訴訟の主張には根拠がないと信じており、アカデミーを強く防衛するつもりだ」と述べた。

訴訟には、女性とレコーディング・アカデミーの間での通信のやりとりや、ポートナウ氏が2018年11月に原告に送ったとされるメールの画像が含まれており、そのメールには、「私は常に、全ての面であなたを尊重していたことを分かってください」と書かれている。

ポートナウ氏に関するスキャンダルはこれが初めてではない。

ポートナウ氏は、2018年のグラミー賞で女性受賞者が少ないことに対する反発に対し、「女性はもっとステップアップする必要がある」と述べた。

また、彼の後任であるデボラ・デューガン氏は、就任からわずか5カ月で解任され、その後、雇用機会均等委員会に対し、ポートナウ氏が犯したとされる犯罪の隠蔽を含む、レコーディング・アカデミーの不正行為を告発していた。

原告の弁護士であるジェフリー・R・アンダーソン氏は「ニール・ポートナウが『女性が立ち上がること』を支持するのは口先だけ」であり、「彼自身や他の人によって抑圧されているすべての女性やミュージシャンに対して危害を加えている」とNew York Timesに語っている。

ポートナウ氏の代理人はNew York Timesに対し、ポートナウ氏は告発後、レコーディング・アカデミーの人事部門にテキストメッセージやメールを「即座に提供した」と述べた。しかし原告は、自身は捜査に参加していないと述べている。

ポートナウ氏は2019年7月に雇用契約が満了しCEOを辞任。その後2022年7月に80万ドル(約1億2000万円)のボーナスを受け取ったと報じられている。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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