モネ展やキュビスムに話題の和食展も。東京の美術館、冬のおすすめ展覧会17選【2024】

上野で開催中のモネ展や和食展から、森美術館の「私たちのエコロジー」まで。冬の間に訪れたい東京の美術館・博物館についてまとめました。
主な展覧会のメインビジュアル。左上から「キース・ヘリング展」「特別展 和食」「モダン・タイムス・イン・パリ 1925」「みちのく いとしい仏たち」「オラファー・エリアソン展」
主な展覧会のメインビジュアル。左上から「キース・ヘリング展」「特別展 和食」「モダン・タイムス・イン・パリ 1925」「みちのく いとしい仏たち」「オラファー・エリアソン展」
各主催者より提供

人出の少なくなる年末年始は、静かな空間で芸術や文化と向き合う絶好の機会と言えるかもしれない。そこで今回、東京都内の美術館などで開かれている主な展覧会をピックアップ。見どころや概要を紹介する。

モネ、ピカソ、ゴッホらの名画

まずは西洋美術の展覧会から。上野では、入場者数20万人を突破した印象派のモネ展が人気を集めるほか、日本でおよそ半世紀ぶりとなる「キュビスム」を主題とした大規模展も開催中。都内ではゴッホ展やローランサン展も開かれている。概要はそれぞれ以下の通り。

「モネ 連作の情景」(上野の森美術館)

印象派の画家クロード・モネの生涯をたどり、《睡蓮》や《積みわら》などの代表作にみられる「連作」という手法に光を当てた展覧会。国内外から集めた約60点のモネ作品だけで構成した本展は、開幕から6週間で入場者数20万人を突破した。

会場:上野の森美術館(東京都台東区)
会期:2023年10月20日〜2024年1月28日
休館:会期末まで無休
料金:平日一般2800円など ※日時指定予約を推奨
公式サイトはこちら

クロード・モネ《ヴェンティミーリアの眺め》1884年、グラスゴー・ライフ・ミュージアム(グラスゴー市議会委託) © CSG CIC Glasgow Museums Collection. Presented by the Trustees of the Hamilton Bequest, 1943
クロード・モネ《ヴェンティミーリアの眺め》1884年、グラスゴー・ライフ・ミュージアム(グラスゴー市議会委託) © CSG CIC Glasgow Museums Collection. Presented by the Trustees of the Hamilton Bequest, 1943
「モネ 連作の情景」

「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展-美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」(国立西洋美術館)

世界屈指の近現代美術コレクションを誇るパリのポンピドゥーセンターから、「キュビスム」にまつわる作品が多数来日。美術の歴史を大きく変えた20世紀初頭の”革命”の全体像を、ピカソやブラックをはじめとする主要作家約40人の絵画などで概観する。セザンヌやアフリカ彫刻の影響から、後続世代のル・コルビュジエらの芸術運動まで、実験精神に富んだ芸術家たちの試行の連鎖をたどることができる。

会場:国立西洋美術館(東京都台東区)
会期:2023年10月3日〜2024年1月28日
休館:月曜日
料金:当日一般2200円など ※予約不要
公式サイトはこちら

ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年 Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat de l’ État, 1936. Attribution, 1937) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP
ロベール・ドローネー《パリ市》 1910-1912年 Centre Pompidou, Paris, Musée national d’art moderne - Centre de création industrielle (Achat de l’ État, 1936. Attribution, 1937) © Centre Pompidou, MNAM-CCI/Georges Meguerditchian/Dist. RMN-GP
「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展-美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」

「ゴッホと静物画-伝統から革新へ」(SOMPO美術館)

17世紀から20世紀初頭までのヨーロッパ静物画の流れの中に、ゴッホを位置付ける試み。ゴッホが過去から何を学び、次世代にどんな影響を与えたのかを3章構成で探る。《ひまわり》や《髑髏》などゴッホの油彩画25点が、ドラクロワやセザンヌらの作品とともに展示されている。

会場:SOMPO美術館(東京都新宿区)
会期:2023年10月17日〜2024年1月21日
休館:月曜日
料金:当日一般2000円など ※日時指定予約を推奨
公式サイトはこちら

フィンセント・ファン・ゴッホ 《髑髏》1887年、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)
フィンセント・ファン・ゴッホ 《髑髏》1887年、ファン・ゴッホ美術館、アムステルダム(フィンセント・ファン・ゴッホ財団) Van Gogh Museum, Amsterdam (Vincent van Gogh Foundation)
「ゴッホと静物画-伝統から革新へ」

「マリー・ローランサン-時代をうつす眼」(アーティゾン美術館)

女性たちを描いた優美な人物像で知られるローランサン。20世紀前半に活躍したパステルカラーの画家は、マティスやピカソらと交流しながらも、男性主導の流派(イズム)や様式には収まることなく、独自の画境を切り開いた。今回は計60点を超える絵画や挿絵本などでその画業を紹介。「人物画」「舞台芸術」など展示はテーマ別に構成され、同時代の画家の作品も並ぶ。

会場:アーティゾン美術館(東京都中央区)
会期:2023年12月9日〜2024年3月3日
休館:月曜日(2月12日は開館)、2月13日
料金:一般窓口2000円など ※WEB予約も可
公式サイトはこちら

マリー・ローランサン《シェシア帽を被った女》1938年、ヤマザキマザック美術館
マリー・ローランサン《シェシア帽を被った女》1938年、ヤマザキマザック美術館
「マリー・ローランサン-時代をうつす眼」

和食や民間仏、多様な日本文化に触れる

日本列島の多様な文化を学ぶのも良いかもしれない。上野では、2020年に開催予定だった「特別展 和食」がついに開幕。北東北の小さな祠などに残された仏像を集めた「みちのく いとしい仏たち」は、京都や奈良の”オーセンティック”な造形とは異なる姿に、地域ごとの祈りのかたちを見る。このほか、干支の「辰」にまつわる工芸品などを集めた「ハッピー龍イヤー!」も始まっている。

「特別展 和食~日本の自然、人々の知恵~」(国立科学博物館)

ユネスコ無形文化遺産にも登録された「和食」を、科学や歴史など多角的な視点でひもとく。列島の自然が育んだ多様な食材や、人々の知恵と工夫が生んだ技術の数々を、さまざまな標本や資料によって紹介する。発酵や出汁の科学的解説、卑弥呼の食卓の再現、江戸の「グルメガイド」の資料展示など見どころ十分。展示終盤には「和食のこれから」を展望するコーナーもある。

会場:国立科学博物館(東京都台東区)
会期:2023年10月28日〜2024年2月25日
休館:月曜日(2月12日と2月19日は開館)、2月13日
料金:当日一般2000円など ※予約不要
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奈良時代の貴族の宴会料理の再現模型 奥村彪生監修 奈良文化財研究所蔵
奈良時代の貴族の宴会料理の再現模型 奥村彪生監修 奈良文化財研究所蔵
「特別展 和食〜日本の自然、人々の知恵〜」

「みちのく いとしい仏たち」(東京ステーションギャラリー)

青森・岩手・秋田の村々の小さなお堂や民家に祀られた、ユニークでぎこちない姿が印象的な「民間仏」。上方や江戸の仏師らが残した”プロの作品”とは違って端正な顔立ちも煌びやかな装飾もないけれど、そこには素朴で真摯な「祈りのかたち」が見て取れる。本展では、こうした北東北の暮らしの中で生まれた約130点の民間仏などを紹介。寺院の装飾などが画一化されていく近世以降の歴史を踏まえながら、そこには収まらない多様な信仰の形を映し出す企画だ。

会場:東京ステーションギャラリー(東京都千代田区)
会期:2023年12月2日〜2024年2月12日
休館:月曜日(2月5日と2月12日は開館)
料金:当日一般1400円など ※予約不要
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《十王像》江戸時代 黒石寺/岩手県奥州市
《十王像》江戸時代 黒石寺/岩手県奥州市
「みちのく いとしい仏たち」

「ハッピー龍イヤー!〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」(静嘉堂@丸の内)

「辰年」にちなんだ展覧会を企画したのは、静嘉堂文庫美術館。コレクションから龍をモチーフにした美術品を並べ、古典籍から想像上の動物のイメージの成り立ちをひともく。龍を描いた絵画は、重要文化財の橋本雅邦《龍虎図屏風》と、鈴木松年《群仙図屏風》を合わせて紹介。龍の文様を施した壺や盆の技巧にも目をこらしたい。

会場:静嘉堂@丸の内(東京都千代田区)
会期:2024年1月2日〜2月3日
休館:月曜日(1月29日は開館)
料金:一般1500円など ※「辰年生まれ」などは割引あり
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《青花黄彩雲龍文盤》「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯、清時代・乾隆年間(1736~95)、静嘉堂文庫美術館蔵
《青花黄彩雲龍文盤》「大清乾隆年製」銘 景徳鎮官窯、清時代・乾隆年間(1736~95)、静嘉堂文庫美術館蔵
「ハッピー龍イヤー!〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」

現代美術で考える環境や技術

六本木ヒルズ内の森美術館では、環境危機や生態系をテーマにした現代美術の展覧会「私たちのエコロジー」を開催。一方、新たに開館した麻布台ヒルズギャラリーでは、気候変動への取り組みなどで注目を集めるアーティスト、オラファー・エリアソンの個展が開かれている。

現代美術の分野では昨今、人と自然の関わりを問う「エコロジー」や、人工知能(AI)などに代表される「テクノロジー」の問題が注目を集める。同時代の作家の思考や実践に触れることで、新たな視座を得ることもできるかもしれない。

「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」(森美術館)

森美術館の開館20周年を記念して開催される本展は、「環境危機に現代アートはどう向き合うのか?」という副題を添えて、世界16カ国34人のアーティストの作品約100点を紹介する。養殖真珠を主題としたモニラ・アルカディリの新作は、自然の生態系に深く介入する人間の欲望を批判的に提示。貝殻がセメントなどの建材に変換されるプロセスを来場者に追体験させるニナ・カネルのインスタレーションは、地球上のあらゆるものが循環のプロセスで繋がっていることを想起させる。また、高度経済成長期に起こった環境問題の数々に対し、日本人アーティストがどう向き合ってきたのかをたどる章も見どころの一つだ。桂ゆきや鯉江良二らの作品がエコロジーの観点から読み直される。

会場:森美術館(東京都港区)
会期:2023年10月18日〜2024年3月31日
休館:会期中は無休
料金:平日一般2000円など ※WEB予約も可
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展示風景より、モニラ・アルカディリ《恨み言》 2023年(撮影:木奥惠三、画像提供:森美術館)
展示風景より、モニラ・アルカディリ《恨み言》 2023年(撮影:木奥惠三、画像提供:森美術館)
「私たちのエコロジー:地球という惑星を生きるために」

「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」(麻布台ヒルズギャラリー)

気候変動対策をはじめ、社会的課題への積極的な取り組みでも知られるアイスランド系デンマーク人のアーティスト、オラファー・エリアソン。この秋オープンしたばかりの麻布台ヒルズギャラリーでは、水や光、風といった自然現象や物理の研究をもとにしたエリアソンの新作などを紹介している。大型インスタレーション《瞬間の家》は、暗闇に放たれた水をストロボの光で瞬間的に照らすもので、全長20メートル超の空間に美しい曲線が浮かび上がる。太陽光などを動力として描いたドローイングもあり、新たな知覚体験に誘う作品群に出会うことができる。

会場:麻布台ヒルズギャラリー(東京都港区)
会期:2023年11月24日〜2024年3月31日
休館:会期中は無休
料金:一般1800円など ※WEB予約も可
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オラファー・エリアソン《蛍の生物圏(マグマの流星)》2023年(撮影:Jens Ziehe)
オラファー・エリアソン《蛍の生物圏(マグマの流星)》2023年(撮影:Jens Ziehe)
「オラファー・エリアソン展:相互に繋がりあう瞬間が協和する周期」

「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」(森アーツセンターギャラリー)

1980年代のニューヨークで活動したキース・ヘリングの回顧展。ウォーホルやバスキアとともにカルチャーシーンを牽引したヘリングは、核放棄やエイズ予防などアートを通じて社会にさまざまなメッセージを発信したことでも知られている。今回は地下鉄の駅構内で描いた「サブウェイ・ドローイング」や代表作《イコンズ》など約160点を紹介する。

会場:森アーツセンターギャラリー(東京都港区)
会期:2023年12月9日〜2024年2月25日
休館:会期中は無休
料金:一般・大学生2200円など ※WEB予約も可
公式サイトはこちら

キース・ヘリング Photo by ©Makoto Murata
キース・ヘリング Photo by ©Makoto Murata
「キース・ヘリング展 アートをストリートへ」

「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」(東京都現代美術館)

コンセプチュアルな作風で、自己を取り巻く制度や約束事をユニークに読み替える現代美術作家・豊嶋康子。1990年から続くキャリアの全貌を約400点の作品で検証する個展が、東京都現代美術館で始まっている。「天地」「左右」といった物の見方や、道具の使い方など、私たちが当たり前のように受け入れているルールをひっくり返した時、日常世界の「成り立ち」が見えてくる。社会と「私」の関係を問い直す豊嶋の作品に触れれば、きっと物事の見方が変わってしまうはずだ。

会場:東京都現代美術館(東京都江東区)
会期:2023年12月9日〜2024年3月10日
休館:月曜日(2月12日は開館)、2月13日
料金:一般1400円など
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《回転左右》2018年、個人蔵(撮影:豊嶋康子)
《回転左右》2018年、個人蔵(撮影:豊嶋康子)
「豊嶋康子 発生法──天地左右の裏表」

「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」(東京都現代美術館)

豊嶋康子展と同時開催中の「MOTアニュアル」は、若手作家を中心に現代美術の一断面を切り取る同館のシリーズ企画。19回目となる今回は、生成AIやNFTなどさまざまなテクノロジーを創作に用いるアーティスト11組の取り組みを紹介する。メディアアートの文脈で注目を集めるやんツーや市原えつこの新作に加え、小学校の夏休み課題として制作したNFTアートが話題を集めた「ZONBIE ZOO KEEPER」のドット絵も展示している。

会場:東京都現代美術館(東京都江東区)
会期:2023年12月2日〜2024年3月3日
休館:月曜日(2月12日は開館)、2月13日
料金:一般1300円など
公式サイトはこちら

Zombie Zoo Keeper 《Zombie Zoo #0082 / #0123 / #0011 / #0081 / #0007 / #0012 / #0059 / #0035》2021 ©Fictionera
Zombie Zoo Keeper 《Zombie Zoo #0082 / #0123 / #0011 / #0081 / #0007 / #0012 / #0059 / #0035》2021 ©Fictionera
「MOTアニュアル2023 シナジー、創造と生成のあいだ」

写真家やデザイナーの個展も

最後に、写真家やデザイナーの仕事を紹介する展覧会を。蜷川実花は、データサイエンティストの宮田裕章や建築家の藤本壮介らとともに制作した巨大な映像インスタレーションを展開。また写真家ホンマタカシは、日本の美術館では約10年ぶりとなる個展を開催中だ。没後30年が経過したデザイナー倉俣史朗の回顧展は、その類稀な創作の軌跡を振り返る貴重な機会となっている。

郊外まで足を伸ばしたい場合は、神奈川・箱根のポーラ美術館か、埼玉・所沢の角川武蔵野ミュージアムへ。没入型の展示などを楽しめる。

「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」(TOKYO NODE GALLERY)

虎ノ門ヒルズ45階に新たにオープンしたギャラリー空間に、映像インスタレーションや写真、立体展示による11作品を集めた体験型の展覧会。生命のサイクルや四季の花々をモチーフにした極彩色の映像が、建築や音楽、舞台美術のプロフェッショナルらとのコラボを通じて空間全体へと展開されている。高さ15メートルのドーム型壁面を使った大型映像や、桃源郷をイメージした色鮮やかな空間展示も。

会場:TOKYO NODE GALLERY(東京都港区)
会期:2023年12月5日〜2024年2月25日
休館:会期中は無休
料金:平日一般2500円など ※日時指定予約が必要
公式サイトはこちら

展示風景より《Blooming Emotions》2023年(提供:TOKYO NODE)
展示風景より《Blooming Emotions》2023年(提供:TOKYO NODE)
「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」

「即興 ホンマタカシ」(東京都写真美術館)

都市開発が進む東京郊外の画一的な風景を捉えた作品などで高い評価を受けてきた、写真家のホンマタカシ。日本の美術館では約10年ぶりの個展となる本展では、この間に制作された作品など約50点を紹介する。展示の中心となる「THE NARCISSISTIC CITY」は、世界各地の都市で建物の一室をピンホールカメラに仕立て、外の風景を「カメラ・オブスクラ」の原理で撮影したシリーズ。人間がレンズ越しに撮ったわけではない本作において、実際に風景を撮影しているのはいったい誰なのか。そんな問いが喚起されるシリーズだ。

会場:東京都写真美術館(東京都目黒区)
会期:2023年10月6日〜2024年1月21日
休館:月曜日
料金:一般700円など
公式サイトはこちら

ホンマタカシ《広島平和記念資料館》、〈THE NARCISSISTIC CITY〉より、2013年 ©Takashi Homma Courtesy of TARO NASU
ホンマタカシ《広島平和記念資料館》、〈THE NARCISSISTIC CITY〉より、2013年 ©Takashi Homma Courtesy of TARO NASU
「即興 ホンマタカシ」

「倉俣史朗のデザイン-記憶のなかの小宇宙」(世田谷美術館)

造花の薔薇を透明アクリル樹脂に封じ込めた「椅子」や、7本の針を持つ「時計」。こうした風変わりな家具や特色あるインテリアデザインを数多く手がけ、今なお国内外で高い評価を得る倉俣史朗の回顧展。創作の源泉が垣間見えるようなイメージスケッチなども紹介し、デザイナー自身の言葉を手がかりに50代後半で没するまでの軌跡をたどる。

会場:世田谷美術館(東京都世田谷区)
会期:2023年11月18日〜2024年1月28日
休館:月曜日
料金:一般1200円など ※WEB予約も可
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倉俣史朗《ミス・ブランチ》1988年、富山県美術館蔵 (撮影:柳原良平) © Kuramata Design Office
倉俣史朗《ミス・ブランチ》1988年、富山県美術館蔵 (撮影:柳原良平) © Kuramata Design Office
「倉俣史朗のデザイン―記憶のなかの小宇宙」

「モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン」(ポーラ美術館)

第一次世界大戦後、1920年代のパリでは急速に工業化が進み、「機械時代」(マシン・エイジ)と呼ばれる華やかでダイナミックな時代がやってきた。本展は、この時期に生み出されたモダンな芸術やデザインを集め、機械や合理性をめぐる人々の価値観の変容に光を当てる。アール・デコに見られる幾何学的造形や、合理主義を批判的に捉えたシュルレアリストたちの「オブジェ」。さらに、100年後の現在の表現として「ポスト・ヒューマン」的世界観を提示する空山基の立体作品なども紹介する。

会場:ポーラ美術館(神奈川県箱根町)
会期:2023年12月16日〜2024年5月19日
休館:会期中は無休
料金:大人1800円など ※予約不要
公式サイトはこちら

ラウル・デュフィ《パリ》1937年、ポーラ美術館
ラウル・デュフィ《パリ》1937年、ポーラ美術館
「モダン・タイムス・イン・パリ 1925-機械時代のアートとデザイン」

「サルバドール・ダリ -エンドレス・エニグマ 永遠の謎-」(角川武蔵野ミュージアム)

名作絵画などを壁や床に投影し、その世界観に全身で浸ることができるとうたう没入型ミュージアム。角川武蔵野ミュージアムでは、浮世絵とゴッホに続く第3弾として、スペイン出身のシュルレアリスムの画家ダリの作品を使った体験型エンターテインメントを制作した。《記憶の固執》や《聖アントワーヌの誘惑》などの超現実的絵画と、記録写真や映画などで構成された全12幕の映像が、空間全体に映し出される。

会場:角川武蔵野ミュージアム(埼玉県所沢市)
会期:2023年12月20日〜2024年5月31日
休館:第1・3・5火曜日、1月15日~1月19日
料金:一般2500円など ※WEB予約も可
公式サイトはこちら

第1会場の展示風景(主催者提供) Creative Direction: Gianfranco Iannuzzi / Created by: Gianfranco Iannuzzi – Renato Gatto – Massimiliano Siccardi / KCM Editing: Rino Tagliafierro / Production: Culturespaces Digital®
第1会場の展示風景(主催者提供) Creative Direction: Gianfranco Iannuzzi / Created by: Gianfranco Iannuzzi – Renato Gatto – Massimiliano Siccardi / KCM Editing: Rino Tagliafierro / Production: Culturespaces Digital®
「サルバドール・ダリ -エンドレス・エニグマ 永遠の謎-」

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