佐藤二朗さん「病を含め僕」。強迫性障害を告白、どんな病気なのか。「見守っています」とファンから激励の声

佐藤二朗さんは「強迫性障害」を小学生の時に発症したとつづった。「根治を諦め、共生を決める」などとつぶやき、ファンからは温かい言葉が寄せられた。
俳優の佐藤二朗さん
俳優の佐藤二朗さん
時事通信社

俳優の佐藤二朗さんが2月6日、自身のXを更新し、「強迫性障害」を患っていることを明かした。その内容に励ましの声が数多く寄せられている。

強迫性障害とは、どのようなものなのか。症状なども含めて紹介する。

「根治を諦め、共生を決める。病含め僕」

佐藤さんは5日、Xに「病。キツイ。マジでキツイ。そのメンタルの病に、世の中で一番大事な『家族』と、世の中で一番大事な『芝居』を、絶対に、絶対に、侵食されぬよう、僕は生きるか死ぬかで、全身全霊で生きる。恐らくは、それしか僕の生きる道はないから」などと投稿し、ファンなどからは心配する声があがっていた。

この投稿が注目された翌日の6日、佐藤さんは再びXで次のように投稿した。

「強迫性障害」。小学生時に発症。あまりにキツく「memo」という映画をつくる。根治を諦め、共生を決める。が、昨夜酔い、書いたら少しは楽になると思い呟いてしまった。侵食されていい。病含め僕。病ゆえの「力」を信じよう。いつか病に礼を言えるよう。ご心配かけすみませんでした。感謝。本当に。

SNSには「見守っていますので、ゆっくりいきましょう」「私は味方です」「病(やまい)含め僕って言葉にすごく勇気が出ました」「強迫性障害知りませんでした。告白してくれてありがとうございました」などと、佐藤さんへの激励のコメントが数多く寄せられた。

強迫性障害とは、どんな病気なのか?

強迫性障害とは、どのような病気なのか。兵庫医科大学で精神科神経科学主任教授を務める松永寿人さんによると、以下のようなものだという。

例えば、「吊り革に触ると新型コロナに感染するかもしれない」「カギをかけ忘れて家に泥棒が入るかもしれない」などの考え(強迫観念)にとらわれることで強烈な不安に駆られ、「何時間も手を洗う」「カギがかかっているか何十回も確認する」などの行動(強迫行為)を、それがばかばかしく過剰であるとわかりながら制御できずに繰り返してしまう病気です。

強迫性障害は、ある日突然発症するような病気ではありません。健康な状態から少しずつ病的な状態へと移行していきます。すなわち「手の内」にある思考や行動が、いつの間にか「手に持て余す」ものへと変貌していくのです。

例えば、コロナを恐れて手を洗うこと自体は誰にでもありますよね。しかし、何度手を洗っても安心できない、さらには繰り返すほどに不安が強くなる状態に陥り、頭にこびりついた思考やそれを解消するための行為が制御できなくて、生活全般に支障をきたすレベルになれば病的と言えます。

強迫性障害を発症している人は、人口の約1、2%程度いると推定されています。その傾向があるグレーゾーンの人を含めると、さらに多いと思います。

向き合い方や治療については、次のように話す。

強迫性障害は強迫行為を止めることで治せるシンプルな病気です。とはいえ、自力で強迫行為をやめるのは並大抵のことではありません。そこで有効なのが、主治医の指導のもと患者さん自身が取り組む治療です。

放っておけば、悪化する方向に加速し長期間にわたって不安に苛まれ、行動に駆り立てられ続け、生活全体に大きな制約を受け、QOL(「Quality of Life」の略で「生活の質」のこと)や自由、そして心身の健康を犠牲にすることになります。

一方、早期に適切な治療につながれば、回復がスムーズになる可能性も高まります。少しでも早くこの病気に気づき、適切な治療をできるだけ早く受けてほしいです。

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佐藤さんは、自身が患っている強迫性障害の経験をもとに、監督として映画を製作したことがある。『memo』という作品だ。

過去のインタビュー記事では「苦しんでいる人に対して『闘いなさい』なんて言葉は厳禁ですし、闘わずに助けを求めたほうがいいです。でも、人間が歯を食いしばって『闘う』ことの価値はあると思っています」などと語っていた

普段からユニークなSNS投稿で多くのファンを楽しませている佐藤さん。その佐藤さんを励ますファンの声がネット上に溢れかえった。

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