毎朝、まだ暗さが残る夜明け前の空にぼんやりと光るグランドピアノが現れ、優しい音色が降り注ぐーー。そんな街が話題になっている。
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その街とは、ドイツ・ミュンヘン。地上10メートルのところにグランドピアノが鍵盤を下にした状態でクレーンで吊るされている。響板のところにほのかにオレンジ色に輝く明かりが付けられており、暗がりの空にピアノの形が浮かび上がる。
目をこらすと、背中を地面に向けた格好でイスに座って鍵盤を操る人の姿が見える。空中に浮かんだピアノを奏でるのは、スイス出身の音楽家であるアラン・ロッシュさんだ。2023年12月22日にこのパフォーマンスを始め、2024年6月20日まで毎日続けるつもりだ。
演奏は『Piano Vertical』(垂直のピアノ)と題されたアート展示の一環。
ロッシュさんが演奏するのは、自身が作曲した「冬至」という楽曲だ。1年で最も昼の時間が短い日を表現した作品となっている。季節の移ろいとともに変化する動物や植物が発する人間の耳には聞こえない音を特殊なマイクを使って拾い、その変化を毎日少しずつ演奏に反映させながらこの曲を弾いているという。
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ロッシュさんがパフォーマンスを始めた2023年12月22日は冬至、締めくくりを迎える2024年6月20日は現地で夏至を迎える日だ。冬至から夏至へと季節が変化していく様子を、ロッシュさんはピアノの音色で表している。
BBCによると、ロッシュさんは自然を「移ろいゆく永遠のサイクル」と表現し、自身の演奏に織り込みたいと考えているという。
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夏至を迎えるころまでに「できあがった曲」は、スイスで開催するコンサートで披露する予定だ。