「車椅子で着れるウェディングドレスはたくさんある!でも…」ギャルユーチューバーの提案から生まれた作品に反響

ある女性の提案を元にしたウェディングドレスが反響を呼んでいます。一緒に制作したのは山形県の高校生たちでした。

車椅子に乗った女性がウェディングドレスを着て、自らの手で漕いで教会の中を進む写真・動画が2月26日、Xに投稿され話題になっています。

写真を投稿したのは、“車いすユーチューバー”として活躍する渋谷真子さん。山形県鶴岡市で生産されている特産品のシルクを使って、地元の高校生が作ったものだそうです。

投稿は「車椅子で着れるウェディングドレスはたくさんある!」から始まります。

しかし、渋谷さんの理想とするデザインや機能性には、まだ足りない部分があったそうです。

でも、どうしてもタイヤや背もたれが丸見え(に)なってたり、写真撮る時だけ隠したりっていうのが多い。私は、横から、後ろから見てもプリンセスラインやベルラインのようなドレスを着たかった!」。

一度かもしれない姿だからこそ色んな人が幸せになれるドレスであってほしい!」とも投稿しています。この投稿は1万回以上「いいね!」され、大きな反響を呼びました。

「ギャル」を自認する渋谷さんは、かつて、父の背中を追いかけて、かやぶき屋根の職人やマタギを目指していました。しかし2018年、屋根からの落下事故によって、26歳で脊髄損傷による車椅子生活に。

現在は、「車いすユーチューバー」として、障がいにおいてタブー視されるようなトピックなども、YouTubeなどで積極的に発信。『普通で最高でハッピーなわたし~特別でもなんでもない二度目の人生~』(扶桑社)の著書もあります。

ハフポストの取材に、渋谷さんはウェディングドレスで最も気に入っているポイントについて「車椅子全体を覆えて、かつ自分1人で車椅子を漕いでも形が崩れないようになっている、後付けタイプのドレススカートです」とコメントします。

ドレスは自分で車いすが漕げるよう、椅子の上だけで完成する部分と、車いす全体を覆う部分がセパレート方式で、長いヴェールと合わせて、横から見てもエレガントなシルエットが実現できています。

渋谷さんが住む鶴岡市は、養蚕から絹織物まで一貫の制作工程が残る国内唯一の地。特産品である絹産業のストーリーは文化庁の「日本遺産」にも選定されています。

地元の高校、県立鶴岡中央高等学校の総合学科ではそのシルクを使ってドレスを作るという授業が以前から行われており、渋谷さん側から、学校に「車椅子全体を覆うドレスの制作を一緒にできないか」と打診し、制作に至ったそうです。

投稿には「ウェディング業界の人間として感動しかありません」「素敵なウエディングドレス」「高校生凄」「車椅子だからを理由に諦めてた部分、諦めなくても大丈夫って知れて喜ぶ方多いと思います」という反応が寄せられました。

渋谷さんは、寄せられた反響に対し、以下のようにコメントしています。

車椅子や障害がある事で、どこか妥協をしなくてはいけない事が多くあります」として「ですが、少しの工夫や誰かの協力があれば、自分が望むような物、あるいは行動が出来る、ということを少しでも感じてもらえたら嬉しいです。また、『高校生がこれだけ出来るんだ!』というエネルギーをもっと世の中が活かしていくことも大切だと思っています

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