「おーぶじょほ」「じょんだ」この意味わかる…? 介護施設で働く外国人のため、“方言マニュアル”が作られた理由

山形県内の老人ホームで働く、技能実習生などの外国人介護従事者向けに、「やまがた方言マニュアル」が作られました。

「じょんだごど」「おーぶじょほ」「け」。

これらの言葉がどういう意味か、わかりますか?

日本語が母語の人にとっても難しい、方言。

日本語を外国語として学んだ外国人にとっては、さらに難易度が高いものです。もし、外国人が働く職場で、親しみない方言が飛び交っていたら……?

介護施設利用者の方言が「わからない」と悩む外国人介護従事者のための、山形の方言のマニュアルがあります。

(初出:BuzzFeed Japan News 2023年2月28日)

やまがた方言マニュアル
やまがた方言マニュアル
山形県

「方言がわからない、難しい」という声をもとに作成

イラストを交えてわかりやすく説明する「やまがた方言マニュアル」を公開したのは山形県。

技能実習生を含む外国人の介護従事者への研修などを行う、一般社団法人「山形県老人福祉施設協議会」が、県の委託を受けて作りました。

作成のきっかけは、外国人介護従事者の「施設の利用者さんの方言がわからない」「難しい」といった声でした。

県内の介護施設では、ベトナム人やフィリピン人、ミャンマー人などの若者らが働いていて、高齢の施設利用者が話す方言の理解に困っていたのです。

山形県老人福祉施設協議会の担当者は取材に対し、「研修で、雪や寒さなど、何か困ったことはないかと聞いていたら、『方言』という意見が出たんです」と話します。

「研修で方言の理解に困っているという声が出て、その研修に参加した外国人37人全員がその意見に対し、首を縦に振っていました」

「山形は大きく分けて4地区ありますが、それぞれの地域で言葉も微妙に違います。現場への聞き取りなども行い、方言をまとめました」

山形県によると、県内で働く外国人は2023年10月時点で5743人。

介護事業・社会福祉業界では、95の事業所で外国人267人が働いています。

介護の現場で使う方言を聞き取り→地域別にまとめ

(イメージ写真)
(イメージ写真)
Getty image

どの方言をマニュアルにまとめるか決める過程では、山形の4地域、置賜、庄内、最上、村山にある6つの特別養護老人ホームも協力し、調査をしました。

現場で働く外国人職員らに難しいと感じる言葉を聞いたり、一覧にまとめたりして、各老人ホームからの意見を募ったため、「現場でリアルに飛び交う方言」を集められたといいます。

例えば、「上手」は置賜では「じょんだごど」、庄内、最上、村山では「じょんだ」。

「食べてください」は置賜では「け/くえ」、庄内では「け/くってくれ」、最上、村山では「け」。

地域内でも様々な言い方があり、4地域でも大きく異なる言葉もあります。

「失礼しました」は、置賜では「ぶじょほ/ぶじょほな/ぶじょーほ」、庄内では「もっけだ/おーぶじょほ」、最上では「ぶじょほ」、村山では「ぶじょうほう」です。

方言マニュアルは東北文教大学の専門家が監修。それぞれの言葉の英語訳やローマ字での読み方も併記しました。

やまがた方言マニュアル
やまがた方言マニュアル
山形県

方言マニュアルは県のウェブサイトで公開し、自由にダウンロードができます。

協議会の担当者によると、マニュアルは各介護施設に送り、現場で活用されています。

日本人のスタッフでも、若い世代では方言がわからない人もいるため、マニュアルが役立っているといいます。

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