
「選択的夫婦別姓」と「結婚の平等(同性婚)」。7月20日投開票の参議院選挙では、この2つに賛同する候補者がわかるARカメラが使用できる。
このARカメラ「マリッジビジョン」は、起動して街頭の選挙ポスターにスマホをかざすことで、「結婚の平等」と「選択的夫婦別姓の法制化」に賛成している候補がわかる仕組みになっている。7月10日から全国の選挙区で使えるようになる。
【マリッジビジョンの使い方】
1. マリッジビジョン(https://marriage-vision.com/)を立ち上げてサイトにアクセスする
2. 調べたい選挙区を選択する
3. スマホのカメラが自動で起動するので、選挙ポスターにかざす
カメラをポスターにかざすと、賛同する候補は「同性婚に賛成」「選択的夫婦別姓に賛成」という文言がそれぞれ表示される。
両方とも賛同している場合は2つの文言が表示される。反対の候補者は何も表示されない。
なぜ参院選が大事なのか
「マリッジビジョン」は、結婚の平等の実現に取り組む団体「公益社団法人Marriage For All Japan – 結婚の自由をすべての人に(マリフォー)」と、選択的夫婦別姓を求める「一般社団法人あすには」の有志メンバーによって開発された。
選択的夫婦別姓と結婚の平等にとって、7月の参議院選挙は、「ターニングポイント」だという。
あすには代表理事の井田奈穂さんは「法案が衆議院の法務委員会を通過した場合、参議院で審議されます。参議院の法務委員会には今回の選挙で改選を迎える議員がかなりいるため、賛成の人を選ぶことが重要になる」と、6月30日に開かれたマリッジビジョンの発表会で述べた。

結婚の平等は、同性カップルの結婚を認めない現在の法律の規定は違憲だとする判決が、これまでに全国5つの高等裁判所で言い渡されている。
マリフォー理事の松中権さんは「最高裁で違憲と判断された場合、判決を受けて法律を変えたり、作ったりします。それは国会に委ねられているため、この選挙の結果で、法制化の内容が左右されるという状況です」と説明した。
選択肢が増えるための選択
選択的夫婦別姓と結婚の平等、どちらにも共通しているのが「選択肢が増える」ということだ。
選択的夫婦別姓が可能になれば、結婚時にどちらかの名字にあわせることも、両者が結婚前からの名字を使い続けることもできるようになる。
結婚の平等が実現すれば、同性の相手とも異性の相手とも、婚姻が認められるようになる。
30日の発表会に登壇した、一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんは「選択肢がある社会は、当事者だけではなく色々な人にとっての幸せや自己実現、個人の尊重、生きやすさにつながっていくと思う」と語った。
同じく登壇した臨床心理士のみたらし加奈さんも「臨床の現場で働いていて、こういう制度こそが、人々の生活や生きていく力に強く影響していると感じる」と述べた。
「生活が苦しい時、社会全体にしんどい空気が蔓延してる時には、(候補者が選挙で訴える)イシューが偏りやすくなるかもしれません。しかし生活に根ざした法律が採択されるような社会こそが、人々の心と人生を守っていくものだと思います」
