カカオを使わずに作った「チョコか?」。イオンの「代替食品」の挑戦。背景には気候変動などを理由としたカカオ不足や価格高騰

イオンがチョコレート代替品を使って開発した「チョコか?」。開発の背景を取材した。

世界中で今、チョコレートの原料である「カカオ」の値段が高騰している。

気候変動の影響による悪天候や、森林伐採を原因にカカオ豆の生産量が減少し、価格が高騰し続けている状況だ。

スーパーやコンビニに並ぶ、普段買っていたチョコレートが、記憶の中の値段の倍近くになっているという経験をした人も少なくないかもしれない。

そんな中でイオンは今年、カカオを使わずに、ひまわりの種由来のチョコレート代替品を使用した菓子、トップバリュ「チョコか?」を発売した。

チョコレート代替品に着目した背景は。イオンの担当者に取材した。

「チョコか?WITH BISCUIT(ウィズ ビスケット)」(上)と、ブロックタイプのプレーン(下)
「チョコか?WITH BISCUIT(ウィズ ビスケット)」(上)と、ブロックタイプのプレーン(下)
ハフポスト日本版

チョコレート代替品を使った「チョコか?」とは

イオンは、ドイツ・Planet A Foods社による、ひまわりの種を使ったチョコレート代替品「ChoViva」を使い、「チョコか?」を企画・開発。「板チョコ」のような「ブロックタイプ」(税込 321.84円)と、「チョコか?WITH BISCUIT」(税込 429.84円)を販売している。

ブロックタイプには、プレーンとヘーゼルナッツ、シリアルパフの3種類がある。

「チョコか?」は、イオン系列のスーパーや都市型小型スーパー「まいばすけっと」の店頭、イオンのオンライショップなどで売られている。

チョコレート代替品、着目したきっかけや背景は?

「チョコか?」ブロックタイプのプレーン
「チョコか?」ブロックタイプのプレーン
ハフポスト日本版

ーーチョコレート代替品に着目し、企画・開発にあたられた「きっかけ」と背景を教えてください。

イオン担当者:昨今、気候変動や経済課題等の影響によりチョコレートの原料であるカカオが不足し、供給量のひっ迫や価格の高止まりがみられます。そのため、私たちが将来にわたりチョコレートの風味を楽しめるように、生産技術の向上や代替原料の模索が進められています。

こうした背景のもとイオンは、思わず「これはチョコか?」と錯覚するような、先進的で未来を感じられる“ChoViva”の新しいおいしさを体感していただきたいとの思いから、「チョコか?」を企画・開発しました。

カカオではなくひまわりの種を原料に使用しており、将来にわたりチョコレートの風味を楽しめる、まったく新しい選択肢としてご提案していきます。

ーーチョコレート代替品を使った菓子を開発する上で、ドイツの「ChoViva」を選ばれた理由は。

商品の開発担当者が海外の展示会に足を運び、代替チョコレート「ChoViva」の開発に取り組んでいるパイオニア、Planet A Foods社と出会いました。

ChoVivaは風味もくちどけもまるでチョコレートのようなおいしさであったことから、トップバリュ商品に使用することを決めました。

ーーこれまでにも、代替肉や植物由来の「Vegetive」など、様々な代替品を発売しています。代替食品に注目し、挑戦を続けられる背景を教えてください。

イオンは、植物原料食品や環境配慮への近年の関心の高まりを受け、代替肉をはじめとする、トップバリュ「Vegetiveシリーズ」をお客さまにご提案しています。

多様な価値観をお持ちのお客さまに、商品を通じてさまざまな選択肢をご提供していきたいと思います。

チョコレートの需要はこれまでと変わらない一方で、気候変動の影響は今後も強まっていく見込みだ。

「チョコか?WITH BISCUIT(ウィズ ビスケット)」
「チョコか?WITH BISCUIT(ウィズ ビスケット)」
ハフポスト日本版

チョコの需要は変わらない一方で、気候変動の影響は拡大見込み

「チョコか?」に使われているChoVivaは、現行の農地で栽培されたひまわりを原料としていて、熱帯雨林の伐採を必要としない点や、生産過程で利用する土地や水の消費量が少なく済む点など、カカオ由来のチョコレートと比較し環境負荷の低減に繋がることから、持続可能な原料として世界的に注目が集まっている。

チョコレートの需要はこれまでと変わらない一方で、気候変動の影響は今後も強まっていく見込みだ。

魚や肉など様々な代替品マーケットが盛り上がりを見せる中、チョコレート代替品にも今後、さらに注目が集まっていきそうだ。

(取材・文=冨田すみれ子)

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