
国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)が11月10日から21日まで、「アマゾンの玄関口」とも呼ばれるブラジル北部の都市ベレンで開催されている。
この国際会議は、気候危機を食い止めるために共通の解決策を見出すことを目的としており、世界各国から多くの代表者が集まっている。
ここでは、この重要な会議について知っておくべきことをまとめた。
COP30とは?
「COP30」とは国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議のことで、世界各国が集まり「危険な気候変動を回避する方法」について話し合う場だ。
この会議は、1992年にブラジルで採択された「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」に基づいて、毎年世界各地で開催されている。
目的は、気候変動対策という巨大な課題において、地球温暖化の主な原因となってきた先進国が、より大きな責任を負うよう確認することにある。
世界中から何千人もの人々が飛行機で集まるという一見矛盾した行動だが、COPは先住民に発言の場を提供することも目的としている。
COPで何が行われるのか?
過去のCOP会議は、気候危機への取り組み方に大きな変化をもたらしてきた。
2015年にパリで開催されたCOP21では、各国が産業革命前と比べて地球の平均気温上昇を1.5度以内に抑えることを目指す「パリ協定」に合意した。
全ての国は「国が決定する貢献(NDC)」と呼ばれる温室効果ガス削減の国家計画を策定し、5年ごとに見直すことが義務付けられた。
今年のCOP30の議題は非常に多岐にわたるため、主催国ブラジルは「ベレン気候サミット」という関連イベントを前倒しで開催している。

COP30で議論される主なポイントは?
今年の約2週間にわたる会議では、各国が実際に温室効果ガスを削減し、地球の平均気温上昇を1.5度以内に抑えることをコミットさせることが主要議題となる。
ただし、COP30は世界がすでに1.5度目標の達成に失敗したことを初めて認める会議でもあり、今年はその厳しい現実を踏まえた率直な議論が交わされる見通しだ。
科学者たちはすでに、世界の平均気温が2年連続で1.5度の目標を超えたと警告している。
しかし、目標は長期的な平均値で測定されるため、これでパリ協定の目標が無効になったという意味ではない。とはいえ、各国がどれほど真剣にこの目標に取り組んでいるのか、疑問を投げかけられている。
さらに、気候変動による被害をより大きく受ける貧困国に対し、裕福な国々がどれだけ資金を提供すべきかという「気候補償(クライメート・リパレーションズ)」の議論も行われる見通しだ。
また、化石燃料からの脱却も主要議題となる。過去の会議でも何度も取り上げられてきたテーマだが、利益の大きいこの分野から手を引くことに消極的な政府も多く、大きな進展はなかなか見られていない。
一方、ブラジルのルラ大統領はこの会議で、既存の森林を保護するための「トロピカル・フォレスト・フォーエバー基金」への資金を確保したい考えだ。
ルラ大統領は、熱帯雨林の真ん中にあるベレンで会議を開催することで、各国にこの基金への寄付を呼びかけたいとしている。
しかし、すでにアメリカとイギリスが資金提供を拒否しており、物議を醸している。
成果を上げられるのか?
成果を上げられるのかはまだ分からない。多くの過去の会議は、最終声明をめぐる交渉が難航し、実質的なアクションに至らぬまま終わったことが多い。
6日〜7日に開催された首脳級会合には、世界第2位のCO2排出国であるアメリカのトランプ大統領、第1位の排出国である中国の習近平国家主席、そしてインドのナレンドラ・モディ首相も欠席した。
日本の高市早苗首相も出席を見送った。
ハフポストUK版の記事を翻訳・編集・加筆しました。

猛暑や豪雨などが発生する背景には様々な要因がありますが、近年頻発化・激甚化している異常気象の背景の一つには、気候変動の影響があります。
気候変動の主な原因が、大量の温室効果ガス排出などの人間活動であるということは、科学的に「疑う余地がない」と言われています。熱中症や災害への警戒や対策を行うと同時に、気候変動を止める行動が必要不可欠です。
そのためには、国や企業の脱炭素化を急速に進めることが重要です。政策や企業行動に注目し、声を上げることも大切なアクションの一つです。個人でできることもあります。
