手塚治虫さんの最期の言葉は「頼むから仕事をさせてくれ」だった

2月9日は「漫画の日」。亡くなってから33年目の命日に振り返る
手塚治虫さん
手塚治虫さん
時事通信社

2月9日は、漫画の日。「漫画の神様」と呼ばれた手塚治虫さんの命日にちなんで、漫画専門の古書店「まんだらけ」が名付けました

『鉄腕アトム』『火の鳥』『ブラック・ジャック』など数々の名作を残した手塚さんは1989年2月9日午前10時50分、東京都千代田区の半蔵門病院で死去しました。60歳。死因は胃がん、前年11月から入院していました。それから33年。

■「寝かせようとしても、必死になって起き上がろうとしていました」

そんな手塚さんを「人生の師」としのぶ、手塚プロダクションの松谷孝征社長。自身が聞いた手塚さんの最期の言葉は「頼むから仕事をさせてくれ」だったとして、「その執念に敬服しました」と後に振り返っています。

著書『手塚治虫 壁を超える言葉』(かんき出版)では、亡くなる間際の手塚さんの様子が以下のように描写されています。

「隣へ行って仕事をする。仕事をさせてくれ。『頼むから仕事をさせてくれ』これが私の聞いた、手塚の最後の言葉です。一緒にいた悦子夫人は、自宅にいるものだと思って隣の部屋へ行こうとしていた、とおっしゃいます。悦子夫人が寝かせようとしても、必死になって起き上がろうとしていました」

生涯で約15万ページの原稿を描いた手塚治虫さん。漫画家デビューしてから1日あたり10ページと驚異的なペースでした。

そんな彼は亡くなる前の最後の時間まで、漫画を描くことに執念を燃やし続けていたのです。

参考文献:
朝日新聞1989年02月09日夕刊
朝日新聞1996年05月14日夕刊

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