ヴェルサーチェやコーチ、高級ブランドが相次いで中国の消費者に謝罪…何が起きたのか?

香港では「逃亡犯条例」の改正案をめぐる大規模な反対デモが続いており、中国の主権に関する論争が激化しています。
問題視されたTシャツ
問題視されたTシャツ

ヴェルサーチェやコーチ、ジバンシィなどの高級ブランドが、商品のデザインで香港やマカオなどを「国家」のように扱っていると批判が殺到し、相次いで謝罪に追い込まれた。

香港では「逃亡犯条例」の改正案をめぐり市民の大規模な反対デモが続いており、中国の主権に関する論争が激化している。

ヴェルサーチェのTシャツ 香港やマカオの表記で…

イタリアのブランド「ヴェルサーチェ」は8月11日、中国のSNS「ウェイボー(微博)」やTwitter、Instagramで謝罪コメントを発表し、オンラインストアから商品を取り下げた。

問題視されたのは、背面に世界各地の都市と国名がデザインされたTシャツだ。

「ミラノ(都市)ーイタリア(国)」「ロンドンーイギリス」「東京ー日本」などとデザインされていたが、香港の国名は「香港」、マカオの国名は「マカオ」となっていた。

香港とマカオは特別行政区として「高度の自治」が認められているが、いずれも中国の一部であることを前提としている。

問題視されたTシャツのデザイン。「Hong Kong - HONG KONG」「Macau - MACAO」などとデザインされていた。
問題視されたTシャツのデザイン。「Hong Kong - HONG KONG」「Macau - MACAO」などとデザインされていた。
通販サイト「bobobobo」より

ウェイボーでは、香港とマカオを独立した国家のように描いているとして批判が殺到。ヴェルサーチェのアンバサダーを務めていた俳優のヤン・ミーさんが同ブランドに対して契約解除を申し出る事態に発展した。

こうした事態を受け、ヴェルサーチェは11日、ウェイボーの公式アカウント上で「我々のミスにより、一部の都市で正確な国名を使用していなかった」と謝罪。Twitterでも、「中国の国家主権を侵害する意図は決してなかった」などとつづられたデザイナーのドナテラ・ヴェルサーチェ氏のコメントを掲載した。

コーチやジバンシィも謝罪

また、フランスのブランド「ジバンシィ」、アメリカのブランド「コーチ」にも同様の批判が相次ぎ、謝罪した。

ジバンシィには、「WORLD TOUR(世界ツアー)」とデザインされたTシャツで香港を国名のように表記していたとして批判が殺到。12日に公式Instagramアカウントを更新し、「中国の国家主権や領土を尊重しています」と表明した上で、「中国の顧客への深い配慮を欠いたこの間違いを謝罪します」とコメントした

また、コーチも過去に発表したTシャツをめぐり批判の声が高まり、12日に謝罪した。

こうした謝罪が相次ぐ背景には、中国が高級品の主要市場の一つであることが影響している。ブルームバーグによると、世界の高級品需要のうち3分の1を中国市場が占めているという。

2018年11月にも、イタリアブランドのドルチェ&ガッバーナがSNSに投稿した動画が中国国内で「人種差別だ」と批判を浴び、デザイナーが謝罪する騒動があった。

批判を受けたジバンシィのTシャツ
批判を受けたジバンシィのTシャツ

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