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2019年12月13日 17時05分 JST | 更新 2019年12月13日 19時07分 JST

セックスの前に飲むHIV予防、PrEP(プレップ)とは?

HIV予防効果は90%以上といわれ、海外では承認が進んでいる。

Illustration by HuffPost Japan/Getty Images

HIVに感染していても、適切な治療をすれば他の人へうつるリスクを事実上ゼロにすることができる時代になった。

HIV非感染者にも、セックスの前に薬を飲んでHIV感染を防ぐ予防方法がある。近年、世界各国で導入が進んでいるHIV予防方法「PrEP」を紹介する。

PrEPとは?

PrEPとはPre-exposure prophylaxis(曝露前予防内服)のこと。セックスをする前に「ツルバダ」という抗HIV薬を飲んで、HIV感染のリスクを大幅に軽減することができる予防方法だ。

毎日1錠飲む「デイリーPrEP」と、セックスの前後に合計4剤飲む「オンデマンドPrEP(ただし男性と性交渉をする男性限定)」の2種類のPrEPがあり、正しい服薬方法で90%以上の感染予防が可能とされている

PrEPは高いHIV予防効果があるが、コンドームの代わりというわけではない。ツルバダはHIVを防げても、淋病や肝炎など、それ以外の性感染症は防ぐ効果はない。

また、服薬者がHIV陰性であるかどうかの確認や、軽度ではあるが腹痛や頭痛、肝障害などの副作用の懸念から、飲み始める前と服薬中は医療施設で定期的な検査を受けるのが望ましい。不適切な飲み方をすると抗HIV薬に耐性が出現し、将来的に薬が効きにくくなる危険性がある。

コンドームを毎回使っていて、特定のパートナーとのみセーファーセックスをしている人には必要がない。

ツルバダは2012年に世界で初めてアメリカで承認された。以来、カナダやオーストラリア、台湾、韓国などでも承認され、海外ではPrEPの導入と普及が広がっている。

日本では現在、厚労省が予防薬として承認しているPrEPの薬はない。一方で、都内の一部クリニックではPrEP内服の臨床試験や、海外から個人輸入でPrEPをおこなっている人を対象とした定期検査を実施している。

相手に「依存」しないHIV予防

HIV陽性者の支援や予防啓発活動、感染不安の相談などを行うNPO法人「ぷれいす東京」では、感染はしたくないけれどパートナーとの関係性の理由でうまく予防ができない、といった人からよくPrEPについて聞かれるという。

コンドームはPrEPと違いHIV以外の性感染症も防げるが、使用はセックスをする相手がつけてくれるかに「依存」する。ぷれいす東京の代表・生島嗣さんは、PrEPはコンドームの有無やパートナーの行動に頼ることなく、自分自身でHIVを予防できる手段だという。

「予防が相手に依存する人たちにとって、コンドームの使用は相手の協力性やどういう意識を持っているかで決まってしまう」

「自分の健康のためにコンドームを使う、PrEPを使う、あるいは感染のリスクが低い行動を選ぶ(ハームリダクション)など、一人一人が自分のために何をするのかという時代になってきているという気がします」

PreEPユーザーに「医療の見守り」がある環境作りを

PrEPは国によって承認はされていないものの、男性と性交渉をする男性(MSM)やセックスワーカーなど、HIVに感染するリスクの高い人たちに使用の関心が国内で高まっている。

ぷれいす東京の研究班が2018年にMSMを対象に実施したアンケート調査「PrEP in Japan」では、約7割が「日本で入手可能になったら使いたい」と回答、約9割の回答者が「日本でも導入するべきだと思う」と答えている。

一方で、PrEPに関連して定期的な医師の診察を定期的に受けているのは回答者の約3割だった。

PrEPを間違った方法で飲むと、HIVと接触した時に薬が十分に効力を発揮できない可能性がある。認知の広がりや個人輸入の服薬者がいることを現状に、PrEPユーザーが定期的に副作用や血液の検査を受けやすい「医療の見守り」のある環境整備がこれから日本で求められると生島さんはいう。

「海外のデータを見ると、処方に基づく服薬の割合いが高い。日本は医療的な見守りがない人が6割ぐらいです。服薬者はまだ少ないのですが、個人輸入しか入手法がないような環境によって、適切な見守りがない中で飲み始める人たちがいるのは、公衆衛生的にはマイナスのように思います」

ゲイ・バイセクシャル男性にとって、医療現場で自分のセクシャリティや性行動については話しやすいとは限らない。PrEPを支える医療の環境整備とともに、医療者側の異性愛者ではない人に対する理解も広げることが求められる。

監修:感染症科医 来住知美氏