カナダ・オンタリオ州にあるノース・ベイは、トロントから北に200マイルのところにある小さな街。
人口約5万人、基地と採掘で知られると聞くと、ゲイの父親がふたりで子育てをするのには適した場所じゃないと思うかもしれないけれど、そうではないようだ。
生まれも育ちもノース・ベイのネイサンとジョンは、出会いサイト「Plenty of Fish」で知り合った。
当時ネイサンは22歳、ジョンは24歳。ふたりが家族になりたいと思うのに、時間はかからなかった。
付き合って数カ月後の2011年12月17日、ネイサンはジョンにプロポーズした。それも友人や家族を巻き込んだフラッシュモブで。その時の動画がこちら。
このプロポーズから9カ月後、ふたりは結婚した。
ネイサンとジョンは現在、ノース・ベイでふたりの小さな女の子を育てている。娘たちの名前はブリンとエミリー。ネイサンは「ダディ」、ジョンは「ダッド」と呼ばれている。
ふたりはどうやって親になったのだろう? きっかけは、YouTubeに投稿されたネイサンのフラッシュモブプロポーズ動画を見た地元の同性カップルの親たちが、ネイサンに連絡してきたことだった。
彼らはふたりに、養子縁組に興味があるなら、自分たちの経験や知識を伝えたいと申し出た。大家族で育ちずっと父親になりたいと願っていたネイサンとジョンは、養子縁組に興味を持っていた。
ふたりは養子縁組について調べ、P.R.I.D.E. (親たちのための情報、育成、教育)というコースを受講した。コースを終了した後は通常、親に選ばれるまでしばらくの間待つことになる(平均して1〜3年)。
ところが、そんなふたりを嬉しいサプライズが襲う。なんとわずか3カ月で、子ども保護団体「チルドレンズ・エイド・ソサエティ(CAS)」のソーシャルワーカーから、CASの里親プログラムの子どもの、親候補に選ばれたという連絡がきたのだ。
しかし当時ふたりは、新しい住居を探している途中だった。家が定まらない状態は子どもにとって大きなストレスになると思い、せっかくの話を断らなければいけなかった。当然ふたりは落ち込んだが、今回は縁がなかったのだと考えるようにした。
それから4カ月後のある日、ふたりにまたCASのソーシャルワーカーから電話がかかってきた。なんと生後18カ月の女の子の親候補に選ばれたという。「ぜひ会わせてください!」とふたりは即答した。そして2日後にソーシャルワーカーに会った。
オンタリオ州では、里親家庭で育てられている子どもたちが養子縁組を結ぶ時には、少なくとも3家族が候補に選ばれ面談を受ける。
面談でネイサンとジョンは、女の子について様々な情報を伝えられ、面談が終わると写真をみせてもらった。写真を見た途端に、ふたりは女の子に恋に落ちた。
ふたりは興奮していたが、できる限り落ち着いていつも通りの生活を続けるようにつとめた。そして翌日には、仕事に戻った。
しかし薬局で働くネイサンは、仕事に集中できなかった。ふと目をあげると、薬をもらう列に並ぶ人たちの中に、ジョンがいた。
ジョンは泣いていて、手に花束と「私たちの小さなお姫様」と書かれた風船を持っていた。それをみたネイサンの目からも、涙が溢れ出た。ふたりは正式に「ダッド」と「ダディ」になったのだ。結婚してからずっと、ふたりで待ち続けていた瞬間だった。
彼らは、喜び過ぎないように気をつけた。なぜなら、養子に迎えられた子どもが新しい家族に馴染むのに時間がかかることがあるからだ。
しかしふたりの心配は、杞憂に終わった。翌日にCASのオフィスであったブリンは、新しいパパふたりにすぐになついた。
その後の2週間、ブリンはネイサンとジョンの家を何度も訪問した。最初は数時間、それから一日、そして一晩を一緒に過ごした。2週間を終えた後、ブリンはふたりの家に引っ越してきた。
ブリンの養子縁組が成立した後、ネイサンとジョンはCASから、ブリンの妹候補がいると連絡を受けた。それを聞いた時ふたりは、女の子の病歴などを見ることもなく「ぜひ!」と答えた。
ブリンがふたりの家に移ってきてからちょうど1年後、ふたりはエミリーとの養子縁組手続きを始めた。そしてブリンと同じように2週間の訪問期間を経て、エミリーはネイサンとジョンの家に引っ越してきた。
養子縁組が決まるまで、CASもとても協力的だったそうだ。「本当に素晴らしい経験でした!CASのサポートがなければ、こんな素晴らしい人生を送ることはできなかった。だけど、全ての人がこんなにすぐ子どもを迎えられるわけではありません。中には何カ月も、何年も待たなければいけない人たちもいる。私たちはとてもラッキーでした」とふたりは話す。
ネイサンとジョンは今の生活を心から楽しんでいるが、将来もし可能なら、男の子も迎えたいと考えている。
子どもたちに何が一番大切と教えているかを尋ねると、ふたりは「生まれや育ちがどうであろうと、お互いを愛することが大切だと教えています。家族とはお互いを愛して大切にすることであり、遺伝子じゃないから」と答えた。
ネイサンはこう話す。
「子育てというとんでもないアドベンチャーに携われて、言葉で表現できないほど嬉しいです。ジョンと私は大きな家族で生まれ育ち、家族がどれほど大きな存在かをよく知っています。だからふたりの素晴らしい女の子と家族になれて本当に幸せです。将来は男の子も迎えたいなあと考えています。
カナダでは同性カップルが養子縁組をするのは一般的です。だから養子縁組はとても自然なことでした。
世界中の同性カップルを紹介しているGays With Kids(このブログサイト)は、同性カップルに家族を持つことは可能であり、私たちのようにサポートしたいと思っている人たちがいることを伝えています。
だから、夫のジョンと娘のブリンとエミリーと私、そしてペットのチャーリーはGays With kidsに心から感謝しています。素敵な家族をつくっている同性カップルを取りあげたサイトがあり、若い人たちにも将来家族をつくれるんだと伝えられるのは、本当に素晴らしいことだと思います」
ネイサン、ジョン、こんなに美しい家族の物語と写真をシェアしてくれてありがとう。
私たちも、子育てをするゲイ家族をを紹介するのはとても大切だと考えています。あなたたちのようなゲイの親たちのサポートがなければ、続けられないことです!
ハフポストUS版の記事を翻訳しました。
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