日本政策学校では、政策支援合同会社 組合員代表の細川甚孝氏に、「地方自治法における議員の役割」というテーマで講義をしていただきました。
以下はそのサマリとなります。
◇政策とは
政策とは、公共的な課題を解決するための活動の方針であり、目的と手段の体系をなすものである、と定義されるが、「公共的な課題」という意味と、「目的と手段」の関係について、明確にすることが必要である。
よい政策を作るには、裏付けのある事実、目的・手段(あるいは原因・結果)という論理、多くの人との対話を意識することが重要である。
そのヒントとして、市民意識調査などでの住民が重要性を感じながらも、満足感を持っていない領域における施策への評価がきっかけになる。
そもそも、議員のもつ基本的な権限は、行政の施策・事業に対するチェックであり、そのポイントは、有効性・効率性・経済性の3点である。
◇政策の意義
政策とは、公共的な課題を解決するための活動の方針であり、目的と手段の体系をなすものである、というのが、行政学上の定義である。
ここで言う「公共的な課題」という意味と、「目的と手段」の関係について明確にしなければならない。
すなわち政策とは、
1.公共的な課題という意味が、明確でなければならない。
具体的には、以下のことが明確である必要がある。
1-(1)その課題が地域社会の発展にとって、どうして必要なのか。
1-(2)その課題について他の地域と比べた場合、どうであるのか。
1-(3)誰にとっての課題であるのか。
2.課題を解決するための方向性が、明確でなければならない。
具体的には、
2-(1)方向性そのものの考え方が、自明的である。
2-(2)解決後の姿が、明確である。
2-(3)誰とともに解決するかが、明確である。
3.いくつかの手法により、課題を解決できる見込みのあるものでなければならない。
具体的には、
3-(1)課題を引き起こしている原因が、明確である。
3-(2)具体的な解決手法が、提示されている。
3-(3)誰が中心となって解決するのかが、明示されている。
◇すぐれた政策を作るポイント
すぐれた政策を作るには、以下の3点を意識しなければならない。
1.事実、すなわち、できる限り裏のとれるもの。
2.論理、たとえば、原因・結果の関係など。
3.対話、すなわち、多くの人が参加したくなるもの。
また、評価される政策とは、住民が重要であると思っていて、かつ満足感をもたない領域における政策である。
直接、住民とコミュニケーションをもって、漠然としたニーズではなく、原因まで聞き出して、政策を作ることが必要である。
◇議員のできることは、行政に対するチェックである
議員は、何をすることができるのか。
自治体の規模によりできることが異なるので、立候補の段階で、安易に発言すべきでない。
議員のもつ基本的な権限は、行政に対するチェックである。自分の政策立案に関して調査するため、チェック機能を駆使すべきである。
行政をチェックするポイントは、以下の3点に絞られる。
1.施策・事業に対する有効性
2.実施予算に対する効率性
3.政策全体に対する経済性
(2015年10月12日に開催された、政策議論講義「地方自治法における議員の役割」より)
講師:細川甚孝(ほそかわ しげのり)氏
政策支援合同会社 組合員代表
1971年秋田県仙北市生まれ。
都留文科大学文学部社会学科卒業、上智大学大学院文学研究科社会学専攻博士後期課程満期退学、早稲田大学大隈記念大学院公共経営研究科修了。
農林水産省系列のシンクタンクを皮切り、様々なコンサルティング/シンクタンクでリサーチャー及びコンサルタントとして、地域活性化、行政評価、総合計画などの策定支援の業務に従事。
2012年独立し、現在では自治体での公共経営に関する研修講師、様々な民間企業での社内コンサルタントとしても活動をおこなう。
現在、早稲田大学パブリックサービス研究所招聘研究員(兼任)、行政経営フォーラム会員。