厚生労働省が今日発表した「平成27年 民間主要企業年末一時金妥結状況」によると、資本金10億円以上かつ従業員1,000人以上の労働組合のある企業のうち妥結額を把握できた337社に関して、集計結果は次の通り。
【集計結果のポイント】
◎平均妥結額:830,434円(前年比29,796 円(3.72%)増)
◎平均要求額:884,943円(前年比40,572 円増)
もう少し具体的に見ると、上記337の今回の年末一時金妥結状況でついては、対前年比という点で、精密機械、サービス、情報通信が若干のマイナスである以外は、とても芳しい成績だと言える〔資料1〕。ここ3年、対前年比は伸びてきている〔資料2〕。
この限りにおいては、アベノミクス効果は高く評価されることになるだろう。
しかし、例えば、厚労省が毎月発表している「毎月勤労統計調査」(事業所規模5人以上に係るもの)で直近のもの〔資料3〕における増減率と比べると、今回の結果が好調であることは、上記337社という主要大企業に係る結果でしかないことが改めてわかる。
年末一時金と月給は違うとの反論もあろうが、世間はそうは考えないだろうし、『アベノミクス効果は大企業だけ』と言われてしまう。現に、そう言われ続けている。大企業への波及に比べて、中小企業への波及には、それなりの時間がかかることはわかっているのだが・・・。
上記337社に係る今回の結果が芳しかったことそれ自体は好事ではある。ただ、広く末端経済にまでその芳しさが広がるかどうかは、今後の経済社会情勢などによる。今回の結果は、あくまでも集計対象となったほんの一部の大企業に関することでしかないのだ。
<資料1>
(出所:厚生労働省「平成27年 民間主要企業年末一時金妥結状況」)
<資料2>
(出所:厚生労働省「平成27年 民間主要企業年末一時金妥結状況」)
<資料3>
(出所:厚生労働省「毎月勤労統計調査 平成27年11月分結果速報」)