米国大統領選の共和党指名争いで当初はキワモノ候補と見られていたトランプ氏が先頭を走っている。民主党側も大本命だったヒラリー・クリントン氏が意外に苦戦し、サンダース氏に肉迫されている。いずれの党でも主流派・中庸派とされる人ではなく極論を掲げる人が旋風を巻き起こしているようだ。
確かに極端な言説の方が世間の耳目を集めるのは事実だ。問題を単純化したり、悪玉(例えばトランプ氏にとっての移民やサンダース氏にとってのウォール街)を見つけだして一刀両断する言い方をした方が分かりやすく、大衆の共感を得られる面もある。
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問題を単純化して、誰かを成敗すればそれですべての問題が解決するかのような幻想をふりまく人は米国に限らず、どこにでもいるし、日本にもいる。今後、そうした人たちがある種の人気を集めることもあると思う。民主主義はポピュリズムと表裏一体の面もあるからである。
しかし現実の世界はそこまで単純に善と悪に二分されているわけでもないし、多くの場合、問題を即時に解決する妙案があるわけではない。より良い世の中を作るためにはもっと粘り強く、もっと地道な努力が必要だと思う。
政治に取り組む者として、いま自戒を込めつつ思うのは、派手なパフォーマンス(それをすべて否定するわけではないが)に頼るのではなく、一つ一つの課題や政策について辛抱強く研鑽を重ね、丁寧に国民の理解を得ていく努力を積み重ねなければいけないということである。