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2015年04月03日 12時07分 JST | 更新 2015年06月02日 14時12分 JST

KitchHikeインタビュー第2弾!気になるあの人の食卓におじゃましてみよう!【食を旅するイラストレーター オダヒロコさん [後編] 】

登場いただいているのは、"食を旅するイラストレーター"オダヒロコさんです。インタビュー前編に続いて、後編も世界の家庭料理を探求されてきた織田さんならではの観点が飛び出します。

こんにちは、KitchHikeマガジン編集部のMaiです。

KitchHikeマガジンのインタビュー企画、第2弾! 登場いただいているのは、"食を旅するイラストレーター"オダヒロコさんです。インタビュー前編に続いて、後編も世界の家庭料理を探求されてきた織田さんならではの観点が飛び出します。お楽しみに。

織田さん自身をキャラクターにしたブタさん。外国人にも人気だそう。

インタビュー企画第2弾後編、スタート!

―KitchHikeマガジン編集部(以下、編集部)

後編も宜しくお願いします! 織田さんは、色んな国で家庭料理を体験していますが、どうやって旅先のお宅におじゃまするのでしょうか?

モンゴル・ダランザドガドにてオペラ歌手の方の家を訪問。一緒にモンゴルのうどんを打ったそう。

―織田博子さん(以下、敬略)

お願いする方法は2種類あります。

まず、ヨーロッパとかロシア、インド、日本みたいに、個人主義で割と自分たちのスペースを守っている所では、事前の紹介が必要ですね。友達やホテルの人に、料理が好きな友達はいないか聞いて、紹介してもらいます。

でも、紹介されると、みんな歓迎してくれますよ。あなたの国の家庭料理に興味があるって言われて、嫌な気持ちになる人はあまりいないみたいですね。

―編集部

なるほど、参考になります。

バングラデシュ・クミッラ郊外にて。村中で暖かく迎えてくれた。

―織田

もう一つは、大家族で住んでいたり、外国人が珍しいような所では、アポなしでもお宅に招いてくださる人が結構いますね。ホテルの人に一つひとつ料理の作り方を聞いていたら、そんなに知りたいなら家に来いと言われて、一緒につくりながら教えてくれました。特にイスラム圏の人たちはフレンドリーでしたよ。

―編集部

やはりアグレッシブですね(笑)! でも、言葉が分からない国も多かったのでは?

―織田

そうですね、でも一緒に料理をつくったり、一緒に食べたりすると、自然と仲良くなれました。言葉が分からなくても、知りたいという気持ちは伝わるのだと思います。

ウズベキスタンの車掌さん達と意気投合。

―編集部

印象に残っている人や家族はいますか?

―織田

いろんな人がいましたよ。みんな印象的だから誰について話そうかな。

印象に残っている人は、おばちゃんが多いんですけど、その中でもロシアのシベリア鉄道で出会ったカーチャは強烈でした。

二人の娘のお母さんなんですが、「カーチャ」って名前が「母ちゃん」みたいで覚えやすかったです(笑)

美人だけどたくましくて、「ロシアの母!」って感じがしました。

ロシア人って、一見冷たそうなんですけど、一回懐に入るとすごく優しい人たちなんです。カーチャも不愛想な感じなんですけど、娘たちに食べ物を買ってくるときは当たり前のように私にも分けてくれたりして、まるで家族のように扱ってくれるんです。

2010年にシベリア鉄道に乗った時のことを描いたコミックエッセイ『女一匹シベリア鉄道の旅(イースト・プレス)』

あと、誰というわけではないんですけど、オクトーバーフェスト(ビール祭り)で見たドイツのおじちゃん達が面白かったです。普段は無口で割としかめ面をしている人が多いんですけど、ビールを飲むとすごく変わって、陽気に踊ったり歌ったりするんです。

普段はジョークなんて言わないのに、あるおじちゃんなんか「ビールを3杯飲めば、ドイツ語なんて誰でも話せるよ。君にはビールが足りないんだな。」なんて笑いながら言うんですよ。意外でしたね。

ドイツのおじちゃん。笑顔とビールがとてもマッチしています。

―編集部

ドイツのおじちゃん面白いですね(笑)。

では、印象的な場所はどこかありますか?

―織田

ウズベキスタンとかモンゴルとか、自分が全く知らなかった所が印象的ですね。元々ガイドブックは事前に読まない主義なんですけど、こういう所って前情報がないからこそ見るもの全てが感動的で、発見も多いです。

モンゴルは行く予定がなかったんですけど、実際に行ってみて、それまで食べたことも見たこともないモンゴル料理を食べて、とてもおいしくて感動しました。

―編集部

"ガイドブックは事前に読まない主義"というのは織田さんらしいですね!

―織田

いろんな場所に行きましたけど、ユーラシア大陸ってやっぱりどこかでつながっているなと感じました。特に家庭料理を自分の中でテーマにしていたので、料理でつながりを感じることが多くありました。

たとえば、ウズベキスタンのプロフは炊き込みご飯に似ているし、トルコ料理も異国情緒があるけれど、どこか懐かしい感じがするんです。

文化や民族が違っていても、料理は似ている部分があるように思います。

トルコ料理のイマーム・バユルドゥ。「お坊さんの気絶」という意味の名前。あまりにもおいしそうなにおいがするので、イスラムのお坊さんが気絶してしまったという昔話に由来するそう。

―編集部

異国の料理でも懐かしさを覚えるとは不思議な体験ですね。

では、これから行ってみたい場所はありますか?

―織田

イランに行ってみたいです。家庭料理のことをいろいろ学ぶと、ペルシャ(現イラン)起源のものが多いので。ペルシャから日本に渡ってきたものもあるんですよ。

昔王朝があって栄えた場所だし、エキゾチックな雰囲気に魅力を感じるので、行ってみたいですね。

―編集部

そうなんですね! ペルシャから日本に伝わってきた料理があるとは、とても興味深いです。

では、旅をしてみて、ご自身の中で変わったことはありますか?

―織田

固定概念が壊されましたね。バーンッ!と(笑)。

たとえば、スウェーデン料理の「チェットブラー」は、ミートボールにジャムを添えるんですけど、初めてそれを見たときは、肉に甘いものを合わせることにすごい違和感を覚えたんです。

でも実際に食べてみると、ジャムの酸味が肉の旨みを際立たせていて、とてもおいしかったです。

チェットブラー。モノクロのイラストでも料理がとてもおいしそうです。

あと、日本での常識を考え直すことも多かったですね。食器を洗うときに、日本ではだいたいスポンジを使うじゃないですか。でも、スウェーデンでは柄のついたブラシを使っていました。

最初はトイレブラシみたいだなと思ってたんですけど、よくよく考えると、細長いコップを洗うのに便利だし、スポンジより水分を含まないので、衛生的だなと思いました。

―編集部

確かに言われてみるとそうかもしれません。ブラシを試してみたくなってきました(笑)。

―織田

旅をすることで、今まで当たり前すぎて気が付かなかった自分の思い込みに気が付きました。自分の文化に合わないものに出会うと、初めは否定したくなるんですけど、それを自分の中で消化すると、世界が広がりますね。

今は、自分の文化で相手の文化を測ることはしたくないなと思っています。何が正しいか何が間違っているか、きっぱりとは言い切れなくなりましたね。

今ってインターネットでなんでも調べられるじゃないですか、いろんな情報が得られて便利なのでよく使いますが、「知ったつもり」になってしまうのが怖いんです。

そもそも日本語で閲覧できる情報は限られているし、翻訳ツールにない言語もたくさんあるし、インターネットでは表示できない文字とかもあります。

―編集部

インターネットで表示できない文字(笑)! 織田さんがどこまで深く調べられているのか、気になります...!

―織田

旅行に出る前、インターネットでいろいろ調べて世界中を知ったつもりになっていましたけど、実はリアルに知っているのは家と会社の往復で見ているものだけなんだなと痛感しました。

旅行に出て、リアルに知っている部分を広げたいと思ったんです。

でも、リアルに知ることで、逆にわからなくなっていったんです。

たとえば、インドのジャイナ教徒は肉食を禁じていて、絶対に食べないと思っていました。でも、もちろん教えはそうなんですけど、敬虔な人もいればそうでない人もいる。

「〇〇はこうなんだ」なんて、一言では語れないと思ったんです。

―編集部

とても本質的なお話ですね。

―織田

旅をして、いろんな人たちと触れ合う中で、体験することの大切さをひしひしと感じました。自分が体験できることなんて限られているから、「私の出会った○○人はこういう人だった」としか言えないんですよ。

でもこれがリアルなんですよね。

―編集部

家庭料理を通じて現地の暮らしに入り込んで、リアルな体験をされてきた織田さんの言葉には、説得力がありますね。

それでは、最後にKitchHikeに一言お願いします。

―織田

KitchHikeがライフスタイルの一部として当たり前に存在する未来が、すぐに来るといいなと思います。5年後、10年後くらいとかじゃないですよ、今すぐにでも。それこそ、来年とか(笑)!

織田さん作の「世界のおじちゃんカレンダー」。

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織田さん、インタビューにご協力いただきありがとうございました!

KitchHike以前から、ご自分でいろいろな地域の家庭料理を体験していた織田さんのお話には、KitchHikeとばっちり重なるものを感じました。

実際に家庭を訪れて、家庭料理を通じて現地の暮らしを体験することで、リアルにその人たちを知ることができる、この感覚が普通になる時代がすぐに来るといいな、と私も思います。

現地で学んだウズベキスタン料理の"プロフ"! とっておきのレシピをご紹介!

織田さんが一番おいしかったと絶賛するウズベキスタン料理のプロフ。ピラフの語源にもなっているとか。

<材料>

  • 羊肉(骨付き塊肉がいい) 500g *マトンのにおいが苦手な人は、ラムや牛肉/豚肉でも代用可

  • にんじん 1本

  • 玉ねぎ 1個

  • 米 2合

  • 干しぶどう ひとつかみ

  • クミン 小さじ2

*豚肉/牛肉の場合は山椒が合います

<作り方>

1.肉がかぶるくらいの水を圧力鍋にいれ、ふたをしめる。強火で圧をかけ、おもりが動いたら弱火にし、30分煮る。火を消し、自然に圧が抜けるまで置いておく。

2.米を軽く洗って、ざるにあげておく。

3.にんじんを5mm幅の拍子木切り、玉ねぎを5mm幅の薄切りにする。

4.中華鍋(なければ深さのあるフライパン)に油を大さじ2杯入れ、鍋をあたためる。

5.あたたまったら、肉を入れ、クミンをふりかけ、よく焼く。焼き目がついたら皿に取り出す。

6.同じ鍋でにんじんと玉ねぎを炒め、油がなじんだら取り出す。

7.同じ鍋に、食材を肉・玉ねぎ・にんじん・干しぶどうの順に、層にして入れ(※1)、肉を煮たスープを2カップ入れる(具がひたるくらい)。米を入れ、蓋をして強火で煮て、沸騰したら弱火にする。

8.スープが見えなくなったら火を消し、むらしておく(蓋はとらない)

9.蓋をとり、お皿をかぶせて、鍋ごとひっくり返す。

10.オーミン!(ウズベク語で「いただきます」)

*地域によって差があり、サマルカンドの作り方を参考にしています。首都タシケントでは、具をしっかり混ぜるとか。

*干しぶどうは入れない地域もある。

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織田さんの話を読んで、世界各国の家庭料理を体験したくなったあなた! Let's KitchHike!

インタビュー企画第3弾も、お楽しみに!

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(2015年4月1日「KitchHike マガジン」より転載)