経産省で研究会始動。「フリーランス活躍」に必要な3つのこと

一口に「フリーランス」といっても、その方の職種がエンジニアなのか、デザイナーなのか、広報・マーケ・人事などの総合職系のフリーランスなのか…では大きな違いがあります。

先週、経産省で行われた第一回「『雇用関係によらない働き方』に関する研究会」

参加しました。

『雇用関係によらない働き方』――つまりフリーランス(個人事業主)に

フォーカスをあてた研究会です。

「(正社員・フルタイムという)旧来の日本の働き方モデルへの一つのアンチテーゼ」として

フリーランスについて考え、議論する場として設置されたものです。

研究会で私たちは、プロスキルを持つ女性たちに、フリーランスとして時間・場所にとらわれない

プロジェクト型ワークをご紹介するWarisの取り組みについて、

ご紹介しました。

▼ANN NEWS「フリーランスで働こう」経産省が実態調査へ

http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000088015.html

第一回研究会の内容を踏まえて、

日頃から「フリーランスで働くこと」を支援している立場から

感じたポイントを以下にまとめておきたいと思います。

1)「フリーランス」も千差万別!職種・スキルレベルで分けて考えることの必要性

雑誌記者をしていた頃、取材時に「働く女は一枚岩ではない」とおっしゃったコラムニストの方がいました。「働く女性」と一口に論じられることが多いけれども、職種や経験、年齢、価値観、未既婚、子どもの有無など条件によってさまざまでいっしょくたに論じることはできない・・・との意味です。

今回の研究会でも同じことを感じました。一口に「フリーランス」といっても、その方の職種がエンジニアなのか、デザイナーなのか、私たちが日ごろお手伝いしている広報・マーケ・人事などの総合職系のフリーランスなのか・・・では大きな違いがあります。

技能を学んでフリーランスになりたい・・・という「エントリーレベル」の方なのか、すでにそのジャンルで10年~15年程度経験を持つ「ハイスキルレベル」の方なのかでも必要としていることは大きく違います。

例えば、この日の研究会では「フリーランスの教育・育成」がメインテーマだったのですが、エントリーレベルでかつデザイナー系の職種の方であれば、「デザイン系のスクールでイチから学んだスキルを使って、フリーランスとしてまずはバナー広告のデザインの仕事から始めてみる」といったことが可能です。

一方で、広報のご経験が一切ない方が、スクールで学んだ広報スキルを使って「フリーランスの広報」としていきなり働き始めるというのはまず難しいのが現実です。

2)プラットフォーマ―はフリーランスの成長の「伴走者」に

研究会でも話題になりましたが、フリーランスにとってプラットフォーマ―(仕事の受発注のプラットフォームを提供する存在)は、なぜ必要なのか――。

フリーランスにとっては業務そのものに関するスキルはもちろん、「仕事をとってくる」営業スキルは安定して働き続けるうえで、非常に重要です。プラットフォームに登録しておくことで、安定的にある程度スクリーニングされた良質なプロジェクトに出会うことが可能になります。知人経由で仕事を獲得することが多いフリーランスにとって、プラットフォーマ―の存在があることで、クライアントの幅が広がります。

フリーランスは「自分から取りにいかない限り、なかなかフィードバック(評価)を得られにくい」という

悩みもあります。会社員時代は、上司や先輩から当たり前のように得られた自分の仕事に対する評価が

なかなか得にくくなります。これもプラットフォームを介することで、

クライアントからの率直なフィードバックを得やすくなります。

また、プラットフォームの中には登録者(もしくは登録予備軍)に対して教育・育成を行ったり、

一人では受注が難しいプロジェクトに対して、複数名によるチームを組成し、

受注を行えるような動きを行っている会社もあります。

フリーランスにとってのプラットフォーマ―は、単に仕事を紹介するだけではなく、

ともに成長していく「パートナー」としての役割が重要になってくると改めて感じました。

3)プロ同士の横のつながりの大切さ

研究会でも「プロがプロを教える」「プロ同士が刺激しあう」ことの大切さについて、

たびたび話題になりました。

実はフリーランスの人と話をしていると、「フリーってけっこう孤独です」とおっしゃる方が

少なくありません。

会社員時代は「こういう場合はどうするのだろう?」と思ったら、すぐに隣の同僚に聞けばよかったわけです。

ところが、「一人のプロ」として独立してプロジェクトを受注する立場になると、

そうした知見の共有をする場がありません。

物理的にもリモートもしくは打ち合わせ時のみ出社する柔軟なスタイルが中心になります。

そんなとき、同じようなプロのフリーランス同士で互いの知見を共有するような「共に学び合う場」が

あれば、中長期的なキャリア形成において大きな助けになることは

明らかです。

プラットフォーマ―の一人として、そういった「つながりの場」「学びの場」を提供していくことにも

力を入れたいと思いました。

以上です。

「正社員フルタイム」が一般的な中で、「フリーランス」「雇われない働き方」自体がまだ珍しいですし、

そのキャリア形成についても議論が始まったばかりです。

でも、まずはこうした生き方・働き方があること、その可能性について

一人でも多くの方に知っていただけたら嬉しいです。

私自身も事業を通じて、少しでも「新しい働き方の実現」に貢献していければと思います。

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