単一原子レベルでの材料特性

再構築された構造から、ナノ粒子の複雑さや、ナノ粒子内部の結晶粒の化学的性質と結晶構造が明らかになった。

FePtナノ粒子には、触媒や磁気記憶媒体と同じくらい多様な実用分野での可能性がある。しかし、このナノ粒子は、きれいな結晶材料からは程遠く、結晶粒界などの結晶欠陥を伴っていて構造的に不均一である。

今回、J Miaoたちは、2万3000以上の原子を含む単一のFePtナノ粒子の複雑な原子スケールの構造を明らかにしている。

彼らは、高解像度トモグラフィー法でナノ粒子の連続傾斜像を68枚取得し、新しいアルゴリズムを用いて再構築することによって、22ピコメートルの分解能を達成している。

再構築された構造から、ナノ粒子の複雑さや、ナノ粒子内部の結晶粒の化学的性質と結晶構造が明らかになった。秩序/無秩序特性を解析したところ、結晶粒の規則性は、ナノ粒子の中心部に向かうにつれて高くなり、ナノ粒子の表面に向かうにつれて低くなることが見いだされた。

また、彼らは、2つの結晶粒の間の界面から得られたデータを用いて、密度汎関数理論によって局所的な磁気結晶異方性エネルギーを計算し、磁気結晶異方性エネルギーが結晶粒内で秩序パラメーターとともにどのように変化するか、また粒界をまたいでどのように変化するかを明らかにした。

Nature542, 7639

2017年2月2日

doi: 10.1038/nature21042

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