ブルニケル洞窟内の環状構造物における磁気測定の様子。
Credit: Etienne FABRE - SSAC
ネアンデルタール人は現生人類に最も近縁な絶滅ヒト族だが、その文化生活に関して分かっていることは極めて少なく、最も初期のネアンデルタール人のものに関してはほぼ皆無である。フランス南西部のブルニケル洞窟は、更新世に入り口が自然に閉じてから1990年に発見されるまで誰も立ち入っていなかった。
今回J Jaubertたちは、ブルニケル洞窟の奥にある、折れた石筍片が低い壁を作るように積み重ねられている2つの環状構造物について報告し、その年代を明らかにしている。それらの構造物は、洞窟の入り口から336 mの所にあり、大きい方は直径5 mを超えていて、人為活動によるものであることを物語っている。
また、その測定年代は約17万6000年前であることから、初期ネアンデルタール人の存在した年代の範囲内となり、これらの構造物は人類が製作した年代の明らかなものとして最古級のものとなる。石筍群に伴って火をたいた痕跡が見つかっているが、これらの構造物の機能については今のところ推測の域を出ない。
Nature534, 7605
2016年6月2日
原著論文:
doi:10.1038/nature18291
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