強力な温室効果ガスであるメタンの全球排出量の7〜17%は水田に由来し、この数字は、食糧需要の高まりに応えて稲作が拡大するにつれて大きくなる可能性が高い。
今回、種子や茎のバイオマスおよびデンプン含量は増加していながら、メタン放出量や根圏のメタン生成菌レベルは低下しているという、新たなイネ品種が開発された。この新しいイネ系統は、オオムギの転写因子SUSIBA2をコードする単一遺伝子を従来のイネ栽培品種に導入することで作出された。SUSIBA2は、光合成産物を根よりも地上部バイオマスに多く分配するような炭素フラックスの変化をもたらす。「高デンプン・低メタン放出」のイネは、温暖化する気候下で、高品質のバイオマスを提供しつつ、大気中への温室効果ガスの放出に稲作が及ぼす負の影響を低減するための、持続可能な手段の1つを示している。
イネの根の蛍光顕微鏡画像。通常のイネの根(左)にはメタン生成菌が多く見られるが、SUSIBA2イネの根(右)では少ない。
Credit: Chuanxin Sun and Anna Schnürer
Nature523, 7562
2015年7月30日
原著論文:
doi:10.1038/nature14673
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