マウスでは、心筋損傷時にHippoシグナル伝達を妨げると心臓機能が改善することが、以前の研究で報告されている。
ヒトの急性心筋梗塞の臨床転帰は救急医療の向上により改善してきたが、心臓組織の病的なリモデリングが起こる慢性心不全はいまだに主要な死因となっている。
J Martinたちは今回、不全状態にある心臓にはこれまでに知られていなかった修復能力があること、そしてHippoシグナル伝達を阻害すると、マウスのすでに確立している心不全を救済できることを報告している。
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虚血性心不全が起きてしまった状態で、Hippo経路の構成因子であるSalvador(Salv)を欠失させたり、あるいはSalvの短鎖ヘアピンRNAのウイルスによる送達を行ったりすると、マウスの心臓機能を改善できることが分かった。
こうした効果は、ストレス応答遺伝子や増殖遺伝子の発現上昇、またミトコンドリア品質管理の維持など、修復のための遺伝的プログラムが誘導されたためだと、著者たちは考えている。
Nature550, 7675
doi:10.1038/nature24045
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