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2015年10月23日 14時11分 JST | 更新 2016年10月18日 18時12分 JST

約款の数字 1から1095まで-第10回 「1095日」について(入院給付金の支払限度日数):研究員の眼

2015年現在、保険などの「入院給付金」の通算支払限度日数は1095日(3年)となっている。この日数に至るまでには、歴史的な変遷があった。

第10回のテーマは、医療保険や災害入院特約、疾病入院特約などにおける「入院給付金」の通算支払限度日数である「1095日」について。

第9回 「500万円」について(先進医療特約の支払限度額)

通算支払限度日数は、現在1095日となっているが、これまで大きく変遷してきた。

【災害入院:特約保険金額を上限とした時期(1964年4月~)】

交通事故の増加を背景に、1963年7月、損保会社により交通事故傷害保険が発売された。

これを契機に1964年4月、生保会社から、統一商品として、交通事故による保障を含む、災害による死亡・障害・入院を保障する「災害保障特約」が発売された。

災害保障特約の入院給付金は入院日数に応じ、特約保険金(上限200万円)の0.5割(10日以上30日未満入院)~2割(90日以上入院)となっており、支払日数ではなく、特約保険金額を上限として支払われる仕組みであった。

【災害入院:特約保険金額を上限とするが、実質的通算支払限度日数は666日の時期(1969年2月~)】

その後、1969年2月には災害保障特約が改定され、現在と同様の入院1日当たりの給付となった。

入院給付金は、5日以上入院について、入院1日目から1日あたり特約保険金(最高500万円)の1.5/1000、同一の不慮の事故による入院について120日限度、特約保険金額を上限として支払われる。

したがって、通算支払限度日数としては666日(1000÷1.5)となる。

【災害入院:通算支払限度日数700日の時期(1976年3月~)】

1976年3月には、災害保障特約が災害による死亡を保障する災害割増特約、災害による死亡・障害を保障する傷害特約、災害による入院を保障する災害入院特約に分離された。

災害入院特約は、5日以上入院について入院1日目から1日あたり入院給付日額(最高2万円)を支払い、同一の不慮の事故について120日限度、通算700日限度となっていた(*1)。

【疾病入院特約の通算支払限度日数(1981年10月~)】

1974年1月には、簡易生命保険に従来の「傷害特約」(1969年9月創設)に加えて「疾病傷害特約」が創設されて、20日以上の疾病による入院や手術が保障されるようになり、同年2月には住友生命が「手術給付金付疾病入院保障特約」を発売した(20日以上の疾病による入院や手術を保障)。

この後、疾病による入院・手術を保障する「疾病入院特約」も一般的となった(*2)。

1981年10月、疾病入院特約は統一され、20日以上の入院に対し、入院1日目から入院給付金を支払い、1回の入院について120日限度、通算700日限度といった内容となった。

【医療単品の通算支払限度日数(1976年2月~)】

こうした特約での入院保障に対し、1976年2月、アリコ・ジャパン(現メットライフ生命)は日本初の医療保険(医療単品)として「疾病保険」を発売した。

この保険は、保険期間10年の無配当保険で、入院給付金は疾病を直接の原因として8日以上入院した場合、入院1日目から支払い、通算支払限度日数を730日(2年間)としていた(*3)。

【現在の通算支払限度日数】

入院給付金の支払事由については、近年の入院の短期化に伴い、「1日以上の入院について入院1日目から支払う」という、いわゆる「日帰り入院」も保障するタイプが多くなっている。

また、入院1回についての支払限度日数は、かつては120日とされていたが、現在では、入院の短期化への対応や、保険料の低廉化のため、30日、60日、90日といった短期の設定や、顧客の選択肢拡大のための180日、360日等の長期の設定の双方が行われ、多様化している。

一方、通算支払限度日数は、従来、特約による保障では、災害入院給付金・疾病入院給付金各700日、医療保険(医療単品)では730日とされることが多かったが、現在は、医療保険、災害入院特約、疾病入院特約などとも最長1095日(3年分)までと拡大されている。

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(*1) 生保入院保障の変遷については御田村卓司・福地誠・田中淳三共著『生保商品の変遷-アクチュアリーの果たした役割-(改訂版)』111~167ページ、保険毎日新聞社、1996年7月、平尾正治「第三種保険の沿革」『生命保険協会会報』第69巻第1号、1989年1月、小著「医療保険の約款について-生損医療保険約款の支払事由,免責事由を中心に-」『保険学雑誌』第612号、2011年3月、小著「わが国における医療保険の発展」『生命保険経営』第82巻 第5号、2014年9月などが詳しい。

(*2) 「郵政省、簡易生命保険法の一部を改正」『生命保険協会会報』第54巻第2号、「住友生命の『健康特約』 手術給付金付疾病入院特約」『インシュアランス』第2634号、1974年2月、「成人病特約、6月から発売へ-7社が申請手続き終わる-」『インシュアランス』第2745号、1976年6月、「各社の成人病特約をみる 5大成人病に1入院180日まで給付」『インシュアランス』第2747号、1976年6月。

(*3) 「アリコ・ジャパンの疾病保険 一口五千円、七三〇日限度」『インシュアランス』第2730号、1976年2月。

(2015年10月13日「研究員の眼」より転載)

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保険研究部 上席研究員

小林 雅史