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2015年11月25日 16時29分 JST | 更新 2016年11月24日 19時12分 JST

やまぶき色の『東京防災』~「伝わりやすさ」への工夫:研究員の眼

災害の被害を最小限に抑えるためには、行政や企業だけでなく、住民一人ひとりの災害対応力を高めていく必要がある。

二カ月ほど前、わが家にやや小ぶりな黄色い本が届いた。表紙には、私の好きな山吹色の地に大きな文字で『東京防災』とあったので目を引いた。

よく見ると、これは東京都が都民(世帯単位)に無料で配っている東京都オリジナルの「防災ブック」であった。

都知事の挨拶状も添えられていて、各家庭での防災に対する理解を深め、首都直下地震をはじめ様々な災害に対する備えを万全とすべく、作成されたことがわかる。

災害の被害を最小限に抑えるためには、行政や企業だけでなく、住民一人ひとりの災害対応力を高めていく必要があるからである。

そのためには、まずこの本を読んでもらわなくてはならないが、様々な工夫がなされている。手に持つとずっしり感はあるものの、紙質はしなやかで手に馴染む。

頁を捲ると、目に優しい山吹色の背景に、文字数を抑え、シンプルな図柄のイラストを多用したレイアウトが印象的である。それでいて、イラストからは災害時の状況や危険性がリアルに伝わってくる。

内容的には、東京都の多様な都市構造や地域特性、都民の生活や仕事などを踏まえた、具体的かつ豊富な防災アクションを含む防災情報が簡潔にまとめられている。まさに"東京仕様"の防災ブックとなっている。

東京都のホームページには、都全体の『防災マップ』も掲載されていて、行きたい方向に画面を動かすと、主要な避難道路がカラーで示される。実に分かりやすい。

インターネットで調べてみると、この本は好評で、他県からの問い合わせも多いようだ。隣接県から都心部への通勤者も多いことから、広域連携して『関東防災』を作成するのも効果的なように思う。

また、今回は「一家に一冊」として冊子配布を前提に作られているが、自宅外でスマホなどでの見やすさや使いやすさを向上すれば、利用者はさらに増えることが期待される。

あまり目立たないが、奥付に下図のようなロゴマークが付いている。

これは一般社団法人 ユニバーサル コミュニケーション デザイン協会(略称UCDA)が、ユーザーにとって伝わりやすいデザインであることを認証したものである。最近では、行政や金融機関を中心に、この認証を取得する組織が増えている。

近年の情報化や人口構造の高齢化・多様化を背景に、情報の「伝わりやすさ」は社会的課題となってきた。その意味でも、上述した東京都の先進的な取組は評価に値しよう。

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(2015年11月17日「研究員の眼」より転載)

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保険研究部 上席研究員 ESG研究室長

川村 雅彦