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2019年01月24日 17時51分 JST | 更新 2019年01月24日 18時47分 JST

国際ロマンス詐欺とは? 相談を受けた専門家が明かすその巧妙な手口

「大丈夫、私は騙されたりしない」と思っていませんか? 私の経験上、そう思っている人の方が被害に合うケースが多いように感じています。

Weedezign via Getty Images
国際ロマンス詐欺防止のイメージ写真

千葉県などに住むナイジェリア人の男3人とカメルーン人の男1人が1月22日、詐欺容疑で逮捕されました。男たちはアメリカ軍の関係者を装い2018年4〜5月、福岡県に住む50代の女性から、現金数百万円をだまし取った疑いが持たれています。

これこそが、最近社会問題になっている「国際ロマンス詐欺」です。2年ほど前から日本でも被害が多く確認されるようになり、警察は警戒を強めていました。

今回のニュースで注目されるようになった「国際ロマンス詐欺」ですが、その存在を初めて知ったという方も多いと思でしょう。そこで、どのような手口で彼らは近づき、どのように女性たち(被害者のなかには男性もいます)を騙すのか解説していきたいと思います。

子を持つ親心を利用して、お金を奪われたシングルマザー

まずは、私について自己紹介をさせてください。

私の本業は、離婚、再婚など家族問題のカウンセラー、作家です。その活動のなかで、国際ロマンス詐欺の被害にあった人の相談を受ける機会がありました。

相談者の彼女は私の友人でもあり、シングルマザー。成人する息子のための貯金100万円を彼女はこの詐欺で失っていました。

きっかけはFacebookで見知らぬ外国人からの友達申請を気楽に承認したこと。出会った相手はアフガニスタンにいるアメリカ軍兵士を名乗り、娘をアメリカに残し、戦地で働くシングルファーザーだと説明しました。

出会ってから2カ月後、親友がアフガニスタンで撃たれて怪我をしたのをきっかけに、娘のためにもアメリカに帰りたいと彼女に相談を持ちかけます。

そして、「退役申請は家族しかできない」と彼女に対して結婚をほのめかしました。

そのうえで彼はこう告げます。

「退役するには100万円が必要だ」

彼女は淋しい思いをしている彼の娘さんも、お父さんが戻ってきたらきっと喜ぶはずとお金を貸してしまったのです。

それっきり、彼とは連絡が取れなくなってしました。もちろんお金が戻ってくることはなく......。

それを機にいろいろと調べてみると被害者はシングルマザーが多く、泣き寝入りするしかないことを知り、これは注意喚起と撲滅が必要だと強く感じるようのなったのです。

そこで3年前から、国際ロマンス詐欺の注意喚起を行う活動をはじめました。

詐欺師からの友達申請を許可すると、数週間で親密に

もちろん被害者は、シングルマザーだけではありません。先日相談を受けた女性は、Facebookで知り合った米国軍人に騙され、離婚のための準備資金600万円を失いました。

「夫とは不仲で、離婚して彼と一緒になりたかった......」

彼女はそう語ります。

2人の例を見れば分かるように、彼らはSNSから近づいてきます。

軍人や医者、エンジニア、ジャーナリストなどを名乗る見知らぬ外国人(詐欺師)からの友達申請を許可すると、詐欺師は数週間で恋人や結婚相手になったかのように振る舞います。そして、最終的にさまざまなストーリーで金銭を要求してくるのです。

その大半は、

・高価なプレゼンを送った

・でも税関でトラブルにあった

・贈り物を届けたいから、トラブル解決のためにお金を送ってほしい

というもの。

他にも、時には子どもが病気になって多額の治療費がかかると、また別の時には、詐欺師本人が戦地で怪我をして医療費が必要だと言ってくるケースもあります。

一度送金してしまったら、現状では金銭を取り戻す手立てはほとんどありません。

警察に相談をしても、多くの場合、詐欺師が外国人なので対応が難しいと言われてしまいます。対策はほとんどありません。

日本の"オレオレ詐欺"にも似た、巧妙な手口

どうして、騙されていることに気づかなかったのか? そう思う方も多いでしょう。

「国際ロマンス詐欺」は日本の「オレオレ詐欺」とよく似た手口の犯罪です。詐欺師だけではなく、その子ども、兄弟、税関スタッフ、弁護士などさまざまな登場人物が現れ、巧みにストーリーが作られていきます。

「これだけ資産があるのだから、お金目当てではない」と信じ込ませるために、偽の銀行口座の残額をインターネット上で見せられた被害者もいます。

国際郵便で結婚証明書(もちろん、偽物の)を送られてきた人も......。

被害は金銭面だけにとどまりません。一度は信頼した人から裏切られるわけですから、大きな心の傷も残ります。

私は被害者に対するカウンセリングも行っているのですが、騙されたとわかった後もこんな気持ちを打ち明ける方が多いのです。

「Facebookでブロックしたほうがいいのはわかっているのにブロックできない」

「毎日、何通も来ていたメッセージがもうなくなるのかと思ったら寂しい」

「詐欺だったけれど、やさしい言葉を沢山かけてくれたから...悔しいけれど、憎めない気持ちもある」

淋しさを埋めるためネット依存になり、別の詐欺に引っかかってしまうケースもあるのです。

ここまで読んで、「大丈夫、私は騙されたりしない」と思われた方は多いでしょう。でも、私の経験上、そう思っている人の方が被害に合うケースが多いように感じています。

巧みに仕組まれた犯罪だからこそ、詐欺師がどのように近づいてきて、どんな口実でお金を要求してくるのかのパターンを知り、詐欺に遭わないようにすることが最も大切です。

結婚している私には関係ない、と思った人。それは大きな間違いです。詐欺師は、たとえ既婚者であってもお金になると思えば「I LOVE YOU」を連呼してきます。また、男性の被害者もいらっしゃいます。

「私は大丈夫」

「既婚者だから」

「男だから、関係ないよ」

という固定観念は捨ててください。詐欺師は、あなたを狙っているかもしれません。

※この記事は「新川てるえnote」の記事に編集、追記を加えたものです。