こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
現在開会されている各地の地方議会では、先日国会で成立した
補正予算の執行に関連する議案が多数、審議されています。
補正予算といえば、大きな話題を呼んだのが
「(低所得の)高齢者に一律3万円」
という究極のバラマキ政策である、
「年金生活者等支援臨時福祉給付金」です。
「低所得者の」と言われるといかにも福祉っぽいですが、
年金受給者のほとんどは定年退職して所得がない状態ですから、
幅広い範囲の高齢者が対象となる上、ストック(資産)は一切勘案されません。
こちらにかかる予算はおよそ3600億円で、これは待機児童問題解決のために必要な
「保育士の待遇改善」に要する予算規模とほぼ同額と言われています。
(単年度か継続かという違いはありますが)
加えて私がもう一つ注目していただきたいと思っているのが、
これを対象者の皆さまに「給付」するための事務費用です。
「事務費」に234億円が計上されており、
総予算中の約7%がこの経費に消えていきます。
これは給付に対応するためのコールセンターなどの人件費です。
そして冒頭に触れた通り、実際にこの給付に対応するのは
基礎自治体のため、こちらの事業に係る予算案は各地の基礎自治体で審議されます。
新宿区議会では、行政の肥大化を招くこの議案に対して伊藤陽平区議が反対を表明しています。
7億7000万円のバラマキと、1億円の事務費には賛成できません
確かに国から降りてきた事業を地方自治体が反対したところで、
そこから変化を起こすことは極めて難しいのは事実です。
それでも将来世代の議員たちは、こうしたバラマキや非効率的な行政対応に
しっかりと反対の意思を表明しておくことは重要ではないでしょうか。
広域自治体である東京都には残念ながら関連する議案はありませんが、
今回のバラマキ給付金は効果の面でも効率の面でも到底賛成することはできず、
こうした政策が二度と通過することのないよう、ここに意見を表明しておくものです。
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このような近視眼的で高齢者偏重の政策があっさりと通過するのを目にするにつけ、
将来世代・子どもたちの発言力を強めるための「ドメイン制度(国民総投票制度)」の
本格的な検討の必要性を感じずにはいられません。
高齢化社会を乗り切るためには、「0歳児から一票」の国民総投票制度を真剣に検討するべき
ちなみに重要な点として、このドメイン制度の本質は投票権の拡大です。
歴史の授業で学んだかと思いますが、いずれの民主主義国家も当初は
「制限選挙」
つまり、一定の納税額を納めた人以外に、投票権はありませんでした。
この納税額のハードルが徐々に下がり、最後はゼロになり、
婦人参政権の実現をもって現代の制度が確立されました。
このような投票権が拡大した背景は、
国家の役割の拡張により受益者・利害関係者が拡大したことです。
当初は「夜警国家」として、その役割が治安や外交などの一部に限定されていた国家では、
財産を国家により保全される貴族層・富裕層のみがほとんどの利害関係者でした。
ところが徐々に近代化し、
国家の役割が社会保障にまで拡張する「福祉国家」となると、
農民や労働者など多くに政策決定の影響が及ぶようになります。
となると、こうした人々からも政治参加の要求が出てくるようになり、
それが爆発的なムーブメントになって、最後には権力者たちも
その声に対応せざるなくなったのです。
翻って日本の今の状況を見ますと、長らく子どもが「親の従属物」と見なされ、
保育が「保育に欠ける子」への福祉だった時代から、子どもは権利の主体になりつつあります。
保育や教育などのサービスを適正に受けることは、子どもたちの権利です。
そんな子どもたちに選挙権がないというのは、
よくよく考えてみればおかしなことなのではないでしょうか。
国債というツケだけ送られて、意思決定に参加することができないのですから…。
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かつて選挙権を得るのに一定の納税が必要だったり、
女性たちに参政権がなかったことが
「信じられない!」
「そんな異常な時代があったのですね」
と今や考えられているように、
当然のように0歳児からの投票権が確立され、
「昔は子どもたちに、選挙権がない時代があったんだよ」
「えー、信じられない!」
なんて会話が行わる…
遠くない将来、そんな時代が来ると私は思っています。
皆さまもぜひ、投票権の拡大という観点からも
ドメイン制度(国民総投票制度)を考えてみていただけると幸いです。
それでは、また明日。