「伝統」と「合理化」の狭間...負担の大きい消防団の歳末特別警戒から考える

消防団とは、地域住民の方々の有志で結成される消防組織です。改めてその活動について考えてみたいと思います。

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。

今年もいよいよ残すところあと3日となりました。

政治家・議員が年末年始に何をしているのか?

についてはちょうど昨年の今頃、詳細を書かせていただきまして、

年末年始の大型連休、政治家たちは何をしているのか?-お休みクダサイ-

今夜は斉藤りえ区議とともに北区内で歳末警戒に詰めている、

消防団の方々に挨拶まわりに伺いました。4時間でなんとか12ヶ所...

明日の晩で20数カ所のすべてを完了できそうです。

とある分団の詰め所では、

「なかなか消防団員が集まらないんだよー。若い知り合いにぜひよろしく!」

なんてお話も伺いまして、

改めて消防団とその活動について考えてみたいと思います。

消防団とは、地域住民の方々の有志で結成される消防組織です。

位置づけとしては特別職の非常勤公務員ということになりますが、

ほとんどの方は兼業で、決して高いとは言えない報酬で自発的な活動をされています。

火事などの災害時の出動の他にも、訓練や行事などが非常に多く、

特に旧態依然とした儀式的なものが団員の大きな負担になっていることは

かつても指摘し、都議会でも質問の中で改善を提案してきました。

炎天下に倒れた消防団員...。儀礼の長さは、本当にどうにかならないのか?

消防団に関わる式典の合理化については、

珍しく?!東京都からは前向きな答弁がもらえたところです。

質問・答弁については最後に添付しておきます。

さて、この歳末警戒・年末特別警戒と呼ばれる消防団の活動は、

主に12月29日~31日を中心とするもので、消防団が各分団の詰め所に集まり、

車などでパトロールをしつつ警戒活動に当たります。

かつては(江戸時代から?)歳末に火事が多かったことから、

年末は特別シフトで警戒するということが伝統になったようです。

自治会・町内会が行う「火の用心!」の夜警もこれと同じですね。

ただ、仕事も納めて多くの人がゆっくりしている年末のお休み時期。

ダブルワークで消防団員を務めている方の負担は、想像に余りあります。

ネット上で少し調べてみるだけで、

「負担が大きすぎる」

「これじゃ若い人は集まらない」

「もはや形骸化していて、そもそもやる意味がわからない」

など、現役消防団員と思われる方からの厳しい声が溢れています。

一例としての参考:2014年 年末警戒。

北区ではだいたい19時~23時の間で活動をしていて、

泊まり込みで待機・寝ずの番というところはもうないようですが、

地方によってはまだそうした形で行われているところも残っています。

実際に、歳末に出火が多かったというのは過去の話で、

いまや統計的に年末に火事が多いということは恐らくないでしょう。

ただ年に一度こうした行事があることで、

消防団員同士の結束が深まったり、地域住民に安心安全を与えることができるなど、

副次的な効果もあることから、一概に否定するのも難しいところです。

伝統や慣習を守っていくのか。

時代に合わせて合理化を進めていくのか。

これはどんな政策分野においても難しいテーマですが、

若手団員の不足に悩む消防団もまさに直面している点だと言えます。

私としては、すでに徐々に活動時間も短くなってきているのでしょうけど、

活動日を31日のみとする、時間も2時間程度のシフト制にするなどして、

引き続き徐々に合理化を進めていくのが現実的な路線かなと感じています。

現役消防団員の方々の意見なども聞きながら、

引き続き様々な角度から検証・提言を続けていきたいと思います。

皆さまも年末の風物詩である消防団員の警戒活動や、

自治会・町内会の皆さまの夜警を見かけましたらぜひ

「お疲れ様です」

の一言をお声がけいただくとともに、

伝統と合理化のバランスについて一考いただければ幸いです。

明日の晩も、残りの分団所を回らせていただきます。

消防団員の皆さま、本当に年末までありがとうございます!

それでは、また明日。

(以下平成26年第3回定例会の文書質問より)

消防団について

 地域の安心・安全の要となる消防団についてご質問いたします。「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律」が昨年国会で成立するなど、その重要性がますます高くなる消防団ですが、近年は団員不足と高齢化が進んでいます。少子高齢化という背景はあるものの、特に都心部では若年層の地域活動そのものや消防団活動への無関心が指摘されていますが、一方で被災地支援やボランティア活動には多くの若年層が参加するなど、彼らの防災や地域貢献に対する関心は決して低いものではありません。消防団員の不足や高齢化を解消するためには、潜在的に消防団に関心のある若年層への効率的なアプローチが欠かせません。そこで、以下の3点についてご質問いたします。

1.

東京都が所管する特別区消防団の定員数と、現時点での団員数とその平均年齢を教えてください。また、その現状に対する東京都の見解もあわせてお示しください。

(答弁)

特別区消防団の定員数は、16,000名であり、平成26年4月1日現在の団員数は、14,190名、平均年齢は、49.4歳です。今後とも、消防団活動を担う人材の確保に努めていきます。

2.

デジタル化を背景に、近年の若年層は非常に合理的で、「情」よりも「理」でつながると言われています。彼らが実際に消防団に入団する際に懸念するのは、人間関係よりも具体的なスケジュールや現実に発生する負担であるとも言えます。そこで、各種の操法大会やその訓練、出動や各種会合などを含めた消防団員の年間平均稼働日数を教えてください。また、消防団員の募集の際には様々な広報紙が作成されていますが、そこにはこうした具体的な出勤回数や、年間スケジュールのモデルケースなどを掲載することが有効かと思いますが、見解をあわせてお伺いいたします。

(答弁)

平成25年度中の特別区消防団員一人当たりの平均活動日数は、災害活動や教育訓練等を含め、年間約28回です。消防団員の募集広報については、広報紙やトレインチャンネルなど、様々な広報媒体を活用し推進しています。今後、広報紙の発行に際しては、年間の活動日数やスケジュールのモデルケースなど、入団促進につながる情報の掲載に配意していきます。

3.

消防団活動の中で指摘されるのが、各種大会などにおける式典の長時間化です。例えば消防操法大会などですと、3時間半あまりの大会の中で、最後の表彰式・来賓のあいさつが1時間近くになることもあります。この間、季節によって消防団員は極寒や炎天下の中、制服を着用して整列待機をしなければなりません。実際、6月に行われた消防操法大会では最高気温が33度にもなる中、表彰式の最中に体調を崩される団員の姿もありました。こうした時代にそぐわない長時間で形式的な式典は、消防団員の負担であるとともに若年層の消防団離れの一因とも考えられます。来賓の祝辞を割愛や、長時間にわたる場合は衣服の着脱を認めるなど、消防団活動の式典における合理化を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

(答弁)

特別区消防団の式典は、地域の事情や式典の意義等を踏まえつつ、進行要領等が決定されています。式典の実施に際しては、努めて時間の短縮化を図るなど、消防団員の負担軽減に配意した式典となるよう提案していきます。

(2015年12月29日 「おときた駿オフィシャルブログ」より転載)

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