こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
今日はAmebaTV「みのもんたの夜バズ」に出演し、豊洲移転問題について、先のブログ内容に基づいていくつかコメントをさせていただきました。
築地での改修・存続は、事実上不可能?!ここまでの築地・豊洲市場移転問題を振り返って整理してみた
にわかにこの問題にフォーカスし始めたテレビなどのメディアでは、わかりやすい反対派の主張が中心的に取り上げられることが多いように思います。今日の番組でも
・土壌汚染問題が解決していない
・店舗が狭く、マグロが切れない
・荷重に耐え切れず、床が抜けるのでは?
などが放映されました。ネット上ではこれに対する反論・反証なども盛んに行われておりまして、両面から物事を見るためにもこちらのまとめなどもご参考に。
豊洲新市場は欠陥施設なのか?Ver.1.1 – Togetterまとめ
あまり知られていない基礎知識だけおさらいしておきますと、築地市場の「関係者・業者」としては、
・水産卸
・水産仲卸
・青果卸
の3つに大別されまして(さらに細かい区分は色々とあるけど)、メディアに「反対派」として出てくるのはふたつ目の水産仲卸業者の方々が中心です。
残り2つの水産卸・青果卸の方々は豊洲移転に積極的な方々が多く、水産仲卸業者の中の4割~6割(諸説あり)程度が、豊洲移転に慎重または反対の立場であると言われています。
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では現実的に、小池知事が取れるオプション(選択肢)にはどのようなものがあるのでしょうか?私は大きく3つではないかと予想しています。前回のブログで触れた通り、年度内に移転を完結しなければ、再び築地・豊洲移転が議会マター(予算マター)になって紛糾する恐れがあるからです。
A.スケジュール通り、11月7日に移転を遂行する
B.11月18日の環境モニタリング調査の結果を待ち、11月下旬に移転をする
C.年度末(おそらく2月)まで移転を延期する
B案の狙いは、「土壌汚染」という不安を解消する一点です。根強い「土壌汚染」への懸念を払拭するためには、11月18日のモニタリング調査の結果を待つ必要があります。
多少の延期をしてそれを待つことで、小池知事は「立ち止まって考える」という大義を満たすことができる一方で、延期によって増したコストに対して責任を負うことになります。
なお、科学的知見でいえば土壌汚染の問題はほぼ確実に解決しており、11月18日の結果で深刻な結果が出ることはまずないと思われます。「オリンピックに間に合わない!」と言われる環状二号線についても、このレベルの延期なら問題にならない可能性が高いでしょう。
一方で、Cの選択をする場合はより事態は複雑です。延期をする以上は、現在の豊洲新市場の不具合を何らかの形で改善するという「成果」が求められます。では、具体的にはどんな手が打てるでしょうか?
●土壌汚染問題に終止符を打つ
これは先述の通り、11月18日のモニタリング調査の結果を待てば解決します。基準値以下で検出される物質については、問題視する必要ないと思います。ゼロリスク信仰をしていては、物事は何も進みませんからね…。
●使い勝手の実証実験を行う
「マグロが切れない」という批判については、共用スペースで大型マグロを切る仕組みが導入されます(というか、今の築地にもある)。果たしてそれで、どれだけ業者の負担が増えるのか。実際の動線などを想定してオペレーションをしてみれば、不安の一端は解消されるかもしれません。
また、「荷重に耐え切れずに床が抜ける」「ターレーが曲がりきれずに大渋滞する」などの指摘に関しては、実際に施設が完成した時点で比較的簡単に実証実験が可能でしょう。
●業者の移転に対して、補正予算を組んで負担軽減を行う
もっとも「目に見える成果」を慎重派・反対派に示すのであれば、この手。現在は築地→豊洲へと業者が引っ越す費用は自己負担となっていますが、ここに一定の助成金を出して負担を軽減する(借入金の利子補助など、すでに一定の施策はありますが)。
ただし、これまでも行政の事情で移転が発生したケースで(大田市場など)業者に対して補助金などを出した例はないようで、公平性の観点から実現のハードルは高いと言えますし、「最後は金だ!」みたいな解決方法にも疑問は残ります。
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うーん、こうしてみると、数ヶ月程度の延期で明快な成果を出す方法はなかなか思いつきませんね…当然かもしれませんが。他になにかあれば、ぜひご意見をいただければと思います。
もちろん移転をすれば様々な不具合が発生することは避けられません。ですが実証実験や利害調整のために莫大なコストをかけて延期をするくらいなら、「やりながら修正していく方が効率的」という意見にも一理あります。
知事は早ければ帰国後、最初の記者会見で結論を出されるかもしれません。引き続き私も様々な可能性と改善策を模索していきたいと思います。
それでは、また明日。
(2016年8月20日「おときた駿オフィシャルサイト」より転載)